【請求書爆撃】最強帝国が攻めてきたので、絨毯の掃除代から慰謝料まで「絶妙な金額」を請求してみた
大陸の覇者、インスパイア帝国。その豪華絢爛な謁見の間に、かつてないほどの緊張が走っていた。玉座に座る皇帝の前に、震えながら差し出されたのは、一枚の「紙」である。
「……何だ、これは」
「はっ。先遣隊を率いた将軍の敗報、および……ナニワ商会代表、エリザベスからの『請求書』にございます」
皇帝がその紙を一瞥した瞬間、その目が大きく見開かれた。書かれていたのは、法外……いや、「絶妙」な数字だった。
「将軍の身代金、兵士五百人の返還費用、ならびに我が『私有地』への不法侵入による絨毯のクリーニング代、および精神的苦痛に対する慰謝料……。〆(しめ)て金貨五万枚だと?」
側近たちが息を呑む。それは帝国の国家予算の数パーセントに及ぶ巨額だ。しかし、皇帝は怒りで叫び散らすことはなかった。逆に、冷や汗が背中を伝うのを感じていた。
「……計算が合いすぎる。これだけの額、即座に支払えば帝国の財政に致命傷は与えぬが、再度の遠征軍を組織する予算は、綺麗に削り取られる額だ」
攻めれば赤字、払えば収支ギリギリ。エリザベスは、帝国が「武力行使」を選択するよりも「金を払って不祥事を揉み消す」方が合理的だと判断するラインを、完璧にソロバンで弾き出していたのだ。
「さらに、この追伸を見よ……。『今なら分割払いも可。ただし年利一八%の複利でっせ。知らんけど』だと? 舐めおって……!」
その頃、王都の執務室では、ウチが鼻歌交じりに二枚目の請求書を書いていた。
「カシム。皇帝さん、今頃真っ青になってソロバン弾いてる頃やろなぁ。……あんなケチな人には、『一番安上がりな道』を残しといてあげたしね」
「さすが主。敵の『財布事情』を人質に取るとは……。もはや戦わずして勝つ、課金誘導の覇王でございます!」
「そんな柄やないわ。ウチはただの、一円の無駄も許さへん『しがない商売人』。さて……皇帝さんが白旗(小切手)持ってくる前に、受け入れ態勢整えましょか」
帝国のプライドすらも「交渉材料」に変える。ナニワ流の「取り立て」は、ついに大陸最強の国家すらも飲み込もうとしていた。
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