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第八場(舞台)

登場人物

 松五郎

 三郎

 黒子=蘭

****

 客1

 客2


〇舞台

 歌舞伎の舞台。客席は満員。

 着物で女装した松五郎、三味線と長唄に合わせ、扇子を持って舞っている。


 松五郎「これは、これは、よい心持ちにございまする」

 客1「沢田屋」

 客2「二代目」


 黒子が松五郎の背後に駆け寄る。

 松五郎、黒子の手伝いで藤色の着物を脱ぐと長唄の曲が変わり、下に着ている紅色の着物が現れる。


 黒子(蘭の声)「変な気起こしたら、命ないわよ」


 松五郎、やや動揺するが気を取り直して舞い続ける。



〇楽屋

 松五郎と三郎、裸になって一つの布団の中で抱き合っている。


 松五郎「三郎、これでお別れよ。明日からはお前が三代目藤島松五郎になるの」

 三郎「えっ?どういう意味ですか。松五郎先生」

 松五郎「あたしはもうここには戻れないの」

 三郎「どうしてですか」

 松五郎「あたしは徳川将軍に成りすまして、残りの人生を送らなくてはならないの。だからそのかわり、三郎があたしに成りすますのよ。『枕獅子』の舞いと台詞は全部覚えてるはずよねえ」

 三郎「明日から、おいらが『枕獅子』を演じるんですか?無理ですよ」

 松五郎「嘘おっしゃい。お前が影で稽古してるの、あたしが知らないとでも思ってるの?」

 三郎「そんな......松五郎先生、行かないでください」


 天井で物音がする。

 松五郎、上半身を起こす。それにつられ三郎も上半身を起こす。


 三郎「どうしました?」

 松五郎「女忍者よ。いつもあたしを監視してるの。さっきも黒子に化けてあたしを脅したわ」

 三郎「女忍者?」

 松五郎「あの女忍者、あたしたち男と男の道ならぬ関係も知っているのかしら」


 松五郎の顔をクローズアップ。


(つづく)

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