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その日の名は  作者: 篁 石碁
その日の名は
10/11

その日の名は⑩

「三分前ッ!」という声がブリッジに響き渡った後で、ヘイズは、イシス碑文を脳裏に過らせた。


「過去にあるもの、今あるもの、これからあるであろうものの全て……」


 あってなきが如しの後で作り直す。

 現象の実体化……。

 電磁波が作り出すイリュウージョンは、過去に存在し、空間の狭間に残った残像のように隠れていただけ。

 その次元を引き下げられた事象を積分した時、過去の存在が実体として現出する。

 実体だった存在の周囲が亜空間と化し、その時空を未来で観測する事は、まるで未来から過去世を監視するかのように、檻の中に閉じ込めた存在を管理するかのように、カレはカレの前世を皆に知らしめないまま、自分自身の過去であると知りながら、カレを監視し続けているのだろう……。


『サタネル』と言う原子力潜水艦を送り込むヘイズ中将とUSネイビーの部下。

 この太平洋第七艦隊が行う実験が、

 過去にあったモノを確認し、

 破壊し、

 未来でその現象を実体化させようとしていたのだ……。

 過去にあったモノが実体化する事を確認する為の静止衛星と、北極から南極軸を縦型に周回する衛星。

 地軸が傾いている事で角度欠損した時空の割れ目を周回する衛星は、磁力線に沿って北上する時と、南下する時に、時空を反転させて観測するのだ。

 此岸にあって、彼岸にないモノ。

 此岸になくて、彼岸にあるモノ。

 太平洋に存在する質量は、その体積として自重を海底に掛けているのだ。

 圧力で発電する石英。水晶。

 クリスタルピラミッドとも呼ぶべき、ケイ素岩石の海底がシリコンとしての半導体が、絶縁体を挟んだ上下の半導体で高速スイッチング作用からジョセフソン素子として量子チップのようになる時、地層そのものが、隕石落下時代の地層のイリジウムを含む地層を挟む時、大地そのものが過去の堆積物、化石として存在する前に存在していたモノを実体化させる意思=石となるかもしれない。

 生きた化石がシーラカンスのように、深海でニュートリノだけを浴びて、時間を永遠に揺蕩う存在になっていたように……。


第一章 了

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