【悲報】帝国軍さん、近道したつもりが『有料体験版』のキルゾーンだった件
帝国軍の先遣隊五〇〇騎は、エリザベスに教えられた「近道」を進んでいた。
「ふん、あの女、命惜しさに道を譲りおって。戻って再編し、この森ごと焼き払ってくれるわ」
将軍が傲慢に鼻を鳴らした瞬間――。
カチリ。
静まり返った森に、魔法で増幅された「巨大なソロバンの弾ける音」が響き渡った。それが、地獄のバーゲンセールの開始合図だった。
「おっしゃ来たぁ! 帝国製の一級品や! 鎧は傷つけたら査定が下がるぞ、関節を狙え!」
茂みから飛び出したのは、ウチが「成果報酬(歩合制)」で雇った元・帝国兵の男たちだ。かつての同僚に対し、その目は獲物を狙うハゲタカのようにギラついている。
「ノルマ達成まであと二人! 終わったら『焼肉屋 一獲千金』で、希少部位の塩タンやー!」
王国からの元刺客や亡命者、さらには移民たちまでもが、人種や国境を超えて「ゼニ」のために完璧な連携を見せていた。かつての敵味方に、今は仲間としての絆が生まれている。彼らにとって、目の前の帝国軍はもはや脅威ではない。ボーナス支給額を左右する「歩く金塊」に過ぎなかった。
上空では、ウチがエサ代を弾んでいるワイバーンたちがイキイキと旋回している。その背に跨っているのは、元・帝国騎士たちだ。
「な、なんだこの連中は……! 統制が取れすぎている! 忠誠心すらない者たちが、なぜこれほどまでに……っ!」
混乱する将軍が天を仰いだ。そこには、巨大な魔竜の背に乗り、優雅に脚を組んだウチの姿があった。
「将軍さん、お疲れ様。……あ、カシム。今の突撃、効率三割アップやね。ボーナス上乗せしといて」
「はっ。御心のままに」
ウチは魔竜の上から、拡声魔法で絶望のどん底にいる将軍へ声をかけた。
「将軍さん、商談の前に『清算』しましょか。ウチ、ここは『安全』やと言うたけど、『無償で通したげる』とは一言も言うてへんで? 通行料も払わんと土足で入るんは『密入国』。不法侵入者への正当防衛、きっちり執行させてもらいましたわ」
「き、貴様ぁ……! 罠にはめたか!」
「人聞きの悪いこと言わんといて。ウチは可憐な追放令嬢やで。名誉棄損で、また損害賠償が発生しましたわ。オホホホホ!」
ウチはソロバンをパチリと弾き、会心の笑みを浮かべた。
「さて。身ぐるみ剥がされたところで、改めて『命の保証料』の商談、始めましょか? 今ならキャンペーン価格で命だけは助けたげますよ。――あ、もちろん、将来の『労働力』として、やけどな」
朝日を浴びて輝く魔竜の上で、ウチは高らかに笑った。ナニワの商売人に「タダ」ほど怖いもんはないんや。知らんけど。
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