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131-子供


 誰もいない小さな街の古物店で、(ばく)は黒い動物面を被った頭を抱えていた。

 対面に座る女も頭を抱え、今にも泣きそうな顔で紅茶の入ったティーカップを見下ろしていた。

 獏の傍らでは灰色海月(クラゲ)が控え、困惑していた。

「本当に……お願いします……。もう限界なんです……獏の手でも借りたいんです!」

 大きな発泡スチロールの箱を机に置き、女は震える声で嘆願する。

 文字をある程度読めるようになった灰色海月は、獏に願い事の手紙を見せずに独断で差出人を連れて来る。監視役なのだから罪人に窺わずに自ら判断して善行をさせるべきだ。宵街(よいまち)での教育を経て彼女はそう考えた。まさかこんなに頭を抱える事態になるとは想像していなかった。

「友達が……偶には息抜きに、って……奢ってくれるんです……。でも託児所は見つからないし旦那は遊びに行くし……! 一日だけでいいんです、ベビーシッターをしてください!」

「き……気持ちはわかるよ。限界だって凄く伝わる……。でも赤ん坊はね……獣は子供なんて産まないし見る機会も無くて未知の生物なんだよ。見ず知らずの僕より、知人に預かってもらう方が安心だよ」

「引越して実家は遠いし友達もできないんです! 何せ殆ど家に籠もってますから!」

「人間のベビーシッターに頼めばいいんじゃないかな……」

「見ず知らずの人間を家に残して行くのは不安じゃないですか!」

「見ず知らずの獏はいいの?」

 女は頭を下げながら、目の前の大きな箱の蓋に手を掛ける。

「タダとは言いません! 遅めの出産祝いで貰った蟹を持って来ました! 見てください、タラバですよ! こんなの貰ってもゆっくり食べられませんから! めでたい、で鯛にするか悩んだそうですけど!」

 蓋を開けると、中には大きくて真っ赤な蟹が収まっていた。女は必死だ。獏も憐れみを籠めた目で女を見る。

「何の箱かと思ったら……こんな手土産、初めてだよ」

 幾ら断っても女は引き下がらなかった。小さな命を預かることを拒む優しさを見せるが、限界だと言う女の気持ちが勝っている。獏も(ほとほと)困り果て、傍らに佇む灰色海月を見上げた。獣は殆どが子供など産まないが、変転人は子孫を残す生物だった過去がある。

「クラゲさん……赤ん坊は……育児の経験はある?」

 突然話を振られた灰色海月ははっとした。彼女は人の姿を与えられてからまだ一年半程度しか経っていない。変転人となってからはそんな機会は無い。つまりその前、海月だった頃を訊かれているのだ。灰色海月は一旦考え、唾を呑んで真剣に答えた。

「……人間の赤ん坊はどの段階でしょうか? プラヌラ……それともポリプ? ストロビラ? エフィラ……?」

「ごめん。僕が悪かったよ」

 海月は成長して姿が変化する度に名前も変わっていく。そもそも海月は育児などしない。人間の赤子を見る機会の無い彼女には、人間のそういった知識が無い。

「すみません。私の勉強不足です。少し待っていただけますか? レオ先生を呼んできます」

「ああ……レオさんは経験豊富だし頼りになるかも……」

 灰色海月は頭を下げ、灰色のスカートを抓み上げて急いで店を出た。黒色蟹は無色の変転人の中では最年長だ。とても頼りになるので、獏も少し肩の荷が下りた。仕事中でなければ良いのだが。

「……あれ? 雄の蟹って育児するのかな……?」

 突然不安になったが、目の前で限界を迎えそうな女を見ていると自然と冷静になれた。

「えっと……助っ人を呼んできてもらうから、紅茶でも飲んで肩の力を抜いてよ」

「紅茶……今までゆっくり淹れる時間も無かったです……。美味しい……」

 紅茶を啜ると少し落ち着いたようだった。余程追い詰められていたのだろう。彼女の友達が息抜きに奢ると言い出した気持ちがよくわかる。友達ができないと言いながら、奢ってくれる友達はいるようだ。

 赤子の面倒を見るだけなので、他の無理難題を突き付けられる願い事よりは叶え易いのだが、如何せん獏は人間の赤子の面倒を見たことが無い。幾ら人間が嫌いとは言え、言葉を話せない程の未熟な人間を粗雑に扱うことは躊躇う。

「あの……必要なことは教えられるので……何卒……」

 机に額をぶつけて願う女を見ていると、突き返すのも躊躇ってしまう。今後はこういった願い事は避けるか、先に獏に確認するよう灰色海月に言っておくことにする。

 少し時間は掛かったが、灰色海月は足早に長身の青年――黒色蟹と、その後ろに黒い少女――黒色(くろいろ)海栗(ウニ)を連れて戻って来た。黒色海栗も元は動物なので、連れて来たようだ。黒色蟹の身長では出入口が少々低いので、彼は褐色頭を少し下げて入る。

「レオ先生を見つけてきました」

「先約があるので手短にお願いしま……」

 黒色蟹はいつも予約が入っていて多忙だ。頼れると言うことは、それだけ仕事を頼まれるのだ。

「机のそれは?」

 大きな箱に気付いた黒色蟹は要件よりもそれに釘付けになった。

「手紙の差出人が手土産に持って来た鱈場蟹(タラバガニ)だよ」

「蟹……」

「あっ……」

 黒色蟹が人の姿を与えられる前は、埋扇蟹(ウモレオウギガニ)と言う蟹だった。食べるために持参された蟹と対面するのは不味いのではないかと獏も焦る。

「あんまり気分が良くない……よね? こういうのは……」

「いえ、お気になさらず。僕を食べるなら殺しますが、鱈場蟹はどちらかと言うと寄居虫(ヤドカリ)なので。足の数が違うでしょう? 蟹は十本、僕も十本、こいつは八本です。食物連鎖も理解してます。それで、要件は」

 彼の手足は今は四本だが、経験豊富な無色の最年長は淡々と話を戻す。目は無感動に鱈場蟹を見下ろしているので、気にしてはいるだろう。足の数が違うとは言え姿は蟹に似ているので、気にするなと言うのは無理だ。

「う、うん。忙しいのにありがとう。手短に……育児経験はある?」

「育児……ゾエアですか? メガロパ……?」

「凄く似た遣り取りをついさっきした気がするよ」

「きっとプルテウス」

 黒色海栗まで加わり、自身の幼生の名前を口にする。

「ごめんね、言い方が悪かったよ。人間の、育児経験もしくは知識はある?」

 二人はすんと口を噤み、眉を寄せた。黒色蟹もさすがにそんな経験は無いらしく、珍しく表情が険しい。

「海月と海栗は脳が無いので、変転人となる前も育児をしていたとは思えません」

「凄く馬鹿にされた気がします。確かに脳味噌はありませんでしたが」

「蟹は蟹味噌がある……」

「人間が蟹味噌と呼ぶ物は内臓です。僕を食べると殺しますよ」

 灰色海月と黒色海栗は対抗するが、黒色蟹の方が上手(うわて)だ。二人は不満そうだが、脳が無かったのは事実である。蟹にも人間のような脳は無いが、脳と言える部分はある。彼には勝てない。

「僕では力になれそうにないので、宵街で誰かに声を掛けてみましょうか?」

 脳で張り合っていたが、雄の彼に育児経験は無い。

「誰かって? 君達の話を聞いてたら、変転人には頼れなさそうだけど」

「……そうですね。哺乳類は難しいです」

 黒色蟹が目を伏せるので、獏も申し訳無くなってしまった。責めているわけではないのだ。

 人間の女は一連の会話を聞きながら、この哺乳類達は何の話をしているのだろうと首を捻る。

「レオさん。気持ちは受け取っておくね。ありがとう」

「いえ。獣の力になるのは当然です。予約があるのでそろそろ失礼します」

 褐色頭を下げ、黒色蟹は淡々と踵を返した。本当に忙しそうだ。

 残された黒色海栗は手が空いているので、留まって灰色海月を見上げる。

「私も力になれるよう頑張ります。修行の成果を見せます」

「わからないけど、私も頑張る」

「うーん……じゃあ願い事を引き受ける、ってことにしようか」

 渋々ではあるが獏の決定に、女は不器用な笑顔を上げた。上手く笑えないのか口の端が引き攣っている。

「やったあ! 久し振りの旅行!」

「えっ、友達の奢りって旅行なの? 泊まるの……?」

「いえ、日帰りで温泉です!」

「そっか、日帰りなら良かった。じゃあ楽しんで来てよ。こっちは必死に遣っておくから」

「ありがとうございます! お土産も買ってきます!」

 女は何度も頭を下げ、気持ちも軽く立ち上がった。

「では帰ります! 子供を待たせてるので」

「ん? 今は子供は誰かに預けてるの?」

「急だったので、ベッドに置いて来てしまい……」

「そうなの? じゃああんまり待たせられないね。代価の話は今度しよう」

 引き止めることはせず、獏は女に手を振った。頭を下げて灰色海月に連れられながら女も手を振る。

「赤ん坊を残して来るなら、僕から出向いても良かったかな」

 残された黒色海栗は小首を傾げ、置かれていた椅子に座った。先程から動く物が視界に入り、気になっていた。

「獏、あれは何?」

 黒色海栗は獏の背後を指差し、獏も怪訝に振り向く。彼女の指先は台所の前に置かれた硝子の鉢を指していた。中で赤い小さな魚が水草の間を泳いでいる。

「金魚だよ。貰ったんだ」

「名前は?」

「無いよ。ふふ、また名前を付けるのかな?」

 今は宵街に世話を任せているが、獏が飼っていた黒猫に名前を付けたのは彼女だ。黒猫には黒豆と名付けていた。

「付けてあげる。……ジョロキアとキャロライナ」

「辛そう……」

 それはどちらも激辛と言われる唐辛子の名前である。想定外の名前が飛び出して獏は困惑したが、黒色海栗にも金魚が美味しそうに見えるのだろうか。彼女が辛い物が好きだと聞いたことは無いが。

 困惑はするが思考を戻し、獏は善行に集中する。ベビーシッターは三日後だ。どうしたものかと獏は腕を組んで悩む。



 善行の日の朝、首輪を嵌められた獏は灰色海月と黒色海栗と共に契約者の女の住むマンションを訪れた。中に入る前に指の輪で覗いてみたが、女の夫は既に外出しているようだった。

 手を触れずに解錠してドアを開けると、玄関で待っていた女が勢い良く立ち上がる。

「お待ちしてました! 子供は今寝てます! 大体のことはこのメモに! 行ってきます!」

「え」

 メモを獏に押し付け、御洒落をした女は鞄を抱えて飛び出してしまった。急ぐ背中はすぐに角を曲がって見えなくなってしまう。願い事の代価の話をしようと考えていたが、会話の隙など無かった。

「……しょうがないね。もう少し早く来れば良かった。メモを確認しよっか」

 いつまでもドアの前に立っていると不審に思われる。灰色海月と黒色海栗を中へ入れ、獏はドアを閉めた。

「さて。いつもなら土足で上がる所だけど、相手は赤ん坊だからね。靴を脱ごうか」

「危険物はありませんか?」

「赤ん坊がいるなら、床に危険な物は無いだろうけど」

 三人は狭い玄関でブーツを脱ぎ捨て、ひたりと床に足を置いた。あまり味わえない感触が心許無い。普段特に踵の高いブーツを履いている灰色海月は、脱いでもつい爪先を立ててしまう。

 短い廊下の奥にあるドアを開けると、隅に背の高い子供用のベッドが置かれていた。棚の前や壁際に玩具は転がっているが、中々綺麗に片付けられている部屋だ。棚に無理矢理押し込まれている物もあるが、足元は片付いている。獏が来るため、急いで片付けたのだろう。引き戸の向こうの部屋に物が放り込まれているかもしれないので、そこは開けないでおく。まずは赤子の確認だ。ベッドに近付き、獏は目を丸くした。

「え……二人?」

 同じような年頃の赤子が仲良く並んで眠っている。契約者に赤子の数は聞かなかったが、一人だと思い込んでいた。

「双子だよね……。確かにこれは面倒を見るのが大変かも……」

 顔を上げてメモを開こうとし、ふと視線を感じて目を下ろす。二対の澄んだ瞳がじっと獏を見上げていた。見る見る内に双子の表情が歪んでいく。

「あっ……ごめん! 泣かないで!」

 そんなことを言っても聞くはずがなく、赤子は二人揃って大声で泣き始めた。メモを一瞥するが泣き止ませ方は書いていない。

「マレーバクのお面が怖いんじゃないでしょうか?」

「そ、そう!?」

 赤子相手に顔を見られるのは嫌だとか言っている場合ではない。慌てて黒いマレーバクの面を外すが、泣き止む気配は無かった。面を外した所で、人間には見慣れない金色の双眸も怖いのかもしれない。

「駄目だお手上げ!」

 獏は手を翳し、赤子達をぴたりと眠らせた。

「……ふふ……強制入眠の力を使えるようにしてもらってて良かった……」

 狴犴(へいかん)に悪夢を食べる許可を貰った後に、悪夢を対峙するためにどうしても必要だと適当な理由を付けて力の使用を許してもらったのだ。普通の罪人ならどんなことを言っても力の使用は認められないが、獏は普通ではない特権を持っている。そして悪夢に干渉する特権を持つ獏以外には、悪夢関係の嘘を吐いても露見しない。

 一度に大人数を眠らせることはできないが、一人や二人なら簡単に眠らせられる。この力はつい最近も善行で使用した。

「母親が出掛ける前に御飯は食べさせてるはずだし、トイレも済ませてるよね……? 母親がいないから泣いたのかな」

「これならベビーシッターも余裕ですね」

「暫くは眠ってるけど、夜まで眠ってるわけじゃないよ。大きな音を立てれば起きるし。まあとりあえずメモを確認しようか」

 動物面を被り直し、獏は人差し指を口元に当てて台所へ移動する。灰色海月と黒色海栗も音を立てずに付いて行く。

「えっと、まずは……『キッチンの洗い物をして、洗濯機の中の洗濯物を干してください』」

 顔を上げると、流し台の上に汚れた食器が積まれていた。明らかに一食分の量では無い。昨日の分もある。そして遠くで洗濯機が洗濯完了の音を甲高く発し始めた。

「……家事もするの……?」

 獏の頬は引き攣った。

「いい度胸だね……僕を動かすのはタダだと思ってるんじゃないだろうね。洗濯機が煩いから、ウニさん行ってきてくれる? 洗濯物を持って来て。クラゲさんは食器洗いをお願い」

「わかった」

「不器用な獏には、割れ物は任せられないですね」

 黒色海栗は音のする方へ静かに走り、灰色海月は灰色の袖を捲り上げた。獏はメモの続きを確認する。

「赤ん坊の御飯は……離乳食みたいだね。後はオムツ……。あ、僕達のために食料を用意してくれたみたい。机にある袋に入ってるパンは食べ放題だって。三人分あるかな?」

 台所から食卓を覗くと、白いビニル袋が見えた。赤子のベッドを一瞥し、静かに袋を覗く。パンが十個詰め込まれていた。

「一人三個……僕は充分だけど、クラゲさんとウニさんは足りるかな? 足りなかったら僕の分を食べて」

 獣と違って普通の人間のように腹が減る変転人には食事は必須だ。人間に比べれば多少食べずとも平気だが、優先すべきは変転人の腹だ。

「獏。洗濯物持って来た」

 大きな籠に洗濯物を詰め込んで戻った黒色海栗は次の指示を仰ぐ。

「じゃあ干そうか。天気が良さそうだし外に……」

 少し考え、獏は首を振った。

「……やっぱり室内に干そう。ベランダに出ると目立っちゃう」

 部屋の隅に部屋干し用のスタンドを見つけ、引っ張り出して置く。窓の前なら少しくらいは太陽の恩恵が得られるだろう。

 黒色海栗は籠から拾った湿った服をそのまま棒に放って引っ掛け、次の服に手を伸ばす。二着目も同じように、一着目の上に放って重なる。そして三着目に手を出した。

「……ウニさん。契約者が用意してくれたパンがあるんだけど、どれを食べたいか選んでおいで。お昼に食べよう」

「! 見る」

 獏が指差した食卓へ急ぎ、黒色海栗は振り返らない。獏は彼女が干した洗濯物を下ろし、改めて一着目を広げた。

 変転人は人間に近いが、人間の体のようにあまり汚れることはない。表面に関しては人間より人形に近いかもしれない。なのでシャワーや洗濯の必要もあまり無い。そのため洗濯に慣れていない変転人は多く、一人で住んでいる者が多いので洗濯物の数も少ない。黒色海栗のように場所を気にせず適当に放り投げて干す者は珍しくない。

 大人二人分と赤子二人分の洗濯物を、慣れないながらも干した獏は台所へ戻る。灰色海月はさすが菓子作りが趣味なだけあって、洗い物は問題無くできている。獏は洗った食器を拭く役を引き受ける。元の位置がわからないので食器棚には仕舞えないが充分だろう。代価は多めに戴くことにする。

「獏。焼きそばパン貰っていい?」

 大事そうにパンを抱えて遣って来た黒色海栗を振り返り、獏は微笑む。

「いいよ。好きなのを選んで。クラゲさんも後で選んでね」

「パンですか……あまり詳しくないですが、トーストはわかります」

「トーストは無かった」

 黒色海栗は食卓へ引き返し、パンが詰まった袋を提げて戻る。中から一つずつ取り出し、灰色海月に見えるよう差し出した。

「その白い……海月の笠のようなパンは何ですか? それがいいです」

「獏、これ何?」

「ん? メロンパンかな。メロンの形に似せてるだけで、メロンの味はしないと思うけど」

「メロンなんですか? 海月だと思いました」

 灰色海月は残念そうに目を伏せ、洗い物に手を動かした。

「人間の意図はともかく、君がそう見えるんなら、その可能性もあるってことだよ」

「そう……ですか?」

 上手く理解できなかったが、適当なことを言っているのかもしれない。灰色海月は手元に集中することにした。

「ウニさんもメモを見ておく?」

「見る」

 パンを置き、黒色海栗もメモに目を通す。オムツの替え方もざっくりと書かれており、眉間に皺を寄せた。初めて見る物や工程を理解するのは時間が掛かりそうだ。ベッドの近くに無造作に転がっていたオムツの袋を開けて確認する。わからない物は実際に広げて見るのが一番だ。

 洗い物が一段落すると遣ることが無くなったので、三人はテレビの前に座った。赤子はまだ眠っているが、見える範囲で待機していた方が良いだろう。音量を小さく絞り、人間の情報を仕入れる。何が面白いのかテレビの中の人間は笑い続け、少し不気味に感じた。

 画面に食べ物が出て来ると灰色海月は興味深そうに、黒色海栗は喰い入るように画面に齧り付く。食べ物だけは獣や変転人にも理解できる。

「獏、これ食べたい」

 画面に映し出されたそれは、堆く積まれたホットケーキに琥珀色のシロップがとろりと滴り、きらきらと輝いていた。

「ホットケーキなら、贔屓(ひき)が住んでる喫茶店にあったんじゃないかなぁ」

「盲点」

「私はあれが作ってみたいです。難しそうです」

 色取り取りの果物やクリームを飾り付けた白いケーキを指差し、灰色海月はテレビに近付く。

「食べるのが勿体無いね」

 そうして寛いでいた束の間、視線を感じた。

「…………」

 あまり見たくはないが、少し離れた位置にあるベッドを恐る恐る見上げる。目が合った瞬間、赤子が一人泣き出した。釣られてもう一人も目を覚まして泣き出す。

「ああもう何!? やっぱりお面が駄目なの!?」

 動物面を外し、辺りを見渡す。玩具箱を見つけ、音の出る玩具を拾って赤子の目の前で振り回した。

「クラゲさんとウニさんも玩具を持って!」

「慌てふためく貴方を見るのは新鮮です」

「人間の赤ちゃん、声が大きい……」

 三人で喧しく玩具の合奏を披露するが、赤子は一瞬興味を示すも泣き止まなかった。

「また眠らせるのは駄目ですか?」

「何で泣いてるのかわからないからね……もしお腹が空いてたら、強制的に眠らせるのは不味いでしょ? 眠らせても問題無いか見極めないと眠らせられないよ」

 泣き止まないので玩具を一旦置き、獏は赤子の体と頭を支えながらゆっくりと抱き上げた。

「赤ん坊と言えば揺籠だと思うんだけどなぁ……見当たらないから抱くしかない。とりあえずオムツを確認しよう」

「え……あの、体が何かぐにゃぐにゃしてます……海月もぐにゃぐにゃですが、人間も骨が無かったんですか」

「僕が床に下ろすよ。二人はこっちを確認して」

 不慣れな二人に突然抱き上げろと言っても難しいだろう。海の中では海月も海栗も赤子を抱き上げることなんて無い。獏も経験は無いが、見たことはある。想像よりも重い。

「獏、たぶん何も無い」

「やっぱり貴方が怖くて泣いたのでは?」

「うう……じゃあ僕は離れてる……」

 とぼとぼと食卓の陰に蹲んで隠れ、獏は膝を抱えた。灰色海月と黒色海栗が再び玩具を振り回すと、突然すんと泣き止む。二人は同時に獏へ目を遣り、赤子ながら獏の異質さを感じ取っているのではないかと考えた。だがこれでは獏はベビーシッターに参加できない。

 灰色海月は玩具を黒色海栗に託し、両手で振り回す彼女に赤子を任せて獏へ質問に行く。赤子を驚かさないよう、ゆっくりと中腰で慎重に離れた。

「何をすればいいか教えてください」

「そう言われても……ずっと眠ってたから遊びたいのかな……。好きにさせておいていいけど、絶対に目を離さないようにね。僕もここから見守ってるけど、すぐに手が届かないから。あの年頃は何でも食べるみたいだから、口には気を付けて。絶対入れさせちゃ駄目だよ」

「わかりました。抱き方も教えてもらっていいですか?」

「落とさないように……あと頭が重そうだから、支えてあげて。無茶をしなかったら大丈夫だと思うから」

「わかりました。御飯はどうしますか?」

「え? もう? 僕が準備するよ……それくらいしかもうできそうにないし……」

「やっぱり獣だからでしょうか?」

「子供は敏感だからね……。でも言葉を話せるくらい成長した子供には寧ろ怖がられないんだけど……あ、ウニさんがこっち見てる。行ってあげて」

「はい」

 灰色海月を見送り、獏は台所に置かれていた離乳食のパックを開ける。

 動物の赤子は可愛いと思うが、人間の赤子はどうもそういう感情が湧かない。獣は人型とは言え動物に近いと言うことだろうか。それとも単に獏が人間を嫌っているからだろうか。

 パックを電子レンジに入れ、扉を閉めて獏は暫し動きを止めた。

(電子レンジって……どうやって動かすんだろ……)

 コンセントは差したので画面が点灯しているが、今まで電子レンジを操作する機会が無かった。見たことは何度もあるし獏の牢にも存在するが、使用しているのは灰色海月だ。獏は腕を組み、電子レンジを凝視する。ここで彼女に助けを求めては獏は無能だ。

(一番大きな『あたため』ボタンが重要なことはわかる……後は何? 時間? 温度? メモには軽く温めるとしか書かれてないし……軽くって何? そんなボタンは無い……)

 とりあえず『あたため』ボタンを押してみるが、何も起こらなかった。

「遣りましょうか?」

「あ」

 電子レンジの前で固まってしまった獏を見兼ねて、灰色海月は慣れた手付きでボタンを押した。

「軽くがわからないので、途中で開けてもいいです」

「温めてる最中でも開けていいの? 爆発しない?」

「そんな危険物が一般家庭に普及してるんですか?」

 用が終わると灰色海月は玩具を手に戻って行く。彼女がいてくれて良かった。最近は獏もよく人間の食べる物を食べているが、その前は鉄屑を食べていた。料理なんてしたことが無い。

 電子レンジが音を鳴らす前に扉を開け、パックに触れて温度を確認する。爆発しなくて安心したが、物足りない温度だ。

(普段飲む紅茶に比べると全然熱くないけど……冷たくないならいいのかな。軽くだし……)

 手を翳してパックとスプーンを浮かせ、灰色海月の許へ飛ばす。

「座らせて食べさせてあげて。ゆっくりでいいよ」

「はい」

 獏が声を掛けると赤子がまた顔を歪め始めたので、慌てて食卓の陰に蹲んだ。もう完全に敵だと思われている。

「人間なんて嫌いだ……」

「獏、可哀想」

 黒色海栗は豪快に掬った離乳食を赤子の口に突っ込もうとし、灰色海月に止められた。赤子はそんなに口を大きく開けられない。黒色海栗と灰色海月はどちらも変転人になって数年であり黒色海栗の方が年上ではあるが、灰色海月の方が獏と共に人間と接する機会が多いため要領が良い。

「私も役に立てない」

 黒色海栗は表情が乏しいが、肩を落として獏の許へ撤退する。やはり育児は難しい。

「充分役に立ってるよ。僕なんて近付かせてもらえないんだから」

「人間は一人で御飯も食べられない。弱い」

 焼きそばパンの袋を開けながら、黒色海栗は床に座る。以前獏との善行中に食べた焼きそばパンが気に入っていた。

「そうだねぇ」

「……あ」

 一人が食事をしている傍らで、もう一人の赤子が獏の動物面の鼻を掴んで床に叩き付け放り投げた。面を外して置いていたことを思い出し、獏は手を翳して回収する。面がふわりと宙に浮くと赤子は目で追うが、泣き出しはしなかった。

「こっちを見るからまた泣くかと思ったけど、視力が低いのかな。この距離を保てば泣かれないみたい」

 獏と黒色海栗は灰色海月の奮闘を見守り、何とか双子に食べさせた彼女はパックのゴミを手によろよろと立ち上がった。黒色海栗と面倒を交代し、灰色海月も食事を摂る。

「お疲れ様。僕も手伝えたら良かったんだけど」

「……人間は大変です」

 一度腰を伸ばし、灰色海月は獏の隣の床に座った。大きさの所為もあるだろうが、人間の赤子より子猫の世話の方が楽だった。子猫の世話をしていたのは主に黒葉菫(クロバスミレ)だが。

 灰色海月はメロンパンの袋を開け、一口頬張る。表面のざくざくとした食感の後に、柔らかな感触が広がる。メロンの味はしないが、程良い甘さで灰色海月は満足そうな顔をした。

「甘いパンは御菓子と言っても過言では無いですね」

「菓子パンって言うもんね」

「言うんですか? 自覚があったとは……」

 灰色海月はメロンパンを頬張りながらふと傍らへ目を向け、もくもくと口を動かす。

「貴方のそれは……何ですか?」

「チョココロネだよ。あっ、食べたかった?」

「変な食べ方をしてるので」

「変?」

 くるくると巻かれた円錐形のパンの端を齧り、中央に詰められているチョコレートクリームを無視して螺旋を解いて食べている。その食べ方が正解なのか、灰色海月には知識が無い。

「……真ん中のチョコはどうするんですか?」

「落ちそうなら食べるよ。初めて食べたけど、勝手にパンが解けたんだよ」

「…………」

 灰色海月はメロンパンを半分に裂き、両手に持った。落ちそうなチョコレートクリームに狙いを定め、左右から挟む。

「あっ」

 メロンパンにチョコレートクリームを挟み打ちにされ、攫われてしまった。

「あー……」

 切ない声を出す獏を尻目に、灰色海月はチョコレートメロンパンに昇格した物を頬張る。

「何てことするの……」

「私は今日、これくらい頑張りました」

「うん……頑張ってたね。じゃあしょうがないか」

 チョコレートクリームを大量に失ったパンを解きながら食べ進める獏を見て、灰色海月もチョコレートメロンパンを見下ろす。

「怒らないんですか?」

「え? 何で?」

「…………」

「怒られると思ったの? ふふ。体力を回復するには食べないと、ってわかってるからかな。獣にとっては凄く重要なことだから。お腹が空いてるなら食べるべきだよ。一言言ってくれると、驚かずに済むけどね」

 獏は相変わらず優しい。優しくて灰色海月はばつが悪くなった。獏が引き受けた善行なのに獏は何もしない、と不満があったのでチョコレートクリームを奪ったが、そう言われてしまうと自分の器の小ささが恥ずかしくなってしまう。

「あ。ウニさんには遣っちゃ駄目だよ。ウニさんは食べるのが好きだから」

「今度チョコレートで何か作ります……」

「わあ、それは楽しみ」

 その後も灰色海月は黒色海栗と奮闘し、獏は遠くから見守った。赤子が泣き出すと一同は慌てふためいたが、何とかあやした。窓の外が暗く黒くなっても契約者は帰って来なかったが、久し振りの休息に羽を伸ばして楽しんでいるのだろう。獏達は文句は言わずに赤子の世話を続行した。灰色海月は菓子パン、黒色海栗は惣菜パンが気に入ったようだ。

 獏は見守っているだけなこともあり体力に余裕があるが、灰色海月と黒色海栗が欠伸を始めた頃、漸く玄関のドアが開いた。

「もうすぐ九時だね。赤ん坊もベッドに戻そうか。眠る気配が無いけど」

「わかりました。慎重に……」

 泣かないかと緊張をしながら灰色海月は一人を抱き抱え、摺り足でベッドへ進んだ。壊れ物を扱うと言うより最早危険物だ。少しでも揺らすと爆発しそうな物を抱えているようだ。獏も動物面を被っておく。


「ば、獏!」


 ドアから玄関を覗いていた黒色海栗は、慌てたように駆け寄って来た。

「……おや」

 その理由は直後に判明した。ドアを開けて入って来たのは契約者の女ではなく、見知らぬ男だった。

「は……?」

 男もまた見知らぬ一行に眉を寄せて警戒する。おそらく契約者の夫だろう。

 動物面を被り如何にも怪しいが、見守るばかりだった獏が説明を買って出る。このまま見守っているだけでは代価を戴くのが申し訳無いくらいだった。

「奥さんから聞いてないかな? 僕達は留守中の赤ん坊の世話を頼まれたベビーシッターだよ」

「ああ……? ベビーシッター?」

 男は顔を顰め、不審な獏とベッド脇に控えている灰色海月と警戒する黒色海栗を順に見回す。彼は平凡な容姿の男性で、表情には敵意が感じられた。

(気が短そうだな……ちょっと突いてみようかな)

「……じゃあ泣かさないよう世話しといてくれ。風呂に入る」

 踵を返して部屋を出ようとするので、獏は呼び止めた。遊び疲れているだろうが、赤子の世話以外にも面倒なことが残っているのだ。

「待って。サービスで途中まで遣ったけど、食器を仕舞ってよ。僕達は仕舞う場所がわからないんだ。洗濯物も。乾いてるから畳んでよ」

「はあ!? 何でそんなことしなくちゃならないんだ! 俺は疲れてるんだ」

「そっくりそのまま返すよ。ベビーシッターの僕達が何でそんなことしなくちゃいけないの? 僕達は疲れてるんだから」

「真似するな!」

 大声を出す男に眉を顰め、獏はベッドを一瞥する。表情を歪める二つの小さな顔が視界に入った。

 大声の所為なのか獏の動物面の所為なのか双子は泣き出し、男は舌打ちをした。

「おいベビーシッター! 泣き止ませろ! 煩いんだよ!」

「君は血縁者なんだし、君の方が懐かれてるんじゃないの?」

「は? 俺に遣れって言うのか!?」

 一際甲高く泣き叫ぶ双子に、男もどうしようもなくベッドに駆け寄った。抱いてあやすのかと見守るが、彼が出したのは片手だけだった。

「あ、ちょっ……」

 幾ら男の手は大きいからと言って、赤子を片手では抱き上げられない。あまりに危険だ。

 獏の刹那の焦燥を感じ取り、先に黒色海栗が動いた。

「――駄目!」

「!?」

 助走を付けた彼女の足は振り上げられ、下から勢い良く男の股間を蹴り上げた。男の口から子犬のようなか細い声が漏れ、前のめりに膝を突く。

「ウニさん!?」

「ハイキックしようとしたけど、引っ掛かった」

「凄い所に引っ掛かったね……」

 赤子に差し出された手は下げられ安心したが、男が床に貼り付いてしまった。だが怪我の功名か赤子は泣き止んだ。赤子は何が起こったのか理解していないだろう。

「そんなに痛い?」

「……まあ死んでないし、意識もあるから大丈夫じゃないかな。折角だしこの人から代価を戴いておこう。夫婦だし連帯契約だよ」

 また適当なことを言っている。と灰色海月は思ったが、口出ししない方が丸く収まるだろう。

 獏は床に額を擦り付けて呻く男の肩を蹴り、床に転がす。歯を喰い縛る姿が滑稽で、獏は笑いながら蹲んで男の双眸を片手で覆った。

「代価はそうだねぇ……傲慢な態度、これにしよう」

 にこりと微笑み、獏は動物面を外して男に口付ける。男は抵抗できず、徐々に惚けていった。

「――はい。御馳走様。これで少しは謙虚になるかな?」

 動物面を被って男から手を離すと、彼は惚けたまま股間の痛みを思い出して呻いた。

 獏は代価を味わいながらもあまり美味しくはないなと腕を組む。傲慢は負の感情ではないからだろう。割に合わない代価だと心の中で不満を漏らし、一難去って再び玄関で音がした。


「たっらいま――ですっ」


 顔を赤く染め、契約者の女は紙袋を突き出して手を振った。随分と御機嫌な笑顔だ。余程楽しかったのだろう。

「お酒……だよね? 随分飲んだね」

「お土産! お土産れす獏さん!」

「ありがとう。クラゲさん、受け取っておいてくれる?」

「はい」

 灰色海月は紙袋を受け取り、念のために中身を確認する。罪人の獏への差し入れが危険物ではないか確認するのも監視役の仕事だ。紙袋から紙箱を取り出し、慎重に開ける。恐る恐る蓋の陰から中を覗くと、六つの小瓶が見えた。

「! 中身はプリンです。早く食べましょう」

「待って。善行を終わらせるのが先だよ」

 紙袋に仕舞っておくよう指示し、獏は酔っている契約者に向き直る。

「わ。洗濯物が干してある」

「うん。食器も洗ったし洗濯物も干したよ。そっちの君の旦那さんから代価を貰ったから、君からは適当に今日の朝御飯の記憶でも食べておくよ。血縁者なのに赤ん坊への態度が不遜だったから、少し調節してみたんだ。食器の片付けとか洗濯物を畳んだりとか、できるようになってるかもね」

「え! それは凄いれす! よくわからないけど……」

 女の双眸を手で塞ぎ、動物面を脱いで口付ける。ほんの少しなので惚けることはないが、結局代価の話を聞かなかった女は驚いた顔をした。

「びっくりした……手慣れてますね獏さん。さてはキスが上手いれすね……?」

「…………」

 烙印で力を封じられている獏は、口付けないと代価を戴けない。キスと表現されると不快だ。まるで昔のように夢魔(むま)だと言われているようで、揶揄するような言い方の女が不愉快だ。金色の双眸を歪め、手を上げないよう奥歯を噛んで不快感を擂り潰す。

「……それじゃ、僕達はお(いとま)するよ。じゃあね」

 声に不快感が残っていたが面を被り、獏は灰色海月と黒色海栗を手招く。

 女の横を通り過ぎる時、彼女は不思議そうに口の端を上げた。


「――この人、あの子達の血縁者じゃないですよ。この人は知らないと思いますけど、あの子達は今日会った友達との間に出来ちゃった子達なので。えへへ……」


「…………」

 獏は無言で女を一瞥し、玄関でブーツを履かずに手に持ったまま灰色海月の灰色の傘でくるりと小さな街に戻った。ブーツを履く時間すら、もうあの場所にいたくなかった。

「……本当に人間は不愉快で愚かだよね」

 指の輪で女を覗いた時から、結婚相手との間に産まれた子供ではないと気付いていた。あの男は双子と血が繋がっていると信じているから、血縁者と言っただけだ。だが乱暴に触れようとしたあの態度を見るに、勘付いているのかもしれない。

 子供が双子だと気付けなかったのは、女が普段から双子を二人で一人のように合わせて考えていたからだ。

 獏はブーツを手に提げたまま裸足で冷たい石畳を踏み、偶には裸足も悪くないと黒い空を見上げて嘲るように笑った。

「――一仕事終えたし、蟹とプリンでも食べようか」

「はい」

「食べる」

 灰色海月と黒色海栗も裸足で獏の後を追う。三人は蟹を食べるのは初めてだった。


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