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生贄、のち寵愛。~魔物たちに食べられるはずがいつの間にか大切にされてます?~  作者: 杏仁堂ふーこ


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おまけ ~その後ものんびり暮らしてます~

「ジェット!」


 朝。廊下で出会ったルーナがぱっと笑顔を咲かせて駆け寄ってくる。

 そんなルーナの周りに花が見える、ような気がした。

 『呪い』が解け、自分の気持ちを素直に伝えてから十日。以来、ルーナはずっと楽しそうだったし、機嫌が良かった。感情表現が豊かになり、笑顔もぐっと増え、まごついた態度や言いたいことを我慢しすぎるというシーンも減っている。欲を言えばもっと我儘を言って欲しいという気持ちはあるが、まだまだこれからだろう。

 名を呼ばれたジェットは足を止めて立ち止まり、ルーナを見つめる。


「何?」

「えへへ。今日は自分で髪の毛やってみたんだけど、どうかなって……」


 そう言ってルーナは自分の頭を指さした。ハーフアップにされ、後ろは黄色のリボンで結われている。

 じーっと見つめてみるとルーナは途端に落ち着かない顔をした。

 以前、村にいた頃のルーナは髪の毛をほとんど結わなかったそうだ。やったとしても邪魔な時に一つにまとめるだけで、他人の視線を怖がってずっと髪の毛で顔を隠していたらしい。そのためルーナの髪結いスキルは低かった。

 最近はジェットのやり方を見て勉強したり、自分でやったりと着実にスキルを上げていっている。


「これ、俺のこと意識した?」


 ふ。と笑って、リボンに触れる。

 するとルーナの顔がぼっと赤くなった。


「……そ、そう、です……」


 途端に恥ずかしがるルーナ。「そうだよ!」と胸を張ってしまってもいいのに、強気な態度を取れるところまでには行ってない。

 不安げに上目遣いにジェットを見上げてくる。


「だ、だめだった……?」

「駄目じゃねぇっていつも言ってるじゃん。うまくできてるし」

「本当?」

「ほんと。まぁ、あんまりうまくなられると困るけど」

「えっ。どうして? 私はうまくできるようになりたいのに……」


 不思議そうに首を傾げるのを見て目を細め、リボンに触れていた手を動かして、髪の毛をそっと指先にからめる。


「俺が触れなくなるだろ」


 一瞬きょとんとしたルーナだったが、すぐにまた顔が赤くなっていく。

 こんなにすぐ顔を赤くしていて体調が悪くなったりしないのかと不思議だった。


「そっ、それは、その~……うまくなりたいのと、ジェットにやってもらうのは全然違うよ……。今後どれだけうまくなっても、ジェットにやってもらう時の嬉しい気持ちはなくならないし……ジェットにやってもらった時は特別だよ……」


 もごもごと言い淀みながらも言い切るところを見ると以前とは違うことがよくわかる。軽口のやり取りなんて以ての外ではあったが、こうして照れながらも自分の気持ちをちゃんと言葉にできるようになっていた。

 少なくとも自分への好意を隠さず伝えてくれることに笑みが深まる。


「ふーん? そうなんだ?」

「……もう。すぐそうやってからかう……!」


 最近、ジェットがルーナをからって反応を楽しんでいるということがバレている。ルーナはそれが不満らしいが、こればかりは悪魔としての性分や元々の性格でもあるので、どうにもならない部分が大きい。

 むう。と頬を膨らませるのを見て、その頬を軽く突いた。ルーナが拗ねたような視線を向けてくる。


「俺のこと好きなんだなってわかるのが嬉しいんだよ。まぁ、多少善処する」

「す、好きなのは当たり前、だよ……。……でも、ジェットはそういうの、見せてくれないのに」

「──俺がこんなに構うの、世界でお前しかいないんだけど」


 顔を寄せて囁いてみると、ルーナがぱっと離れてしまった。

 どうやら恥ずかしかったらしく、両手で頬を押さえている。ルーナが感じている感情が全て外に出てしまうのがおかしくて、それでいて愛おしい。

 以前、ルーナに恋愛感情を植え付けた時、好意がだだ漏れだった。そのことを思い出して少し笑ってしまった。


「……お前、本当にだだ漏れだな」

「え。えっ? 何が?」

「いやこっちの話。そういや、今日はレミのところには行った?」


 聞いてみるとルーナは静かに首を振る。

 レミは浄化された血を飲んだことで体調も回復し、今ではルーナと同じように生活している。血を飲み、普通に食事も取っているので魔力もほぼ戻っていた。

 そんなレミとルーナは『あること』についてずっとやり取りをしている。

 使い魔や自動人形(ドール)たちの修復、料理の他の新たな日課のようなものだ。


「今日もがんばって説得してくる……!」

「まぁ、頑張って」


 ぐっと両手を胸の前で握りしめるのを見て笑う。

 レミからは「お前たちからも何か言ってやってくれ」と言われているが、ルーナがやる気である以上ノータッチだ。ルディも同様で二人の様子を楽しく見守っている。正直、二人にとってはどちらでも良い問題なのだ。レミは何か思うところがあるようだが、好きにしてくれて構わない。

 ルーナの頭をそっと撫でる。ルーナは嬉しそうにしながら「大好きだよ」と言ってジェットの前を去り、レミの部屋へと向かってしまった。

 


◆ ◆ ◆



 体調と魔力が回復したとは言え、日光が体に毒であることには変わりがない。回復はしていても完全に回復したわけではないので無理は禁物だ。

 そのためレミの部屋は分厚いカーテンが常にきっちりと閉められていた。

 そんな室内で今日も今日とてルーナがレミにぐいぐいと迫っている。


「血! そろそろ欲しいんじゃないの?」

「だ、から、まだいいと言っているだろう!?」


 レミは狼狽えている。毎日この調子でルーナが来るのだから溜まったものではない。


「昨日も一昨日もそう言ってるけど……じゃあいつになったら必要になるの?」

「いつと言われてもな……体調次第だ」


 む。とルーナが不満そうに口を尖らせる。

 レミはあれからずっとルーナがこうして「血を飲んで欲しい」と言う度に断っていた。決して不要な訳では無いし、あればあるだけいいというのは事実だ。

 とは言え、レミには心理的な抵抗感がある。

 血を飲むこと自体への抵抗感ではない。あくまでも”ルーナの血”を飲むことへの抵抗感だ。


「何度も言うが、吸血鬼は血が毎日必要なわけじゃない。そんな風に飲んでいたらあっという間に人間がいなくなってしまう」

「あれから十日経ったよ。まだ要らないの?」

「オレは大丈夫だ。それにルーナは痛いのが嫌だろう? 解呪の時だってあんなに痛くないかどうかを確認していたじゃないか。……オレはルーナに痛い思いはさせたくない」


 目の前でルーナが頬を膨らませている。可愛いと思ってしまい、僅かに頬が緩んだ。


「い、痛いのは得意じゃないし嫌だけど……レミが相手だったら我慢できるよ。それに……前、レミがベッドでぐったりしてたことあったでしょ? あんなレミはもう見たくないよ……」


 ルーナの『血を飲んで欲しい』と言う意思はやけに堅い。どうしてこう毎日押しかけてきてまで血を飲んで貰おうとするのかが謎だったが、単純に自分のことを好きで心配しているからと、恩返しのためだというのがようやく実感としてわかってきた。

 しかし、『血を飲む』という行為はジェットやルディにはないものだ。

 それがずっと引っかかっている。


「ルーナ……心配してくれるのは嬉しいし、あんな無様な二度と晒さない。だから、そう急がなくていい」


 ゆっくりとそう告げるが、ルーナが納得した様子はない。腕を掴み、くしゃりと表情を歪めた。


「……本当は血が不味かったんじゃない?」

「え?」

「フェイさんから貰った私の血。ほ、ほんとうは、すごく不味くて……この先ずっと血を与えて欲しいって言ったの、後悔してるんじゃないの?」


 さぁっと血の気が引く。

 レミにはレミの事情があってずっと断り続けていたのだが、まさかそこまで思い詰めているとは思わなかった。

 ルーナは俯いて、肩を震わせる。

 泣きそうだと気付いた瞬間、その体を抱き寄せて腕の中に閉じ込めていた。


「違う、違うんだ……そうじゃない。ルーナの血は間違いなく美味しかったし、ずっと血を与えて欲しいと願ったのも本心だ」

「……でもレミは欲しがってくれない……」


 聞こえてくる声が涙声である。

 ぎゅうと強く抱きしめながら逡巡した。自分の抱えている懸念や不安を伝えても良いものかと迷ってしまう。

 しかし、ルーナの血を飲むことよりも、ルーナを悲しませることの方があの二人を怒らせるのもまた理解していた。


「……あの時のルーナの血より、今のルーナの血はきっと美味しいのだろうと思う。だからこそ不安なんだ……情けない話だが、理性が保てなくて血を飲みすぎてしまうかもしれない……それが怖い……」


 そう言ってルーナの肩口に額を押し付け、自分の中の不安を押し殺すように体をきつく抱きしめた。

 腕の中のルーナからは驚いた気配が伝わってきて、情けない気持ちと不安が大きくなる。

 おずおずと小さな手が背中に周り、レミの体を優しく抱きしめ返してきた。


「いいのに、そんなの……」

「駄目だ、取り返しが付かなくなるかもしれない」

「……私の知ってるレミは、ずっと冷静で……間違いなんて起こさないよ……」


 伝わってくる信頼が逆に辛い。だが、その信頼を裏切れないという気持ちも、あって。


「それでも私はレミに血を飲んで欲しいよ。……だって、他の女性(ひと)の血は飲んで欲しくないから」


 ぎゅっと抱きつかれ、離れられなくなる。

 ここまで言われて断ることは難しい。この問答をいつまで続けたとしても、いつかレミはルーナの血を飲むのだからそれが今でも問題はない。ルーナの気持ちを無視し続けることはもう難しくなってしまった。

 そっと顔を上げて、ルーナの顔を覗き込む。


「……良いんだな? 痛いんだぞ」

「えへへ。わかってるから大丈夫だよ」


 ルーナは涙に滲んだ目を細め、安堵したように笑う。そしてゆっくりと目を閉じた。

 ──これまで数え切れないくらいの人間の血を飲んできたが、こんなに緊張したことはない。

 ここ最近ルーナはずっと首筋から肩口が晒された服を着ていた。いつ飲まれてもいいように、ということだろう。いじらしさを感じながら晒された肌をそっと撫でれば、ピクッと震える。

 ルーナからも緊張が伝わってくる。

 噛まれて血を啜られるのだ。不安や緊張、恐怖を感じないわけがない。

 それでも「レミが好きだから」という一心でその身を捧げているのだ。

 肌に唇を押し付け、そっと舐める。


「……っ」


 再度ルーナが震えた。

 痛くない噛み方なんて考えたこともなかった──と思いながら、飢えた牙でその肌に噛みつくのだった。



◆ ◆ ◆



 ルーナがベッドに横たわり、ぐったりした様子で横たわっている。

 ルディはその傍らでルーナの手を握りしめ、血を失って青くなった顔をずっと眺めていた。


「……ルディ。ほ、本当に、大丈夫だから……」


 無理をして笑うルーナが痛々しい。

 とても大丈夫そうには見えず、ぎゅっと握りしめる。ルーナの手は白く、そして冷えていた。


「全然大丈夫そうに見えないよ~……とりあえずたくさん水分取って、レバーとかたくさん食べてね……」


 今朝、とうとうレミが観念してルーナの血を飲んだ。

 しかし案の定というべきか──それまで全く血を飲んでこなかったレミは久々の血を口にしたこと、吸血という行為を行ったこと、しかも相手がルーナという三つの要素が重なり合ったせいで普段の冷静さを保てず、ルーナの血を飲みすぎてしまったのだ。

 本人もそうなることをずっと懸念していて、そのせいでルーナの血を飲めなかった。

 レミが不安に思ってたのはルディたちもずっとわかっていたものの、まさかレミが我を忘れるなんて思っても見なかったのだ。なんだかんだで三人のうちで一番冷静で自制が効くのだと思っていた。

 が、結果はこれである。


「なんか、ごめんね」

「え? ど、どうしてルディが謝るの……?」

「僕、レミは失敗なんてしないって思ってたんだよ。ちょっと脇が甘いところはあるけど、……なんていうか、ルーナに対してこんな失敗するなんて思ってなくて……」


 がくりとルディは項垂れる。こんなことなら目の前で飲んで貰えばよかった。

 冷えた手が血の足りなさを物語っている。少しでも温めてあげたくて、両手でその手を包み込んだ。

 ルーナは目を細めてその様子を見つめていた。


「……私もそう思ってたよ。でも、私は血を飲んでもらえて嬉しかったから、良いんだよ。そ、それに……な、なんかね? 血を飲まれてる間、頭がふわふわしちゃって、なんかすごくいい気分だったの。それで『もっと』って言っちゃったのが悪かったんだと思う、から……」


 えへへ。と照れたように笑うルーナ。その顔を見てルディは口を尖らせた。

 ──吸血鬼による吸血が痛いだけではないのは結構知られている。吸血鬼本人から出るフェロモンや吸血時の作用でアルコールを飲んだ時のような酩酊感があるのだとか。人間によっては『吸血中毒』になる者もいるほどである。だから、ルーナがいい気分になるのは全くおかしなことではない。

 だからこそ、余計に面白くない気分なのだ。

 ぽふん。とルーナの邪魔をしないように彼女の隣に寝転ぶ。


「やっぱり吸血鬼(レミ)はずるいや。血を飲むってなんか特別なんだもん」

「そ、そう、かな?」

「そうだよ~。僕やジェットにはそういうのないしさ~」


 我ながらどうしようもないことを言っているとは思う。こんな風に拗ねたことを言ってもルーナが困るだけなのに。

 すぐ傍にいるルーナをじっと見つめる。

 ルーナは驚いたような困ったような顔をして目を見開いていたが、やがてゆっくりと唇を動かした。


「……それがわかりやすかった、だけで……ルディにとって何か特別なことがあるなら、したいと思う、よ……?」

「僕にとって特別……? それって……何でも?」

「うん、何でも。ルディが嬉しくなってくれることなら、何でもだよ」


 当然だと言わんばかりに微笑むのを目の当たりにし、少し考え込んだ。


「痛くても? ……我慢しちゃうの?」

「うん。でも、多分我慢っていうのはちょっと違ってて……ルディとならきっと何でも嬉しいし喜んじゃうから、我慢って言っても嫌な意味じゃないんだよ」


 ルーナがルディの手をそっと握り返す。

 ルディが何を望んでいるのか、ルーナは聞かない。多分想像もしてない。「何だろう、楽しみだなぁ」くらいしか考えてない。そういうある種無知なところに付け込んでいるのを自覚しつつ、自分が望むことを明確に言葉にするのもまだ早いと思っていた。

 ルーナが布団の中でごそごそと動き、体ごとルディへと向ける。


「大好きだから、我慢なんてしないよ」

「──……じゃあ、今キスしたいって言ったら、目を閉じてくれる……?」


 ルーナの表情が固まり、じわじわと赤くなっていく。あっという間に真っ赤になってしまった。冷えていた手も温もりを取り戻している。

 血が足りない状況でこんな反応になるとは思わず、ルディは少なからず慌てた。


「わわっ?! う、うそ、冗談! ちょっとヤキモチを──」

「い、いいよ。だいじょうぶっ……!」


 そう言ってルーナがぎゅっと目を閉じる。

 しまったと思うのと、ルーナの無防備すぎる様子に硬直してしまったのはほぼ同時だった。少しムキになってしまっただけで、本当に今したいとは思ってない。

 だが、ルディの前で目を閉じて横になっているルーナを目の当たりにしたら、まるで吸い寄せられるようにルーナに顔を近付けてしまった。

 レミに対してずるいと思ったルディをルーナが心配してこんな行動を取っている。

 そこに付け込むのはよくない。そういう関係を望んでいるわけじゃない。

 だが、どうしても抗えない。

 ほんの少しだけレミの気持ちがわかった気がした。

 ルーナに対する罪悪感と、二人に対して悪いことをしているという背徳感。それらが足を引っ張ってもなお、自分の欲望とルーナへの気持ちの方が上回る。

 そして、あと数センチというところで、ルディの体が乱暴に引き剥がされた。


「んぎゃっ?!」

「お前ふざけんなよ」


 ジェットだった。怒った顔をしてルディを見下ろしている。


「あ、あはは……」

「あははじゃねぇんだよ。そういうのはもっと後って話しただろうが。

 ったく。坊っちゃんもガキも本当に自制が効かねぇんだよなぁ……」


 ジェットは舌打ちをしながらルーナが横たわっているベッドに近づき、その頭をそっと撫でた。ルーナはさっきのシーンを見られたのが恥ずかしいのか、両手で顔を覆っている。

 起き上がって振り返れば、気まずそうな顔をしたレミもいた。


「ルーナ、お茶ですわ! 甘くて美味しいお茶ですのよ。しっかり水分補給をしてくださいまし」

「ジェットさまがスープを作ってくださいましたので、こちらもどうぞ。栄養をしっかりつけてくださいね」


 背後からトレーズが茶器を持って入ってきて、更にアインたち使い魔がスープの入ったお皿を持ってくる。それらをベッドのすぐ傍にあるテーブルの上に置いてルーナに飲むように言う。

 にわかにルーナの部屋が賑やかに騒がしくなってしまい、さっきまでの緊張を孕んだ甘い空気はあっという間に霧散してしまった。


「もー……レミが飲みすぎなければさ~……」

「……悪かった。反省してる……」

「あら! アタクシはイェレミアス様が血を飲んでくださって嬉しいですわ。血を取ったことで体調を崩す子はこれまでもおりましたし、ルーナも大丈夫ですわ。アタクシたちがきっちりサポートしましてよ!」

「ええ、ええ! そうですとも! ルーナのことはワタクシたちにお任せください!」


 項垂れるレミを庇うようにトレーズとアインが胸を張る。

 が、それをジェットが鼻で笑った。


「……お前ら料理できねぇのに何言ってんだ」

「そっ、そこはジェットさまとルディさまに何卒お力をお借りしたく……!!」


 アインが慌ててジェットの足元に近づき、ぺこぺこと頭を下げた。それを見たジェットが軽く肩を竦める。


「まぁそれくらいは良いけどさ。……レミには拠点を提供してもらってる側だし」

「それはそう。ルーナのためなら何でもやるよ、僕は」


 立ち上がってルーナを見る。

 ルーナは気恥ずかしそうにしたままだ。急ぎすぎたなぁと思いながら、少し距離を取る。

 ジェットも、アインもトレーズも楽しそうにしている。レミは血を飲んだことへの気まずさが尾を引いているようだけど、それでもここから離れる気配はない。


 あたたかく、穏やかな場所。

 こんな時間がずっと続けばいいなぁと思いながら、ルディはもう一度ルーナの傍に戻るのだった。

おまけでっす。

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― 新着の感想 ―
おまけ!!!! 最近ずっと「生贄、のち寵愛。」ロスだったので嬉しいです!
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