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心声・神歌が交わるときに  作者: 美海秋


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二十五話

「外の奴らをやったのは、お前か?」

「だったらどうなんだ?」

「お前みたいなひょろがりに負けるなんてやつは、教育が必要ってだけだ」


男はそう言葉にすると、ヨミのほうを見る。


「別に倒したことについて俺様は怒るつもりなどは毛頭ない。むしろ感謝しているくらいだからな、こいつらの実力が知れたわけだからな。それに、俺様が必要だと思った人材を連れてきてくれたことを褒めてやりたいくらいだ!」

「お前みたいなやつに褒められたところで、俺は何も嬉しくないけどな」

「そうなのか?それは残念だな」


男はそう言葉にしながらにやにやと笑う。

余裕がある男は、自分の力というのに自信があるのだろう。

その自信を与えているものというのが、間違いなくボディズになるのだろう。

男は、固持するようにしてそれを見せつける。


「わかるか?これがある以上有象無象であるお前らのような輩には負けることはない」

「他人からもらった力で勝てて嬉しいのか?」

「ふ…それで俺様を煽っているつもりか?生憎だがな、俺様はそんなことで心をかき乱したりなどありえない。それになあ、それを俺様に言うってことは、完全に負け惜しみということだ」


男は偉そうに言う。

だけれど、言っていることについては、確かにその通りではあった。

ボディズと呼ばれるそれは、確かに強力なものだ。


ボディズ。

そう呼ばれたものは、ボディは体を表すことからわかる通り、体に埋め込んだ特殊なものだ。

元々それは、欠落者に似せるために作られたものだったと言われている。

欠落者は、生まれながらにして能力を持った人たちのことを言うが、同じように力を後から持たせるために行った数々の実験から生まれたとされるのがボディズだ。

胸元に埋め込まれた機械のようなものを見るだけで、それがどれだけ異質なものなのかがわかる。


「どうだ?これのことがわかるのなら、その女を俺様に引き渡すだけで、終わりにしてやるぞ?」

「終わりにだ?そっちこそ、引くならここでだと思うけどな」

「ははは!お前は、何を言っていやがる?女の前だから恰好でもつけてるのか?わからないなら教えてやろう」


男は近くで倒れていた仲間の男の頭を掴む。

そして、そのまま力を見せつけるようにして男の頭を握りつぶす。

血しぶきが飛び、男は明らかに絶命したのがわかる。

ただ、それを見ながら男はこちらを睨みつける。


「おいおいおい、てめえらのせいで部下が一人死んだじゃないかよ」

「な、殺したのはあんたじゃない!」

「ああ?裏切っているやつが何をいっている?お前のことをずっと密告してくれたあいつは本当に便利だったなあ。それにくらべて使えないやつもいるもんだな」

「なんですって!」

「おうおう、怒るなんてこええなあ!」


男は嬉しそうに笑いながらも、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

先ほど力を見せつけているということもあり、威圧感というものがある。

それでも俺は待っていた、あるタイミングを…

男は何も行動しない俺たちのことを諦めたのだと思ったのだろう、悠々とこちらに向かって歩いてくる。


「ここだ」


俺はタイミングを合わせて手を思いっきり引く。

すると設置していた糸が男の体に巻き付いた。


「ほお」

「よし、うまくいった」

「すごいじゃないか、ええ?」

「今のうちだ、一度ここから離れるぞ」


男が糸で動けない今がチャンスだった。

捕まった男はまだ余裕のようでにやにやと笑う。


「いいぞいいぞ!今から逃げ惑うがいい!結局は生贄にならなければ、すべてが滅ぶということをわかったうえでな!」


俺はさっさとヨミを抱っこし、ウタの手を引く。


「いいのでしょうか?」

「いいの?」

「大丈夫だ」


俺はさっさと男の隣を抜けていく。

それに続くようにして全員が部屋から出ていくのだった。

一人不適に笑う男を残して…

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