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心声・神歌が交わるときに  作者: 美海秋


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二十四話

捕まってから、時間がそれなりにたったウタたちは、どうしようかと考えていた。

このまま捕まったままではいられないということくらいはわかっていた。

だからといって、どうやったところで、一人では抜け出すことはできない。

少しでも人が動いてくれれば…

ウタがそう考えたとき、願いが通じたのかはわからないが、外が騒がしくなる。


「おい、全員がやられたらしいぞ」

「本当に言っているのか?」

「言っているから、わざわざここまで呼びに来ていると考えないのか?」

「お前は知っていたか?」

「知りませんでした」

「これは確認をしたほうがよさそうだな。おい」

「はい」

「ここには六人だな。よし、お前とお前とわたしの三人で確認に行くぞ」

「「わかりました」」


会話とともに、いくつかの声は遠ざかっていくのがわかる。


「人数が減りましたか?」

「そうなんじゃないの?そもそも縛られてる状況で人が多いとか少ないとか関係がない気がするんだけど」

「そうなんですね。そういえば、今更なのですが、男の人はどうなりましたか?」

「決まってるじゃん。あいつはバカだから裏切ったのよ。だから、あのとき中に簡単に入られたし、あんたがいることもバレてたんだから」

「そうなんですか」

「そうなんですかって、いいの?捕まってるんだよ!」

「わかっていますが、怒るほどのことではありません。それに…」

「何よ…」

「そろそろ出ましょう」

「何を言って…」


ミミは驚いているが、ウタは言葉を口にする。


「解けろ」


ウタがそう言葉にすると、体に巻き付いていた紐が少し緩む。

セツに言われていたことで、あまり自分の能力というものを大々的に使うのはやってはいけないことだということを学んだ。

だからこそ、ウタは声の能力を少しだけ使う。

それによって、ほんの少し紐が緩んだことは内緒で、もぞもぞと動く。

これによって、動いたことで少しずつ紐が緩んだように見せかけることができる。


「ウタ、どうして…」

「えっと、それはほら、少しずつ動けば緩んでくるものでしょ?」

「そういうものなんだ。確かにうちなんかよりもよっぽどいい体だもんね」

「う、うん。そういうものかな」


急にそんなことを言われたところでなんと答えていいのかわからなかったウタは笑いながらも立ち上がると、隣のミミの縛りもとる。


「ありがとう」

「いえ、こういうときはお互い様だと思いますから」

「それはわかっているんだけど、こうなったのですら、うちのせいだから…」

「大丈夫です」

「大丈夫って言っても、縄を解いても、ここの部屋から抜けるのが一苦労するじゃない」


ミミがそう言葉にする。

確かにミミが言っているように、まだこの部屋を見張るという意味でも最低でも三人が外から見張りをしているだろう。

でも、ウタはなんとなく感じていた。

そろそろセツが助けに来るだろうと…

ウタ自身の場所をわかるようにしたのはウタの能力なのだからだ。


「なんだ?」

「あ!」

「うあ!」

「逃げ…」


三つの声がしたが、それはすぐに聞こえなくなる。


「何?何が起こってるの?」

「私は言いましたよ。仲間がくるって」

「あれって、本当のことだったの?」

「はい」


ウタは嬉しそうにそう言葉にして、扉を開けた。

そこにいたのは、セツとほかの女性の気配だ。


「セツ?」

「ウタ、久しぶりだな」

「はい、そうですね。久しぶりと呼ぶには早いかもしれませんが、久しぶりですね」

「何か怒っているのか?」

「怒ってなど、いません。別に、私は…」


ウタはそう言葉にするのだが、聞いていたウタ以外の人たちは怒っているだろうと感じた。

そして、セツと一緒に来ていた女性のことを何度も見返したミミが言う。


「御使い様」

「おい、その呼び方はやめてよね、ミミ」

「いえ、その…」

「いいけど…それよりも何が起こったのか、教えてくれる?」

「はい、簡単に言えば守護者の勝手というものになります」

「守護者…あの男のことね」

「はい。もとよりかなり身勝手なことで有名ではありましたが、今回のことはおかしいと思ってしまいます」


二人、ミミとヨミの話を聞いても全く会話についていけない。

守護者とはなんだろうか?

俺が疑問に思っていると、それを察してくれたのか、ヨミが説明をする。


「守護者というのは、文字通りウエストを守る人のことを言います」

「ということは強いのか?」

「はい。強いです。肉体にはボディズが作ったとされるものが宿っていますから」

「ボディズか…それは厄介だな」

「ボディズとはなんですか?」

「それについてはな、すぐにわかる」


俺はそう言葉にしながらも、入ってきた部屋のほうを見る。


「おいおい、これはどういうことだ?」


野太い声とともに男が一人入ってきた。

その男は、普通とは違っていたのだった。

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