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心声・神歌が交わるときに  作者: 美海秋


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四十話

「(ああ、ああ…ああ…)」

「(そうか、そうか!)」

「(ああ、解放された!)」

「(本当によかった!)」

「(やっと、やっと、やっと!)」


モンスターに触れたとき、聞こえた声はそれだった。

何が起こったのか、それは正直なところ、わかっていない。

俺たちはモンスターに触れた。

それだけだった。


俺の声とウタの歌が届いたのかもわからなかったが、モンスターは一瞬びくっと動きを硬直させた。

そこから、先ほどの声とともにゆっくりと黒い人型が崩れていったのだ。

そして、それは上へと消えていった。

まるで、解放されたかのように…


「あれは何だったんだろうな」

「わかりませんが、黒い靄は消えたと感じました」

「そうか」

「はい。歌が届いたということでしょうか?」

「わからないが、そういうことなんだろうな…」


だが、そこで思い出す。

俺たちは、今この瞬間のことを…

儀式というものは、どうなったのかわかっていない。

モンスターが現れてからどれだけ時間がたったのかはわからない。

もし、物語というものがうまくいっているのであれば、こういうときには朝日が昇ってきてとなるはずだが、そんなことはならない。

どう変わったというのか、実際のところわからない。

そんなときだった。

頬に何かがあたる。

俺は頬に触れたそれを指で拭う。

触れたものというのは、ただの水だった。


「なんだ、水滴か…」

「え!」


ヨミが驚きの声を上げるが、俺はすぐにそれが理解できなかった。

ウエストに来て、初めて雨というものを知ったからだ。

だからこそ、それを理解したときには驚いた。

雨と呼ばれるものは、神木の下からしか降ることがなかったはずだからだ。

ざあーっと降り始めた雨に俺たちは驚愕するのだった。



「どうじゃ、あやつらは」

「うまくいっていますよ」

「それならよいのじゃ」

「そんなに心配なら、助言でもすればいいんじゃ?」

「わらわがそんなことをするのは間違っておるのじゃ」

「そうですか…」


素直じゃないなあ…

男はそう考えながらも、監視を続ける。

最初からこうなるということを、通信主はわかっていた。

だから、心配はしながらも下手に手助けはしなかったということなのだろう。

結果としては、かなりうまくいったのだから、正しかったというわけだ。

面白いことが起こるとは聞いていたが、ここまでとは思っていなかった。


「これからさらに面白くなりそうだ」

「当たり前なのじゃ」


通信主はそう言葉にする。

そして、すぐに男たちの会話は終わるのだった。



「もう行くのですか?」

「仕方ないだろ?このままいても、また余計なことに巻き込まれても嫌だしな」

「はい、もう御使い様などとは言われたくありませんでしょ?」

「言われてたのは、わたくしなんですけど」

「確かにそうでした」


俺たちは早々にこの場を立ち去ることを決めていた。

朝日が昇り、それなりに時間がたっても、ウエストに何かが起こるということがなかったからだ。

このままここに長時間とどまることも可能ではあったが、俺たちがやったことというのが知られれば、今回はうまくいったが、そうでなかった場合は非難されるのは当たり前の内容だったからだ。

だから、他の人が知らないうちに逃げるといった感じだ。

結局のところ、次に行く場所があるから、このままじゃダメだということだ。


「じゃ、死ぬなよ」

「わかっています。変えられましたから」

「だったらいい」

「はい」


今は何が見えているのかわからない。

だが、これだけ明るく返事ができているということは、いいことができたということだ。

俺たちは二人に見送られるようにして、次の都市へと向かうことになるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

今回で一時的に終了となります。

あまりにも人気がありませんでしたので……

また、次の機会がありましたら、読んでいただけると幸いです。

それでは、また

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