【悲報】帝国に国を売ったら、いつのまにか帝国の財布を握ってましたわ
「カシム。あんたはまだ、三五パーセントいう数字にビビりすぎや。ちょっとこれ見てみ。分かりやすく、王国にしとくで」
執務室の大きな黒板に、チョークでパパッと数字を書き殴った。
「帝国が王国から取る『ロイヤリティ』は、利益の三五パーセント。確かにデカいわ。仮に利益が金貨一〇〇枚やったら、三五枚も持っていかれる計算やね」
「左様です! 三五枚もあれば、民衆にどれだけのパンが配れるか……!」
「けどな、カシム。帝国が免税にしたせいで、今この国には帝国商人が何人来とる?」
「……かつての十倍、いや二十倍は下りませぬ。街中、帝国の馬車だらけです」
「そう! そこがポイントや! ウチの『手数料五パーセント』は、王国の利益やなくて、『帝国商人が動かす全取引額』にかかるんやで」
ウチはソロバンを激しく弾き、黒板にドデカい数字を書き込んだ。
「帝国商人がこの国で動かす金が、金貨一万枚やとしたらどうなる? 彼らが重たい金貨を運ぶリスクを嫌って、ウチのギルド(別法人)で『手形』に替えるたびに、手数料が入る。……その額、金貨五〇〇枚や。わかる? 帝国に払う三五枚なんて、手数料収入のたった七パーセント分でしかあらへん!」
カシムが、弾かれたように顔を上げた。
「な……!? では、帝国商人が集まれば集まるほど、ロイヤリティを払っても、ギルドの利益の方が増えていくのですか!?」
「その通りや! 帝国は『王国の利益』いう、ちっこいコップの三割を奪って満足しとる。けどウチは、帝国商人が注ぎ込む、巨大な樽から、五パーセントずつストローで吸い取っとるんや!」
ウチは扇子をパッと開き、高笑いした。
「帝国はウチらから税を取ってるつもりやろうけど、実際はウチが儲けるための『集客』を、自分らの看板を使って勝手にやってくれてるだけ。帝国が威張れば威張るほど、商人が集まってウチの懐が潤う。……これぞ最高の不労所得、『帝国サブスクリプション』の完成ですわ!」
窓の外、広場に建てられた「ナニワ中央決済ギルド」の窓口には、帝国商人たちが長蛇の列を作っていた。
「まだか! 俺の金貨を早く『手形』に替えろ!」
彼らは「免税」で浮いた金以上の額を、自分から喜んでエリザベスの窓口に叩きつけていた。
「カシム。帝国はウチを支配したつもりで、実際は逆。ウチは帝国の経済が回るための『心臓』になったんや。……ポンプが止まったら、帝国の血流は全部止まる。……さて、どっちが支配者か、もう分かるやろ?」
カシムは真っ青な顔のまま、無言で頷いた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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