表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第2章:【悲報】借金まみれの王国が倒産しました。~新経営者はナニワの追放令嬢~
21/36

【悲報】ウチ、国を捨てて帝国の「加盟店オーナー」になりましたわ

 インスパイア帝国からの返答は、小切手ではなく「特使」という名の軍事的圧力であった。謁見えっけんの間に現れたのは、帝国でも指折りの武闘派として知られるロストフ公爵。背後には、威圧感いあつかんを放つ精鋭騎士団がずらりと居並んでいる。


「エリザベスよ。貴殿の請求書、しかと皇帝陛下に届いた。……だが、我が帝国がこの程度の『端金』に動くとでも?」


 ロストフ公爵が、重厚な革の手袋を叩きつけるようにテーブルに置いた。


「条件は一つ。旧王国の領土はすべて帝国の直轄領とする。『ナニワ商会』も帝国の管理下に置き、利益の八割を上納せよ。さすれば、先日の不祥事は水に流し、貴殿を『名誉帝国市民』として雇ってやろう。……断れば、次は先遣隊ではない。帝国の本隊がこの地を地図から消すのみだ」


 謁見の間が凍りついた。カシムが剣の柄に手をかけ、元刺客たちも鋭い殺気を放つ。誰もが、エリザベスが「お断りですわ!」と啖呵たんかを切ることを期待した。


 ところが。


「……分かりましたわ。その条件、丸ごと飲み込ませてもらいますわ」


 エリザベスは、短く頷いた。


「エ、エリザベス様!? 何を仰いますか!」


「主! 我ら一同、命を捨てて戦う覚悟はできておりますぞ!」


 カシムたちの絶叫を、彼女は静かに手で制した。


「公爵さん。ウチも商売人のはしくれ。勝ち目のないいくさぜに突っ込むほど、ウチはアホやありません。……ただ、一つだけ提案させてもらえます? どうせ帝国が支配する言うんやったら、中途半端なことはやめときましょ」


「……何だと?」


 エリザベスは、カシムが持っていた旧王国の『玉璽ぎょくじ』と、膨大ぼうだいな負債が記された帳簿をロストフ公爵の前に放り出した。


「本日をもって、旧王国は正式に『自己破産』を宣言させてもらいますわ。王権やら法律やら、腐りきった貴族の既得権益……そんなもんは全部、ゴミ箱行きです。この国は今、この瞬間、完全に消滅デリートしたんです!」


 公爵が呆気に取られる中、エリザベスの唇が不敵に吊り上がる。


「そこで相談ですわ。白紙まっさらになったこの土地で、帝国の『素晴らしい看板』と『統治システム』を運用させてもらえませんこと? 名付けて、『インスパイア帝国・ナニワ領フランチャイズ契約』ですわ!」


「フラン……チャイズだと?」


「ええ。ウチらは帝国の部下ではなく、帝国の『システム』を借りる『加盟店オーナー』になるんです。帝国には毎年、莫大な『ライセンス料 (ロイヤリティ)』を納めますわ。その代わり、軍事、法、通貨……帝国の信頼という名の『OS』を、使わせてくれまへんか?」


 公爵の目がぎらりと光った。


(……ほう。支配の手間をかけず、この小娘を働かせて、座っているだけで金が入るというわけか。帝国にとっては、属国にするより遥かに効率的な『集金装置』よ)


「……面白い。その『ライセンス料』とやらが、帝国の満足いく額であれば、検討してやってもよい」


「オホホホ! 話が早うて助かりますわ。……カシム、契約書の準備しなはれ。帝国様が納得しはる、ウチにとっては目ぇくほど不利な、美味しい契約書をな!」


 カシムは絶望的な顔で筆を執った。


 謁見の間の様子は、エリザベスの指示であえて広場の魔導水晶に映し出されていた。

 それを観ていた民衆も、「エリザベス様が帝国に屈した」「国を売った」と、お通夜さながらの沈黙に沈んでいる。


 契約書にサインする彼女の手は、震えていた。しかし、その瞳の奥には、強欲なソロバンの音がパチパチと鳴り響いている。


(……ええわ。たっぷり太りなはれ、帝国さん。『金』いう名の麻薬にどっぷり浸かって、ウチがおらな予算も組めん体に……きっちり『調教』したるさかいな)

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ