【悲報】元王子、魔竜に吊られてドナドナされる。~研修生(最底辺)からの再出発~
さて、破綻した王国の「不採算部門」の処理に取り掛かるとしよう。地下牢で震えていたアルベルトとマリアが、衛兵によって広間に引きずり出されてきた。
「エリザベス! 私は一国の王子だぞ! こんな扱いは――」
「王子? あぁ、昨日の契約書でその肩書き、ウチが『負債』として買い取ったんや。今のあんたは、ただの『多額の債務を抱えた無職』やで」
ウチは、カシムが用意した「ナニワ商会・研修生(最底辺)」と書かれた安っぽいタスキを二人に投げつけた。
「アルベルト。あんたは『現場』を知らなあかん。辺境の開拓地で、インフラ工事の土運びや。……あ、移動は魔竜の足に括り付けたカゴやから。空の旅を楽しみながらドナドナされてきなはれ」
「ひっ、魔竜!? 待て、せめて馬車を――」
アルベルトは叫びながら、カシムの手によって魔竜の足元へ引きずられていった。空高く吊り上げられるカゴの中から聞こえる悲鳴。まさにドナドナそのものや。
「……さて、マリア。あんたは『聖女』として、顔だけはええ。せやから、広場で実演販売や」
ウチは彼女の前に、ナニワ領特産の「燃焼石」を積み上げた。
「『聖女様が使ってる石』言うたら、市民も安心するやろ? 霜焼けで震える市民に、その聖女スマイル(原価〇円)で石を売りさばいてきなはれ。……ノルマ達成できんかったら、今日の晩御飯はパンの耳だけやで」
「わ、たくしが……道端でものを売るなんて……!」
プライドをズタズタにされたマリアが、涙目で広場へと追い出されていく。それを見送ったカシムが、またもうっとりと呟いた。
「……なんと素晴らしい。かつての罪人をただ処刑するのではなく、『労働の喜び』と『社会への貢献』を教え、更生させようとされるとは……! その教育者としての慈愛、もはや聖母を超えております!」
(……いや、ただの『人的資源の有効活用』やねんけどな。使えるもんは、搾り取れるだけ搾り取らな商売人として失格やろ)
王都の空に、アルベルトの悲鳴を乗せた魔竜が飛んでいく。
エリザベス流・国家再建。それはカシムの感動をよそに、ただの「スクラップビルド(資産の再構築)」として淡々と進められた。
使えんガラクタを壊し、利益を生むパーツへと作り変える。ウチの帳簿に「情」という名の赤字が載ることは、この先も一生あらへん。多分やけどな。
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