剣術トーナメント ③
遅刻短め。すみませんm(_ _)m
「アリサ?」
ペンターが部屋に引っ込んだのと入れ替わりに、ナーザントがスペースから出てきた。
「ナーザントさま」
思わず頭を下げる。
「いいかげん、その呼び名はやめましょうか」
「でも、まだまずいのでは?」
内定が出たとはいえ、公表は控えている段階だ。
「レイノルド、学院祭が終わるまでは控えろ。警備が複雑になる」
「ですが」
ナーザントは不満そうだ。
「せっかく身内として応援してもらうチャンスですから」
ああ、そうか。
「もちろん応援しますよ、ナーザントさま」
手をぎゅっと結び気合いを入れる仕草をする。
すると、隣にいたルークがムッとしたような顔をした。そしてどこか恨めしそうな目で私を見る。
そういえば決勝はルークとナーザントだ。
つまり、ナーザントを応援すると、ルークが敵になるってことだ。学院祭の試合って考えるとそんなふうに考えるのは大袈裟だけど。
私はルークにはお世話になっている。
でも、形式的に義兄と部活の先輩だったら、義兄応援をする方が自然、だよね?
心情的には複雑だけれど。
「ふふっ、思った以上の応援になったかもですね」
ナーザントが楽しそうに笑う。
「勝負のことはともかくとして。おふたりとも、お怪我のないように頑張ってくださいね」
正直、この二人どちらが強いのか分からない。ただ、普通に考えるとナーザントの方が強いのかな。剣術部の部長さんだし。
「あら、お兄さま、ナーザントさん」
グレイとの話が終わったエリザベスがスペースから出てきた。
「エリザベスさま、もうよろしいのですか?」
「ええ。殿下は試合前だから、そろそろおいとましようかと」
確かに試合前は、一人で集中したいかも。部外者がいつまでもいたら、邪魔だ。
「そうですね」
「殿下の様子はどうだった?」
ルークが気遣わしげに尋ねる。
「大丈夫です。お怪我もありませんし、気合いも十分ですわ」
「あの程度で折れる方ではありません」
ナーザントが横から口を挟む。
「わかっている。むしろ忖度されたら激怒するだろうがな」
ルークの言葉にナーザントが頷く。
そうなんだ。グレイが激怒ってちょっと想像出来ない。そんな激しい一面もあるなんて知らなかった。
「ペンターも昨年より随分強くなっていたから、三位決定戦もかなり激しい試合になるだろう」
「そうですね」
あ、さっきのペンターって三位決定戦の相手だったのか。背の高い人だったなあ。グレイはルークやナーザントに比べると若干、小柄だから、体格差があるかも。
「お兄さまも頑張ってくださいね」
エリザベスが微笑む。
「アリサも応援してあげて」
「えっと」
さすがにどうしようかとナーザントの方を見る。
「なるほど。そういう事ね」
エリザベスが理解したという顔になる。
「そうねえ。お義兄さん優先よね。それでお兄さまが拗ねていたってことよね」
「エリザベス!」
「しょうがないわよねえ。アリサにとってお兄さまはただの部活の先輩ですものねー」
「エリザベス、お前な」
ルークは心底嫌そうにため息をついた。




