【悲報】帝国さん、上納金(麻薬)で頭がお花畑になる。――「エリザベスは金づる」という大いなる勘違い
大陸の覇者、インスパイア帝国の都は、かつてない祝祭ムードに包まれていた。
「ガッハッハ! 見ろ、今月もナニワ領から山のようなロイヤリティが届いたぞ!」
「あの小娘、三五パーセントもの暴挙を黙って差し出すとはな。商売の才はあっても、権力には勝てなかったというわけだ」
豪華絢爛な宮殿の会議室。帝国幹部たちは、エリザベスが送ってきた「金貨の詰まった大箱」を前に、高級ワインを酌み交わしていた。彼らにとって、エリザベスはもはや「恐ろしい敵」ではなく、定期的に金を運んでくる「超優秀な納税マシーン」。
「陛下、ナニワ領からの報告によれば、我が騎士団も現地の平和に馴染み、現地の警備員に雑務を任せ、優雅な生活を送っているとのこと。軍事費も大幅に削減できておりますぞ」
「うむ。エリザベスに『管理』を丸投げするだけで、金が入り、兵の維持費も浮く。これほど楽な統治があろうか」
皇帝も上機嫌で頷く。彼らが手にしているのは、エリザベスが作った、キラキラ輝く最新式の「帝国・ナニワ共通ゴールドカード」だ。
「この『手形』は便利だな。重い金貨を持ち歩かなくても、ナニワ領産の極上ワインや贅沢品が、指一本で帝都まで届く」
「しかもエリザベスの奴、気を利かせて『帝国幹部様専用・手数料無料キャンペーン』までやっておりますわ。実に聞き分けの良い女です」
……そう、これこそがエリザベスの狙い通り。帝国の高官たちは、エリザベスが提供する「便利さ」と「不労所得」にどっぷり浸かり、自分たちの血液(資金決済)が、すべてエリザベスの手のひらの上で回っていることに、これっぽっちも気づいていない。
帝都の市場でも、呑気な会話が飛び交う。
「おい、最近の帝国金貨、なんだかナニワ領の刻印が入ってるのが増えたな?」
「いいじゃないか、価値は同じだ。それより、あの『聖女印の入浴剤』を買ってきてくれよ。あれがないと夜も眠れん」
生活、軍事、金融。帝国のあらゆる末端が、エリザベスという名の「インフラ」なしでは成立しない体質に作り替えられていた。
その頃、ナニワ領の執務室。帝都の「平和な報告書」を読み飛ばしたエリザベスは、冷めた紅茶を啜りながらソロバンを弾く。
「……オホホ。ええ具合に茹だってきとる、帝国のカエルさんたち。……カシム、帝都の穀物ギルドと、エネルギー用の魔石市場、買い占めの進捗はどうや?」
「はっ。帝国の商人が『免税』で浮かれた隙に、主要な流通経路の七割を、ウチの関連会社で押さえました。今、主が指を鳴らせば、帝都のパンと明かりは一瞬で消えます」
「完璧や。……『依存』いうんは、最強の毒薬。……さて、帝国さんが、どんな絶望した顔するか……今から楽しみですわ」
帝都が豪華な祝宴に酔いしれる中、その足元にある「土台」は、すでにナニワの商売人によって、白アリの如く綺麗に食い尽くされていた。
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