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サフィは何でもできる子

「アル、よかったじゃない!」

 サフィは店を出ると自分のことのように喜びながら僕に話しかけてきた。

「うん! 自分で作った魔道具に値段がついたんだ! 喜ばずにはいられないよ!」

 人生で一番喜んでいるかもしれない時の返事なので、少し食い気味の返事となってしまったかもしれない。

 そんな返事に対しても、サフィは笑顔でうんうんと頷いてくれる。


 サフィはいつもそうなのだ。

 サフィは自分の方が錬金術が出来ていて先に進んでいるとしても、自慢せず僕の話を聞いてくれる。

 サフィが自分の錬金術の話をする時は僕が錬金術の話を振ったときで、それ以外は錬金術の話は基本しない。

 自分から話をしないのでサフィは錬金術はそんなに好きじゃないのかなとも思ったが、錬金術をしているときに嫌な顔をしている様子もないし、錬金術の講義を逃げようとしている気配もない。

 ただ、僕に合わせてくれているだけなのだ。

 普段は子供っぽく振舞うけれど、大人との真面目な会話の対応に関しては1つ上の姉ではなく、大人と勘違いするほどの対応で、時と場合によって対応を完璧に変えている。


 そんなサフィは町でも人気なのだ。

 魔道具店から食料品店が並ぶ中央の通りに出る途中に何人もの知り合いの人に話しかけられる。

 食料品に行くと、すべての店でサフィちゃんだからとおまけしてもらえている。

 サフィは人当たりも良いが容姿も整っている。

 親譲りの金色に靡く髪、整った顔立ち、細くて透き通るように白い足、白魚のようなに奇麗な手。

 パッと見たら人形と見間違えるような奇麗さを備えているのだ。

 道行く人も人ごみの中であれどサフィの奇麗さに振り向く人も多い。



 そんな買い物の時間を過ごし、すべての必要な買い物を済ませた僕らは帰路についていた。

 時間はもう夕暮れで、少しあたりが暗くなり始めたころだ。

 普段は夕暮れだったとしても何事もなく帰れるのだが、今日は違った。


 歩いていると、街道の横の草むらから大型犬より少し大きめの何かが飛び出してきた。

 とっさに荷物を放って避ける。

 避けて飛び出してきたものを一瞥すると、それは魔物だった。

 師匠と一緒に森に行ったときに遭遇したことがあるフォレストウルフだった。

 ここら辺は魔物が出ないはずなのにと思いながら師匠に持たせてもらっている護身用魔道具を取り出す。


 魔道具を取り出した次の瞬間、フォレストウルフは炎に包まれていた。

 フォレストウルフの何倍もの大きさの炎に包まれ、叫び声を上げる間もなくウルフは炭と化していた。

 横を見てみるとサフィが手をかざしていた。

 恐らく、炎系の魔法を使ったのだろう。

 一瞬の出来事にあっけにとられていると、「大丈夫!? 怪我してない!?」と声をかけてくれた。

「大丈夫だよ。荷物はちょっと崩れたものもあるかもしれないけど……」と言うと、「それなら良かった。荷物ならどうにでもなるもん」と返してくれる。


「アルは私が守るから!」

 そう胸を張って言う、僕から見たら何でもできる姉。

 それがサフィなのだ。


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