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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第1章:愛は知りまへんけど、対価はキッチリいただきます。 ~追放令嬢の損得勘定~
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「客がけえへん店はただの箱や」――物流を支配した追放令嬢、自滅する王都へ最終宣告に向かう

 冬が深まると同時に、王都の「心臓」が止まった。市場から荷馬車が消え、大通りを歩くのは腹を空かせた野良犬と、寒さに震える衛兵えいへいだけ。各国の商隊が、示し合わせたように王都を避け、ナニワ領へ直接向かうようになったからだ。


「おい、王国へは行かないのか?」


「馬鹿を言え。あんなまきもねえ、食いもんもねえ、物価だけが高い死に体に何の用がある。今はナニワ領に行くのが商人の常識だ」


 彼らは本能で察していた。今のこの大陸の「財布」を握っているのは、震えるだけの王子ではなく、あの追放令嬢であると。ナニワ領には、エリが帝国から接収した「重機(馬)」で整備された最短ルートがあり、魔竜とワイバーンによる「即日航空便」まで稼働している。商売人にとって、そこはもはや不毛の地ではなく、『大陸最大の物流拠点』へと変貌へんぼうしていた。


「お嬢! 帝国の商隊から『通行許可証』のおかわり入りました! あと、隣国のギルドが『支店』を出したいと金貨積んで待ってますわ!」


 ナニワ領の執務室。王都から逃げてきた元・役人たちが、今はエリの配下としてテキパキと書類をさばいている。彼らにとって、年功序列の王国より、成果主義インセンティブのナニワ流の方が肌に合ったのだ。


「ええよ、場所代は昨日の倍で。あと、王都向けの荷物は全部『積み替え』や。ナニワ印のラベル貼って、手数料三割乗せてから運ばせなはれ」


 エリザベスは、ホットワインを片手にテキパキと指示を飛ばす。


*


 一方、王都の惨状さんじょうは極限に達していた。物価は十倍、二十倍と跳ね上がり、銀貨一枚でパンの耳すら買えない異常事態。飢えと寒さに耐えかねた市民たちは、ついに王宮の門を叩き、暴徒と化した。


「エリザベス様を呼び戻せ!」


「あの温かい『燃焼石』をよこせ!」


「無能な王子を引きずり出せ!」


 王宮の奥底、凍りついた玉座の間で、アルベルト王子はマリアと共にガタガタと震えていた。


「……な、なぜだ……。なぜ誰も、王家の私に食べ物を運んでこない……ッ!」


「アルベルト様……もう、限界ですわ。わたくし、こんなに寒いのは嫌……」


 マリアの聖女としての輝きは、空腹と霜焼けですっかり色褪いろあせていた。  


*


「カシム。王都の『在庫』はもう空っぽやな?」


「はい。主のお導きの通り、王宮の蔵までスッカラカンにございます。今や彼らが持っているのは、使い道のない『王家のプライド』という名のゴミだけ。……ああ、なんと素晴らしい。国一つを丸ごと『掃除』し、新たな法で塗り替えようとされるとは!」


 カシムが窓の外を見上げ、うっとりと呟く。その視線の先、雪雲を切り裂いて、巨大な『黒銀の魔竜』が咆哮ほうこうを上げた。


「……よし。ほな、そろそろ『最終宣告』しに行こか。魔竜の背中に、温かい炊き出し用のスープ、たっぷり積んどきや」


 情けを売るのではない。「救世主」という名の「新しいオーナー」として君臨するつもりだ。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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