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//第2話 Login

次の週末。土曜日。


私は電車に乗って、綾城の言っていたノアズアークに向かっている。

眼鏡を操作して、ノアズアークの場所を調べてみると、あと30分ほどで着けそうだ。


電車の椅子に座って適当にSNSを眺めていると、綾城からメッセージが飛んでくる。


(おはよう!こっちは9時ぐらいに着きそう。そっちは?)

(私も同じぐらい。位置情報共有オンにしとくから、そっちもオンにしといて)

(了解!それじゃ、あとで)


眼鏡を操作して綾城に対して位置情報の共有をオンにする。

程なくして、綾城の位置情報も見えるようになった。

最近は人と会うときはお互いに位置情報を共有するのが普通になってきてる。

待ち合わせで相手の場所がわかるし、相手の到着タイミングもわかるから便利。


恋人同士だと常時共有してる人もいるらしい。

私の場合は親には常時共有されてしまってる。若干鬱陶しい。


綾城の位置情報をもとに目的地への到着時間が表示される。

大体私と同じぐらいのタイミングで着きそうかな。



眼鏡の案内に従って、電車を降り、改札を出て、ナビ通りに歩いていく。

ナビに従った先にあったのは巨大なビルだった。

でかい。ナビによると72階建てらしい。


「おはよ。風宮」


ビルの高さに圧倒されていると、綾城に声をかけられた。


「なんか、想像してたのと違うんだけど。ゲームセンターみたいな場所を想像してた」

「すごいでしょ!ここがノアズアーク第1タワー。世界に24カ所あるうちの一つ」

「仮想世界に入るにはタワーからしかできないの?」

「いや、今日市販が始まったヘッドギアからもできるよ。けど、ヘッドギアは高いから。あと、ヘッドギアだと身体的フィードバックがないんだよ」

「身体的フィードバック?」

「このタワーからログインすれば、仮想世界で動いた分だけ、現実の身体に影響が出るってこと。筋肉とか体脂肪率とか」

「つまり、ダイエットになると」

「そういうこと!まあ、説明は中で受けられるだろうから、早く行こ!」

「はいはい」


現実の身体へのフィードバックなんて聞いたことないけど、大丈夫なのかな。

少し不安だけど、大丈夫だよね。




ビルの中に入ると、受付になっているようだった。

女性が2人座っていた。


綾城が受付の1人に声をかける。


「すみません。今日初めてなんですけど、ログインってできますか?」

「はい。大丈夫です。ログインされるのはあなた様とお連れ様の二名でよろしいですか」

「はい。そうです」

「かしこまりました。ユーザー認証を実施します。お二人のグラスデバイスに認証要求をお送りいたしました。承認をお願いいたします」


眼鏡のディスプレイ上に認証画面が表示されたので、承認操作を行う。

すると受付の人が話しかけてくる。


「綾城様、風宮様。お二人の認証承認を確認しました。グラスデバイスに今後のインストラクションをお送りいたしましたので、ご確認くださいませ。それでは良い旅を」


眼鏡を確認すると、ログインまでに必要な情報がすべて表示されていた。


説明を読んでいると、綾城に話しかけられた。


「それじゃ、行こうか」

「正直何もわかってないんだけど」

「大丈夫、私もあんまりわかってないから。それにしてもすごいね、この施設。さっきの受付の人もアンドロイドだったし。未来的というか、無機質というか」

「そうなんだ、よく気付いたね」

「家にアンドロイドがいるからかな」

「なるほどね」


周りを見渡すと人が誰もいない。

綾城に聞いてみる。


「今日ってリリース日なんだよね。誰もいないんだけど」

「そうだよ。ネット上だとすごい盛り上がってたし、もうログインしてるんじゃないかな」

「なるほどね」


少し歩くと白い扉が並ぶ廊下のようなスペースに行き着いた。

綾城が話しかけてくる。


「私はこっちの扉みたい」

「私は隣のこっちみたい」

「それじゃ、中でまた」


そう言うと綾城は中に入って行ってしまった。

仕方ないので、眼鏡に指定された扉を開けて中に入る。


中には白い楕円形の人が入れるサイズのカプセルが横倒しになった状態で蓋が開いていた。

あと部屋にあるのはロッカーだけのようだった。


眼鏡でマニュアルを読む限りだと、服を脱いでロッカーにしまった後、裸でカプセルの中に横になればいいらしい。

服脱ぐのか…。


悩んでいても仕方がないので服を脱いでロッカーにしまう。

ちなみに服のクリーニングを無料を行ってくれるらしいので、クリーニングモードをオンにしておいた。


「さて、いきますか」


カプセルの中には透明な液体が入っている。

恐る恐る足を入れてみると、ぬるい温度だった。冷めたお風呂みたい。

思い切って、カプセルの中に横になる。

すると蓋が閉まってきた。

カプセル内が真っ暗になる。


そして私の意識は途切れた。

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