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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第2章:【悲報】借金まみれの王国が倒産しました。~新経営者はナニワの追放令嬢~
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【終局】帝国の全資産を譲渡(カタ)に、システムを再起動させてあげますわ

 「皇帝誕生祭」の朝。帝都を包んでいたのは歓喜の歌声やなく、絶望の叫びやった。金が動かず、食いもんが届かず、魔石の供給が止まって街の明かりが消えた。機能不全におちいった巨大都市は、飢えた獣のように暴徒化し、宮殿を取り囲んどった。


「エリザベスを出せ! あの女を魔法通信ラインつなげろ!!」


 皇帝が、乱れた髪を振り乱して叫ぶ。ようやくつながった大型のホログラムに映し出されたんは、ナニワ領の執務室で、優雅に高級タルトを頬張ほおばるエリザベスの姿だった。


『あら、皇帝さん。……どないしはったんです? そんな酷い顔して』


「ふざけるな! 貴様のギルドの決済が止まったせいで、我が帝国は破滅はめつの危機だ! 今すぐ、今すぐシステムを元に戻せ! これは命令だ!」


 画面越しに飛ばされる皇帝の怒号。けど、ウチは扇子で口元を隠して、クスクスと、そらもう楽しそうに笑うた。


『オホホ。命令? ……困りましたわ。今の帝国さんは、システムの「無料トライアル期間」を過ぎた、ただの“未払い客”に過ぎへんのですけど?』


 その時。皇帝の背後にある巨大な窓が、すさまじい風圧でガタガタと鳴り始めた。現れたんは、空を覆い尽くす数百頭のワイバーン。そしてその中心、宮殿を丸ごと飲み込むような巨体を誇る『黒銀の魔竜 (ギルさん)』が、窓越しに黄金の瞳で皇帝を凝視した。


 ギルさんは巨大なあごをニヤリと歪め、帝都全体に響き渡る、驚くほど流暢りゅうちょうで重厚な声を放った。


「――やかましいぞ。エリザベス様の商談中に、ガタガタと吠えるな」


「な……魔物が、喋った……!? それも、これほどはっきりと……!」


「驚くことか? 言葉を覚えなければ、貴様らから効率的に資産をむしり取ることもできんからな。……さて、皇帝。我が持ってきたのは『無料体験版・地獄ツアー』の契約書だ」


 ギルさんは、鋭い爪で窓ガラスを軽く叩き、不敵に笑った。


「今すぐサインするか。それとも、部下ワイバーンたちがこの帝都を更地にして、物理的な『資産整理』を手伝ってやるか……選ばせてやる。もっとも、更地になった後の土地(ジャンク品)をエリザベス様が買い取ってくれる保証はないがな」


 エリザベスの論理的な追い込みに、魔竜による「商売人の脅迫きょうはく」が重なる。皇帝は、眼前に突きつけられた絶望の深さをようやく理解した。


『さあ、皇帝さん。……サインしなはれ。国民にパンを配り、自分だけは生き残る……そのための、唯一の「救い」やで』


 皇帝の目から、光が消えた。彼は震える手で、魔法契約書に「全資産提供」の印章サインを叩きつけた。


 その瞬間、帝都の決済端末が一斉にチャイムを鳴らし、止まっていた物流が動き出す。


「……助かった……のか?」


『毎度おおきに。……これで今日から、この大陸の土地も、空気も、国民の命も……全部、ウチからの“借り物”ですわ。……さて、『レンタル料』、たっぷり稼いでもらわな困るで』


 魔竜が再び翼を広げ、空高く舞い上がる。大陸最強の帝国は本日をもって、ナニワ領を本店とする巨大商会の「子会社」へと転落したんや。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!


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