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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

世界最強男は用無しになったから、異空間へ引き籠った

作者: セロリア
掲載日:2020/07/25

ウダンは勇者と喧嘩し、魔王の子供を引き取った。


勇者が魔王を殺した時は何とも思わなかったのに。


まだ小さい女の子と男の子だ。


人間の見た目で角がある。


ウダン「殺すのは何か違うだろ!?止めろ!」


勇者一行は殺すべきだと詰め寄るが、ウダンは庇った。


そして、派手な喧嘩をし、全員のした。


それがどういう事なのか、ウダンは良く解ってなかった。


ウダン「(きっと、国王なら、あの善人なら、解ってくれる)」


凱旋。


国王「良い良い!はははは!構わぬ構わぬ!そなたが育てよ!はははは (なんたる失態!なんたる裏切り!裏切り者!)」


ウダンは指定した相手の心が読める。


全てを察したウダン。


テレポート封鎖をハッキングし、テレポートして逃げた。


魔王の子供には特別な角が生える。


普通の角ではなく、透明で、綺麗な角だ。


ウダンは二人を連れ、これからどうするか山中で悩んでいた。


二人は木の実を食べながら遊んでいる。


微笑ましい光景だ。


世界中へ手配されただろう。


世界はこういう時だけ仲良くなる。


賞金首にし、全てのギルドに手配しただろう。


何処にも。


何処にも逃げ場所なんて無い。


頭を抱え、唸っていると、花冠を被せてきた。


頭を撫でられる。


女の子「いたいいたい?」


男の子「・・」


木の実を差し出してくる。


二人を抱き上げ、感謝を伝える。


魔力解析出来る石板は既に準備されているだろう。


変装も無意味だ。


ため息をつき、子供達に言う。


ウダン「良く聞いてくれ、お前達には、本当に酷い話だが、この世界に、お前達の居場所は・・ぐ・・無いんだ、だから、俺専用の空間がある、そこには、ここと同じような海、鳥、虫、動物が沢山居るが、人間と、魔族は居ない、寂しくて、退屈な場所だが、一緒に行くか?一回行けば10年は帰れない」


子供達は目を合わせ、寂しいのやー、とぐずりだした。


ウダン「悪いが、他にどうしようも無い」


女の子「・・」


男の子「うわあああん、うわあああん、」


女の子「なかないの、しきゃたにゃいでし?」


女の子が男の子の頭を撫でる。


男の子が泣きながら頷く。


ウダン「ごめんな」


人間代表として謝った。


ウダン「じゃあ、行くぞ」


《ヒュブブン》


消えた。









自然が豊かな世界。


小高い丘に小さいお城。


その小さなお城には、ゴーレム達が働いている。


ウダン「ただいま」


ゴーレム達は整列してお出迎え。


子供達を紹介する。


女の子の方はミリヤ。


男の子の方はアデム。


ミリヤとアデムは慣れた様子でゴーレムに命令を出して、お馬さんごっこをし、遊んでいる。


食料を調達して来なくてはならない。


ウダンは獲物を取ってくると言い残し、テレポート。


海の大きな魚と、鹿みたいな動物、ユビーンと、リンゴ、イチゴみたいな木の実を取って、捌いて、海に撒く。


魔法で出した浮遊水球の中に肉、魚を放り込んでテレポート。


後はゴーレム達に材料を渡し、冷蔵庫の裏の大きな石に魔力を込める。


料理はゴーレム達が作るが、テーマ、材料はウダン側で用意しなくてはならない。


ゴーレムは並べる、整理は出来るが、数合わせが出来ないからだ。





40分後。


肉シチューと、刺身が並んだ。


ゴーレムがさあどうぞという仕草をする。


子供達が涎垂らしながらウダンを見る。


ウダン「ああ、いいぞ、ゴーレムがああいう仕草したら、食べなさい」


子供達はガツガツ食べた。


ミルクっぽいのは植物の汁だ。


たんぱく質が豊富で、栄養が沢山ある。


子供達は食べ終わり、欠伸をした。


ソファーに座り、子供達の口にクリーン魔法をかけ、一階の東の部屋に一つベッドがあるから、そこで寝なさいと言う。


子供達はウダンの太ももで寝てしまった。


暫く頭を撫でていたが、二人を浮遊させ、ベッドに差し込んだ。


すると泣き出した。


慌てて、一体のゴーレムを二人の間に差し込んだ。


ゴーレムを抱きながら、スヤスヤ寝る二人。


ほっとして、ウダンも眠くなってきた。


ソファーに倒れ込んだ。


ゴーレムが毛布をウダンに掛ける。


ウダン「ありが・・と・・すー、すー」









その頃。


怒り狂った勇者は村々を周り、ウダンは何処に居ると聞き回っていた。


暴力こそしないが、強引な読心魔道具乱用により、尋問して回る、疲れていた。


勇者にあるのは、絶対正義。


悪を根絶やしにするまでは引き下がらない。


信念だった。


国王も暗殺者らを大量に派遣し探していた。


勇者が国を離れたと同時、国王が暗殺された。


国は次期国王の座を巡り醜い内戦へ突入。


魔王が居なくなれば、恐れるモノは人間のみ。


権力抗争により、国は次々分裂していき、新しい国が乱立して行った。


勇者は離れた村で殺さず強奪した夕食を食べながらこの報告を鳥文通により知った。


しかし、それさえも魔王の子供の呪いだ、ウダンの仕組んだモノだと昂り、激怒した。


興奮をウダンのパーティーの女共がまあまあとベッドで慰める毎日。


ウダンは女らの誘いを全て蹴っていた。


それが気に食わないという理由だけで、女共は勇者に同意し、ウダンを懲らしめる目的で同行していた。









ウダンは子供達をドラゴンに乗せてピクニックに来た。


ドラゴンによると、綺麗な花畑が近頃咲いたという。


巨大な火山口に水が溜まって、湖になっている。


その湖の周りに咲き誇る様々な色の花畑。


ミリヤとアデムは大興奮。


ミリヤ「ウダン!ウダンー!凄い凄い!見て見て!」


ウダン「見てるよ、綺麗だな」


ドラゴンの背中から、花畑に降りる。


浮遊で、ミリヤとアデムを降ろす。


ドラゴンは湖の水を飲み始めた。


ミリヤとアデムも飲もうとするが、それを止める。


コップを持たせ、水魔法で出す。


美味しいと飲む二人を見て、ユニコーンが近づいて来た。


野生のユニコーンになつかれるとは、角の影響だろうか。


ユニコーンの首に顔をすりすりする二人。


ウダン「暫く自由に遊んで良いが、野生の水、植物は食べたり飲んだりしたら駄目だぞ」


ミリヤ、アデム『はあい!』


元気良い返事と共に、ユニコーンの背中に乗り、低空飛行を楽しむ二人。


それに寄せられ、また別のユニコーンらが来た。


アデムが別のユニコーンに乗り移り、また遊ぶ。








1時間後。


そろそろ弁当食べるぞと呼んだら、ユニコーンが二人を届けてくれた。


ウダン「ありがとう」


と言ったら、頭を撫でさせてくれた。


本当にサラサラして、油っぽくない、いつまでも触っていたかった様子だが、ミリヤとアデムがご飯ーと言ってきたので、サヨナラした。



ご飯は牛肉と、野菜と、果物だ。


食べたら眠くなる。


ドラゴンはとっくに寝ている。


二人共ウダンを挟んで腕枕。


腕が痺れないように強化し、意識を落とした。










尽くすべき国王一族が死に絶えた事を鳥文通により知った勇者一行は、流石に動揺し、直ぐに国に戻る事を決意。


何故?と女達が聞く。


勇者「許せないんだ!ウダンも、魔王の子供も!国王を裏切った奴らも!国を一から建て直し、僕が治めないと!」


魔女「今なんて?」


勇者「僕が王になるべきだ」












異空間へ来て3年が過ぎた。


少し成長した、ミリヤとアデムはお父さんとお母さんを意識してきたようだ。


人間年齢で言えば6、7歳。


他に友達、家族、人間、魔族も居ないのに。


比べる家族なんて居ないのに。


日に日に落ち込み、ぐずり出した。


ウダンは思い知った。


比べる家族が居ようが居まいが関係無いのだ。


子供はいつだって、生きる為の材料とは別に・・。


父親と母親の愛情を欲するモノなのだと。


ミリヤもアデムも、次第に反抗し始めた。


歩み寄ろうとするが、拒絶される。


何で殺してくれなかったのかと叫ばれた時もあった。


ウダン「俺の身勝手な正義の為だ」


ミリヤ「父親面しないで!私のお父さんとお母さんを返して!」


アデム「うわあああん、うわあああん』


ミリヤ「アデムうるさい!」


アデム「うわあああん、うわあああん」


ミリヤ「うりゅしゃあいったりゃあああ!うわあああん、うわあああん」


ミリヤとアデムを膝をついて、抱き締める。


頭を殴られ、髪を引っ張られ、耳の根元から血が出ても。


黙って罰を受け続ける。





泣きつかれ、眠った二人をベッドに差し込む。


回復魔法で血だらけの顔を治す。


正義の矛盾に頭が混乱したのだろう。


子供なら尚更そうだ。


ウダンは食料を取りに出掛ける事にした。


生き物を殺し、持ち帰り、ゴーレムに渡し、料理が出てくる。


呼んだが二人は部屋から出てこない。


起きてる事は気配で明白だ。


美味しそうな匂いを風魔法で部屋に送り続ける。


10分後、凄い腹の音が聞こえて来た。


部屋「馬鹿!、だってお姉ちゃん、だってじゃないの!ううーお腹空いたー、あいつは敵何だよ!?、それは解ってるけど・・、今日から私達だけで生きていくの!大丈夫!お姉ちゃんに任せなさい!、うん解った、あいつが寝てから、食料取って、この世界のずっと向こうまで行くよ、うん、解った」


ウダン「・・」


ため息をし、テーブルはそのままにしておくようにゴーレムに命令し、明かりを消した。






30分後。


静かになったゴーレム達。


静かになったのを見計らい、ミリヤ、アデムが出てきた。


テーブルの冷めたご飯をガツガツ食べた後、乾燥肉、乾燥パンをリュックに積めて、家を出て行った。


二人を遥か上空から見守るウダン。


野獣は普通に存在する。


毒がある生物は居ないが、それ無しでも、十分に脅威だ。


ミリヤは少しなら攻撃魔法が使えるようになった為、大丈夫と踏んだのだろう。


ウルフの群れに囲まれた二人。


怯えるだけのアデム。


ミリヤは氷魔法が得意。


が、イメージして、練っている間に、飛び掛かられた。


ミリヤ「いやああああああ!!」


アデムはミリヤの前に出た。


アデム「お姉ちゃんに触るなあああ!!」


アデムの角が光り、ウルフ達を洗脳。


ウルフ達は皆お座りをし、命令待機。


アデム「?あれ?」


ミリヤ「・・嘘・・アデム?魔法使えるの?」


アデム「うわあああん、お姉ちゃああああああ」


ミリヤに抱きつく。


ミリヤ「・・凄い・・これなら・・生きて行ける!アデム!凄い凄い!生きて行けるよ!凄い凄いよアデム!」


アデムは抱きしめ返され、呆然としている。


その後二人はウルフ達を使い、鹿、魚を取って、木の根っこ洞窟で寝泊まりした。






二週間経過。


とうとう出会ってしまった。


熊「スンスンスン」


アデムはいつも通り催眠を掛けた。


熊「コフルルルルルスンスンスン」


全く効いてない。


熊は良く知らない獲物の前に警戒し、ジリジリ近づいて来る。


アデム「う、う、う」


何度もやるが、効いてないようだ。


ミリヤ「アデム?どうしたの?早くやって!?アデム」


アデム「う、う、うう!・・だ、駄目だよう、効いてないよ効かないよう、お姉ちゃん、逃げよう?」


ミリヤ「大丈夫よ、貴方なら出来るわ!さ!頑張ってほら!」


アデム「無理なんだよ!やってるんだよ!でも効かないんだ!あんまり狂暴だと効かないのかも・・お姉ちゃん!やばいよ、逃げよう!?早く逃げよう!?」


ミリヤ「・・どきなさい!」


風を練ってー。


熊「!コフコフ!グルオオオ!!」


熊は頭が良い、何か攻撃か来ると直感し、ミリヤに爪をー。


アデム「お姉ちゃんを守れ!」


周りのウルフ達が熊に飛び掛かる。


しかし、分厚い脂肪、毛皮に守られた熊に、ウルフ達の牙は届かない。


あっという間にウルフ達が頭、背骨を割られていく。


その隙にミリヤはアデムを連れて逃げ出した。


しかし、熊は逃げた獲物には躊躇しない。


二歩で二人に追い付き、豪腕を振るったー。


ミリヤ「(あ・・)」


アデム「!!」


ミリヤを引っ張り、上に被さるアデム。


終わったとそう思った。


熊の腕はミリヤに当たる前に切れ飛んだ。


熊、アデム『!?』


ミリヤ「?」


ウダン「今確信したが、アデム、お前、良い男だな」


アデム「ウダン!?」


ミリヤ「え!?ウダン!?」


ウダンは驚く二人を余所に、熊を縦に真っ二つ。


熊を浮遊させ、解体を済まし、水球で洗う。


ウルフ達の死体も同じくする。


黙ってそれを見守る二人。


ゴーレムを5体作成し、料理をさせる間、二人の元へ。


キャンプの焚き火二ヶ所。


料理用、くつろぎ用。


ウダンらはくつろぎ用を囲んでいた。


アデム、ミリヤ『・・』


ウダン「帰るか?」


アデム「お姉ちゃん・・どうすんの?」


ミリヤ「・・戻りたいなら戻れば?」


アデム「・・」


落ち込むアデム。


ミリヤ「何よ!?言いたいなら言いなさいよ!!」


立ち上がるミリヤ。


アデム「・・お姉ちゃんと・・離れたくないよおお!!うわあああん、うわあああん!」


ミリヤ「アデム・・」


二人抱き合う。


ウダン「ミリヤ、二人で生きるなんて無理だ、生きる為に俺を利用しろ、な?父親面しないから、な?」


ミリヤ「成長したらあんたも、勇者も殺すから!いいね!?」


アデム「お姉ちゃん・・」


ミリヤ「あんたは黙って」


ウダン「好きにしろ、でも、そん時はー」


ユラアと立つ。


アデムがミリヤの前に立ち上がる。


ウダン「俺はお前らを殺さないで、止める」


ミリヤ「10年経ったら私らはあっちに帰るんでしょ!?後7年、そんくらいあれば、あんたに負けた勇者くらい!!」


ウダン「そうじゃない、俺はお前達に汚れて欲しくないんだ」


ミリヤ「はあ!?」


ウダン「お前らはある年齢まで行くと、年を取る速度が極端に遅くなるだろ?」


ミリヤ「・・」


ウダン「人間というのはな、繁殖力が凄いんだ、ゴキブリみたいにな、人間の敵にはなるな、本当に何十億って居るんだ、殺しても殺してもキリがない」


ミリヤ「・・」


アデム「・・」


ウダン「無駄なんだよ、例えば俺が圧倒的な力で人類をどん底まで落として、宗教を築いたとする、50年経過すれば、反逆者が出てくるし、要は別宗教だな、そんで、1000年もすれば流石に俺も少しは老化する、3000年、1万年経過すれば、人類は魔法よりも優秀な何かを産み出して、発明し、俺なんか足元にも及ばないようになるだろうさ」


ミリヤ「嘘だ!人間がそんなに賢いもんか!」


アデム「・・」


ウダン「・・魔族だけが賢いと?」


アデム「・・」


ミリヤ「そうだ!」


アデム「・・」


ウダン「・・アデム、お前はどう思う?」


ミリヤ「はあ?私と同じに決まってるでしょ!?」


ウダンは焚き火をかき混ぜ、酸素を送る。


アデム「・・人間は、賢いと思う」


ミリヤ「?・・ア、アデム?何言」


アデム「ウダンは、昔、世界を統一した事あるの?」


ウダン「いや?」


焚き火の音、向こうでゴーレムらの動く音、木の皿の音が聞こえる。


ミリヤ「じゃ、解んないじゃん」


アデム「・・」


ウダン「世界統一を夢見た男と一緒に目指した事ならある」


ミリヤ、アデム『!?』


ウダン「もう、だいぶ、昔の事だ」


焚き火でウダンの顔が赤い、眉毛が垂れ、何処か悲しい表情だ。


ウダン「だから解るのさ、世界統一は、国々トップ連中が仲良しになって、宗教を一つか、もしくは撤廃するしか無理だとな」


アデム「・・それは・・道は見えたの?」


ミリヤ「誰が世界統一の話してんの!?勇者を殺す話よ!?」


ミリヤを無視し、アデムは質問を続ける。


アデム「そうする為の道は・・見えたの?」


ウダン「・・」


焚き火をあさる。


アデム「ウダン、答えてよ」


ウダン「・・まだまだ、人間を、進化させないと無理だな」


アデム「え?どういう意味?」


ミリヤ「ちょっと!無視しないでよ!?」


ウダン「人間を一度、生活に余裕を持たせて、何の為に生きているのかという疑問を持たせないと駄目だ、今は、魔族やら、獣やら、戦争やらで、人間は、必死に生きている、明日死ぬかも知れない世界で、世界平和なんて、土台無理な話なのさ」


アデム「僕らは何の為に生まれたのかな?」


ミリヤ「人間を滅ぼす為よ!決まってんでしょ!!どうしたの?アデム、私達でお父さん、お母さんの敵を取るって約束したでしょう?アデム?」


アデムは答えず、ウダンと見つめ合っている。


ウダン「・・前から思ってたがアデム、お前は強く、賢いな、魂レベルも高そうだ」


アデム「誤魔化さないで」


ウダン「別に誤魔化してない、そうだな、何故お前達が生まれたか、その意味か?」


アデムは頷く。


ミリヤ「だから~」


ウダン「魔族は人間を餌とし、人間は魔族を餌とし、人間の方が、繁殖力が高い、思考力が高いのを考えると、魔族は人間が進化する為の生け贄というところかな」


アデム「・・」


アデムは無表情で、焚き火をあさる。


ミリヤ「ふざけるな!!」


ウダン「・・」


ミリヤ「驕り高ぶる人間共に天罰を下すのが、我々誇り高い種族の命運だ!!」


アデム「・・魔族に優しい人間って、見た事ある?ウダン?」


ウダン「あるぞ、愉快な奴、匿ってくれた奴、懐かしいなはは」


アデム「そっか ウダンは魔族と統一を目指してたんだね〈ニコ〉」


ミリヤ「え!?」


ウダン「・・」


焚き火をあさる。


ミリヤ「本当に?ウダン?ねえ!?ちょっと!?無視すんな!」


ウダン「・・魔族側についても、結局、賢い者の多さは、人間が上だった、直情的なんだよ、交渉、戦術、兵法、武器術、それらを今は魔族が魔力だけで押してる状態だ、いつかは抜かれ、人間が優位になる事は明白だった、それに、それを訴えた所で誰も耳を貸さなかった、俺に出来る事は全てやったが、・・はは、仕舞いには、あいつも、俺に耳を貸さなくなった、だから俺は抜けた、それだけだ」


アデム「僕は聞くよ」


ウダン「それはまだお前が幼く、魔力が弱いからだ、魔力が強くなれば傲慢になる、力に呑まれる、それは・・お前がいくら賢くても関係ないんだ、仕方ない事なんだ」


アデム「そうなの?」


ミリヤ「アデムを馬鹿にするな!!」


ウダン「・・」


ミリヤ「アデムはそんなヤワじゃない!!力に溺れるのは人間の方だ!魔族を馬鹿だって・・言うな!馬鹿にするな!!」


ウダン「俺も最初は教えたさ!算数、国語、教えたさ!でも・・あいつらは世界は力、魔力が全てだと言って・・」


ミリヤ「・・」


アデム「・・」


ウダン「・・戦いは、戦場だけじゃない、むしろ、内側の崩壊とか、政治とか、住民の苦情とか、国が中から崩壊しない為に、下水処理や、美味しい料理とか・・食料を絶えず生産して、子供達が勉強に集中出来る生活環境とか・・戦いは・・現場だけじゃない、後続者が大事なんだ、後から続く者達が大事なんだよ、それを、魔族は理解出来ない、アデム、お前一人が理解しても意味は無い、全く意味無いんだ、アデム」


アデムの目から涙が流れた。


ミリヤ「よく、解んない、ねー、アデム、解る?魔力があれば勝てるよね?何がいけないの?アデム?」


アデムはミリヤを見る。


本当に解らないようだ。


アデムは肩を震わせ、ミリヤを抱きしめ、泣いている。


ゴーレム達が料理を終えたようだ。


ウダン「・・食べよう、食ったら・・帰ろう」


アデム「・・ぐ・・うぐむ・・帰ろう、お姉ちゃん」


ミリヤ「わ、解ったわよ、解ったから、離して、ご飯ー」


何故自分は賢いのだろう。


{「ウダン「それはまだお前が幼く、魔力が弱いからだ、魔力が強くなれば傲慢になる、力に呑まれる、それは・・お前がいくら賢くても関係ないんだ、仕方ない事なんだ」 }


アデム「(どうせ・・何で・・最初から無いなら良かったのに)}


ミリヤ「ご飯ー、アデム、泣き止んでよー」





ウダンは暫く二人を見つめ、歩き出し、椅子に座った。


美味しそうな料理、きちんと並べられた食器。


木の実のジュースを飲む。


熊のステーキをカットし、口に運ぶ。


肉汁がぶわあっと弾け、ハーブの香りと共に口で暴れる。


ウダン「・・ふううう・・あー、美味しいなあ、これが、文明の力・・」


コップを持つ。


向こうの焚き火で抱き合う二人を背にし、星空にコップを掲げた。









勇者は圧倒的だった。


軍隊を次々踏破し、城の旗先に自称国王の首をくくりつけ、掲げた。


勇者側に付かない者は虐殺。


そして、実質支配者となった勇者は、暴君となり、女、酒、残虐な政治を行い、そして最強だった。


周辺国々も次々投降。


南の大国、インムラという国は古くから結界の国、宝石の国と呼ばれ、その名の通り、宝石、鉱物、フルーツ、褐色美女達が溢れる楽園と呼ばれる国だ。


しかし、政治は厳しく、軍隊は強く、女も男も浮気をすれば死刑という大変厳しい国である。


ベーシックインカム、ベーシックキャピタルを主な貨幣流通とし、人々は気ままな生活を送っている。


労働は殆どゴーレムか、もしくは機械化であり、人々は管理が主な仕事である。


近年人口問題により、一人っ子政策を2年守るとお金が貰え、4年守るとまた貰えるという政策が施行された。


そんな目がくらむような国を勇者が欲しがらない筈はなく、大胆に攻めた。


しかし、結界は固く、貿易も全くないこの国では、隙はない。


勇者の最強の斬撃にも楽々耐えた。


この結界を張っているのは12人の巫女である。


張るとは言え、クリスタルに魔力を1日二回込めるだけ。


インムラの国王の長女は、絶世の美女と敬われ、様々な男から求婚されていたが、何故かつまらんと言い、全て断っていた。


一回旅の男に思いを寄せた事はあったが、女好きを直感し、叩き出した。


21歳、未だに恋愛経験ない王女に、周囲は諦めていた。


それに比べ、次女、三女は、既に結婚しており、子供も居る。


30までに子供を産めなかった王女は隠居の身とされ、次女の子供が王位を継ぐ事になる。


長女は別にそれで構わないとあっけらかん。


しかし、賢さは長女が圧倒していた為、周囲は是非とも産んでくれと圧力。


次女、三女は面白くないが、しかし、認めざるを得ない政治判断と、お父様の面子を保ちながらの、命令を下す様は、まさに第一女王。


国内の企業情勢に詳しく、本当に社長、役員達から惚れられている様は圧巻だ。


一体誰がこの人を手に入れるのだろうか?


国内の酒場では必ずこの話題で持ちきりになるのだった。











ウダンはアデムの案により、算数、国語を教えていた。


ミリヤ「つまんなーい」


ウダンはミリヤに理科を教えた。


ミリヤは、はしゃいで、興味を持ったようだ。


アデムには主に兵法、戦術、国語、交渉術を。


ミリヤには星読み、魔術、天気操作、科学を。


ミリヤは算数が苦手ではく、ただ単に何故必要なのか解らなかったと思われた。


科学に没頭したミリヤはいつの間にか数学を使い、分量を計っていた。






7年後。


先に答えを教えるやり方により、勉強スピードが速かった為、二人共人間界では誰も敵わない程成長した。


見た目は人間でいう15、14歳。


角は伸びては切り落とすを繰り返していたら生えなくなった。


角に頼らなくても、既に十二分に強い。


ウダン「・・まずは、着替えだな」


ミリヤ「やっとこのダサイ服から解放される!」


アデム「だね!」


ウダン「悪かったな!仕方ないだろ?俺の着替えしかなかったんだから!」


《ビュビュン》


森の中。


ミリヤ「?これ帰って来たの?」


アデム「変わらないね?」


ウダン「帰って来た、間違いない」


ミリヤ「いやったあ!!」


アデム「卒業おめでとう!!姉さん!」


ミリヤ「アデムもね!」


ウダン「んで?どうする?俺を殺すか?」


ミリヤとアデムは見合せ、臨戦態勢。


ウダン「・・」


ミリヤ、アデム『殺さないが、手合わせ願う!!』


ウダン「ふ、ああ、いいぜ、来い来い!!」


アデムとミリヤは魔力をそれぞれ半分交換し、二つの魔質を一時的に手に入れた。


これにより、敵は魔力による防御が格段に難しくなる。


ウダンは6種類の魔質に対応しなくてはならなくなった。


ウダンに最初に仕掛けたのはアデム。


土のマシンガン。


ウダンは土壁を作り防御。


ウダンの土壁の続きをミリヤが作り、ウダンを釜戸で囲む。


ウダン「ちょ!!?」


ミリヤ「は!」


種火弾丸を小さい釜戸の煙突から投入。


爆音と共に、煙突から2キロの火が細く噴出。


ミリヤとアデムは反撃の恐れがあると直ぐにバリアを張る。


その瞬間、上空から二本落雷。


ミリヤとアデムは見ずに、自身の両手を合わせ、テレポート。


ミリヤとアデムが消えたと同時に下に落とし穴が出現。


ウダン「ち」


上空ウダンを囲む大規模結界。


ウダン「あら!?」


草むらアデム、ミリヤ『ふん!』


結界内の空気を一気に圧縮しようとー。


ウダン、結界をハッキング、ミリヤ、アデムの位置を把握、ハッキングされたと瞬時に理解する二人。


そのまま巨大彗星となり、ミリヤ、アデムの森へダイブ。


アデム、ミリヤ『げえ!?』


ウダン「うはははは!!」


巨大地震発生。


街には震度3くらいが起こった。






すっきりした三人は催眠で門番を突破。


街をぶらぶらし、食っちゃ寝、お洒落、食っちゃ寝生活を満喫。


勇者一行を見て、土下座する周囲に合わせ、三人も土下座。


全くバレなかった。


笑い合う三人。


ウダン「(良かった、復讐は止めてくれたんだな)」









その夜。


二人は宿を抜け出した。


こっそり笑いながら抜け出す二人。


ウダン「(やれやれ、遊び足りなかったのか)」


眠りに落ちた。









大規模な爆音で、宿の窓が全て割れたと同時に、ウダンはテレポートで城に向かった。




燃える城。


泣き叫ぶ城下町。


テレポートで駆け付け、膝をつく、ウダン。


ミリヤ「あら、何故泣いているの?誉めてよ、ウダン」


アデム『これは復讐じゃないんだ、ウダン、圧政をしく、この男は悪人だ、殺したよ、これでこの国は平和になる」


ミリヤ「そして、私達が英雄になれば、魔族も少しはましな扱いになる、そうじゃない?ウダン?」


勇者は四肢を落とされ、目、舌、腸が垂れている。


勇者付き人、勇者一行はまとめて結界術で消されたのだろう、血痕も残っていない。


燃える城を結界で、一瞬で消したアデム。


アデム「それじゃ、発表しなくちゃ、姉さん」


ミリヤ「そうね、アデム、スピーカーあるかしら?」


ウダン「結局・・こうなるのか・・」


ミリヤ、アデム『・・』


ウダン「人間はな、人間が倒さないと駄目なんだ、そうじゃなきゃ、侵略と取られる、魔族が人間の王に?無理だ、民衆は暴動起こすぞ!!」


ミリヤ、アデム『じゃ、あなたが王になって』


ウダン「・・・・は?」


ミリヤ「それしかないなら仕方ないわ」


アデム「うんうん、仕方ないね」


ミリヤ「あなたが人間の王になって?アデムが魔界の王になるから、ね?」


アデム「交流しよう、貿易とか、ね?」


ウダン「・・・・え?・・つまり・・え?俺が勇者殺した事にしろって?え?」


アデム「そう」


ミリヤ「仕方ないね」


ウダン「お前ら・・もしかしてそれが?最初から?」


アデム「姉さんの案だよ」


ウダン「ミリヤの?」


ミリヤ「・・」


照れている。


アデム「早く!混乱が起きてるから!」


ミリヤ「早く!ほらほら!」


ウダン「いや、でもまだ勇者派の残党が・・」


アデム「そっちは僕らに任せて!」


ミリヤ「あんたは放送局に行きなさい!ほら、早く!」


また頭の角根元を帽子と魔法で隠す二人。


扉が勢い良く開く。


残党兵士が大量に出てくる。


アデム、ミリヤ『我々は圧政を無くし、真の平和な国を目指す者なり!我々側に就きたい者以外はかかって来い!』


兵士達『ふざけんなあ!!せっかく大隊長になったのに!!給料上がったばかりだったのにい!!』


アデム「無理やり民衆を土下座させる政治を何とも思わないのか!?」


兵士達『うるせええええ!!』


ミリヤ「無駄よアデム、こいつらは、 低 い のよ」


アデム「・・仕方ない」


兵士達『かかれええええ!!』


アデム、ミリヤ『地獄に案内するよ、わ』





ウダンは放送局に侵入し、スイッチを入れた。


放送《ピーーン、ガチャガチャ、ボソッボソッゴソゴソ》


民衆『????ザワザワザワザワ』


放送《えー・・あー・・テステス・・あー・・ああー・・トントン・・ゴソゴソ、あー・・えー・・ごほん!あー・・えー・・勇者は死亡、繰り返す、勇者は死亡、繰り返す、勇者死亡、繰り返す、勇者死亡、俺は反乱軍、いや、革命軍の隊長、ウダンである、勇者死亡、繰り返す勇者死亡、俺は革命軍隊長ウダンである、我々は勝利した、繰り返す、我々は勝利した、諸君らはもう・・》


民衆『嘘、まじか?やってくれたのか?ザワザワザワザワ』


放送《自由だ》


民衆『ウオオオオオオオオオオオオ!!!!』






民衆の雄叫びが空気を震わせる。


死体の山の中、アデムとミリヤは互いに微笑む。


ミリヤ「見て、アデム」


街明かりを指差す。


アデム「あ、花火を上げようとしてるね」


ミリヤ「ふふ、あー、・・お別れだね」


アデム「本当に残るの?」


ミリヤ「仕方ないじゃない、ウダン一人に任せておけないもん」


アデム「僕も最初は残った方が・・」


ミリヤ「アデム、決めたでしょ?あなたが王に相応しい」


アデム「・・」


ミリヤ「ね?」


花火が打ち上がる。


アデム「僕らには時間は沢山ある、きっと、大使として、この国に堂々と戻る、その時まで、どうか無事で居てね、姉さん」


ミリヤ「勿論、ふふ、楽しみだね、これから全てが変わっていく、人間も、私達も」


花火の色が綺麗に交差し、夜空を染める一夜。











勇者圧政は滅んだ。


代わりの政治を束ねる大臣の立場にミリヤがなった。


ウダンはそつなく各国との和平交渉に動きまくり。


毎日ヘトヘト。


ミリヤはモデルみたいに綺麗な為、熱い求婚を迫られるのもしょっちゅう。


馬車から車へ流行り出した頃。


車内。


ミリヤ「本当に繁殖力凄いのね、人間って」


ウダン「はははは、まあな、最初から説明してたろ?」


帽子を顔に、寝転がる。


ミリヤ「あれから半年か・・」


ウダン「そうなー」


ミリヤ「ウダンってさー、いくつなの?」


ウダン「んあー、忘れた、2000歳くらいかなー」


ミリヤ「それって人間なの?」


ウダン「失敬なー、人間なんだなー」


ミリヤ「結婚しないの?」


ウダン「んー・・何回かしたんだなー」


ミリヤ「え!?そうなの!?」


ウダン「んあー」


ミリヤ「どんな人?ねえ?魔族?人間?ねえ?」


ウダン「んー、言いたくないんだなー」


ミリヤ「あ、解った、浮気されたんでしょ」


ウダン「・・」


ミリヤ「やーっぱりー、何かされそうだもん」


ウダン「・・」


ミリヤ「ウダンはもっとシャキッとした方が良いよ?元は格好良いんだから!勿体無い!」


ウダン「シャキッは苦手ですー」


ミリヤ「いつまでも私が居ると思ってたら大間違いだからねー」


ウダンが顔を出した。


ウダン「どういう意味だ?まさか帰るのか?」


起き上がる。


ミリヤ「そりゃあ、いつかはねーアデムがかなり発展させてそうだし」


ウダン「えー、帰って何やんの?ゲーム?」


ミリヤ「あんたと一緒にするな」





取引国、門前に着いた。


紹介状を見せ、通る。


見た事がない乗り物に興奮する兵士達。


門の先は、海、そして、巨大な橋。


一本の道が8本に別れている。


4本が向こう行きで、4本が出ていく方角だ。


海を渡る。


見ると何本も橋が大陸に繋がっている。


左、斜め左、右、斜め右。


貿易を開始したのには、血が濃すぎる事による、身体障害が増えた事だという書簡が各国に届いた、橋の建設許可を求めるモノだった。


インムラ国。


かつて、宝石、魔石、美女で栄華を誇った国は、今は更に発展し、特に建設技術に特化し、高い高い巨大な塔を築いてある階層までは観光地として解放するとしている。


国王は未だに健在で、第一王女は今年で29歳になるという。


未だに結婚していない。




ミリヤ「着いたわ、ほら、起きて!涎涎!」


女大臣「お待ちしておりました、どうぞ、こちらへ」


ウダン「ふおー!!」


ミリヤ「ふおー!!」


あまりに巨大な塔に度肝を抜かれる二人。


キョロキョロ。


ウダンが先に我に返った。


ウダン「ごほん!げふん!」


ミリヤはまだキョロキョロ。


ウダン「ごほん!あー、ごほん!」


ミリヤはハッし、顔を赤らめた。


女大臣「ふふふ、面白い方々ですね、こういう建築物は初めてですか?」


ミリヤ「はい!凄く高いですね!?何Mあるんですか?」


女大臣「現在工事中ですが、現在の高さはおよそ5238Mです」


ミリヤ「えー!?」


女大臣「神を見たい、そう皆願っていますわ」


ウダン「ほえー」


女大臣が壁のスイッチを押すと、壁の上の数字が変化していく。


女大臣「こちらがエハームと申しまして、各階へ階段を使わずに行けるモノでございます、浮遊石と浮遊石は反発する仕組みを利用し、押し上げ、各階で止まる場合は押さえ込む役割をします」


〈チーン、ガー〉


壁が開いた。


ウダン「ふおー!」


ミリヤ「ふおー!」


キョロキョロ。


中は広い。


女大臣「一般成人男性30人乗れます、ふふ、さあ、お乗りください」


ミリヤとウダンは互いにお先にどうぞどうぞ。


女大臣が先に乗った。


ミリヤが恐る恐る乗った。


ほっとし、ウダンが乗った。


ミリヤはウダンにデコピン。


女大臣「それでは第一王女マリヌリトラ様の階へ一気に上がります、景色を堪能下さい」


ウダン「へ?景色?」


ミリヤ「壁しか・・うわああ!」


ウダン「うわああ!」


もの凄いスピードで上がっていく部屋。


島々、大陸がどんどん小さくなって行く。


ミリヤ、ウダン『ふおー!!』


女大臣「くすくす」


ウダンはハッとし、女大臣の横に向き直る。


ウダン「あ、あの、ありがとうございます、丁寧に案内してくれて」


ミリヤ「・・」


黙って景色を見ている。


女大臣「いえいえ、仕事ですから、それに、嬉しいです、我が国の発明、建築に興味を持って頂いて!うふふ、可愛い恋人さんですね」


ミリヤ「違います!私は秘書です!それ以外の感情はありません!」


女大臣「あら、そうなんですか?すいません私」


ウダン「ああ、いえ!良いんですよ、それより、貴女もお美しい!失礼ですが、ご結婚は?」


女大臣「いえ、お恥ずかしい話ですが、未だに独身でして」


ウダン「そんな!恥ずかしいだなんて!恋人は?」


女大臣「恥ずかしながら、未だに・・」


ウダン「え!?そうなんですか!?も、もし良かったら、その、今度食事に行きませんか?何なら謁見の後にでも」


女大臣「え!?」


ミリヤ「おー?珍しい!あんたが女に興味持つなんて!」


ウダン「あ、あはははは、コイツは無視して下さいあはは」


ミリヤ「何?顔?スタイル?全部?」


ウダン「うるさいな、声が・・あ」


ミリヤ「まさかの声フェチ!?わあお!?」


女大臣は下を向き、顔を真っ赤。


ウダン「あ、いや、ちが、いや、ちがくはないんですが、あははは、決して声だけが良いとかそんなんじゃ、スタイルも顔も良いというか、あ!ちが!これはそのやましい意味ではなくてですね、芸術的にうんたらかんたら」


ミリヤ「あー、男なら惚れたなら惚れたって言いなさい!」


ウダン「貴女の声にいちころでした、付き合って下さい」


女大臣「・・う・・」


泣き出した。


ウダン、ミリヤ『!?』


ミリヤ「いや、違います違いますよ!?この人は普段はこんなだけど、あ、ちがくて、あの、何というか、そう!女っ気全くないグータラ真面目親父でして!?だからあれ?あたし何言って」


ミリヤを押し退ける。


ウダン「あ、その急な話でしたよね?あはははは、勿論断って下さい!もうズバズバっと!あははははは」


〈ポーーン残り1分で到着します、準備をして下さい、お忘れモノなきようお願い致します〉


女大臣「此方こそ、宜しくお願いします」


ミリヤ、ウダン『・・え!?』


〈チーン、ガー〉


出口には絨毯が敷かれ、豪華な廊下が続いている。


広い廊下には従者達が跪き、並んでいる。


ミリヤ「あ、嘘」


ウダン「え?何が?」


女大臣が先に降り、手を伸ばす。


女大臣「ようこそ、ウダン様、ミリヤ様、我が城へ」









29歳と1ヶ月。


マリヌリトラ、結婚。


ウダンはマリヌリトラと秒速婚約したとして、有名人に。


次女、三女も、これは神の意志とし、祝福。


30歳になる二時間前、男の子誕生。


正式王が誕生したその日、国中が大騒ぎパレード。


そして、北の大国と南の大国が併合され、一つの国となった。


国名、アデリア。


そして、アデムが家族と共に人間界へ視察来訪した際、門番後に向かい入れたのは、王室の飛行機から飛びだした、ウダンの長男と長女を抱えたミリヤ。


ウダンはその後から抱き合った。


アデムの子供は一人。


少しウダンの子供より大きく、既に歩いている。


国民の大半に興味を持たせ、映画を作りまくり、魔族差別を無くすべきだというプロパガンダを浸透させるのは早かった。


そして国民投票により、魔界との友好を築く事が決定。


本日、条約締結調印式が行われるのだ。





ステージ。


ウダン「人間は、素晴らしく、賢く、気品が溢れ、逞しく、諦めず、そして、・・・・そして・・・・狡い」


皆が、静まり返る。


ウダン「魔族と、人間との違い、それは、魔族は、素直だ、良くも、悪くもだ」


皆『・・・・』


ウダン「正直に言うと、そこに居る魔族の王と私は友達だ、勿論、人間の皆とも、友達だ、だから解るんだ、魔族は少しだけ素直過ぎる」


皆『・・・・』


ウダン「それが誤解を生む元だ、だから、私達、人間が!それを理解していれば、誤解は生まれない」


皆『・・・・』


ウダン「彼らは、直情的だ、直ぐ怒るし、直ぐに、・・泣く」


皆『・・・・』


ウダン「たったそれだけだ、角?牙?爪?カッターで切れば人間と見分けつくか?」


皆『はははは』


ウダン「答えは全くつかない」


皆『・・・・』


ウダン「そんなモンだ」


皆『・・・・』


ウダン「彼は見た目はごつくて、筋肉ムキムキだ、重たい資材を運んでくれる、全く怖くない、良い奴だ」


ステージ下の護衛魔族を指差す。


護衛魔族は照れながらお辞儀。


皆『あはははははは』


ウダン「彼らが暴力を奮っても、それは、自衛しただけかも、大切な誰かを守ってるだけかも?はたまた酔っぱらいかも?」


皆『あはははははは』


ウダン「それは、よくよく話を聞かないと解らない」


皆『・・・・』


ウダン「魔族は自衛も駄目、大切な人が目の前で犯され、殺されても!魔族だけは!守ってはならない?」


皆『・・・・』


ウダン「そんな馬鹿な」


皆『いいぞー!?ピュウイイ』


ウダン「魔族にも権利がある!人間と平等に暮らし!平和を守る権利だ!」


皆『ピュウイイ!ピュウイイピュウイイ』


ウダン「今!まさに今!此処に!歴史が変わった瞬間がある!俺達は!過去を振り返り!涙を流し!下を向いた後でも、今度は前を向き!さあ行こうと!大地を踏みしめ!歩み続け!今此処に来た!」


皆が席から立ち上がる、顎を震わせ、拳を震わせ、立ち上がる。


ウダン「俺達は新しい国を作ったのか?いや!違う!断じて違う!俺達は!新しい国を作ったのではない!新しい世界を作ったんだあああ!!!!」


皆『ウオオオオオオオオオオ!!!!』


ウダン「おめでとう諸君!!魔族も人間も!おめでとおおオオオオ!!」


皆『ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


ステージから降りたウダンを見て、ミリヤは初めて泣いた。


ウダンは泣いていた。


あんなに。


あのウダンが。


いつも飄々としているあのウダンが。


あんなに泣いている。


ミリヤはそれが嬉しくて、人生で初めて嬉し泣きをした。
















3年後。



魔族の国の名前はミリデム。


ミリヤはしょっちゅうテレポートで魔界と人間界を行ったり来たりし、どちらにも友人が多いようだ。


ミリデム国とアデリア国は盛んに貿易を行っている。


魔族と人間が同じ船で仕事をしている。


喧嘩もしょっちゅう起こる。


事件も起こる。


それでも、裁判官には魔族がなってるし、同じ魔族に対して死刑を厳しく言い渡す時もある。


この星全ての国を統一した訳ではなく、人間界の島々はまだまだ多い。


差別もまだまだある。


それでも、一緒に働く人間族仲間が魔族を庇って喧嘩する。


差別した国とは取引停止となり、ちょっと待ってくれと泣きつかれる。


一旦この流れが出来ると、世論は歯止めが効かない。


世界は既にまとまりつつあった。







朝。


車内。


ウダン「ふぁー・・」


魔族秘書男「またゲームですか?いい加減にして下さい、ご飯食べたんですよね?」


ウダン「んあー・・まだー」


秘書男「全く、前任者の苦労が解りますよ」


ウダン「そうだぞー?あいつは凄い奴だった!うむ!」


秘書男「何故私が能力低いみたいな言い方をされてるんでしょうか?」


ウダン「あいつはいつもお菓子を放り投げてくれたぞ!」


秘書男「お菓子なら貴方の玩具箱に沢山あるでしょう?それを食べて下さいよ!」


ウダン「減らしたくないじゃん?それに貰い物って美味しいじゃん?」


秘書男「これから外交なんですから、しっかりして下さい」


車がトンネルに入る。


海底トンネルだ、巨大な魚、魔獣が上に見える。


ウダン「海の民かー、どんなんだろなーははははは」


秘書男「はあ・・戦闘部族で有名です、何でもタイマン文化があるとか」


ウダン「おー、やだやだ怖い怖い」


秘書男「何かあれば守って下さいね?本当に頼みますよ?」


ウダン「んあーぐおお、すぴー、ぐおおー」


秘書男「はあ・・」


到着。


案内魚人「ようこそおいでくださいまして、歓迎致します、ささ、どうぞ、此方です」


巨大な泡で出来たドームだ。


普通に息が出来る。


ウダン「ふおー!」


秘書男「やめてくださいよもう」


会場へ着いた。


ステージがあり、そこに槍を持ってる魚人が一人。


秘書「行ってらっしゃいませ、コートを」


ウダン「ん」


コートを秘書に預け、肩、首を回す。


ウダン「魚人最強かー、海は陸と違って広いからなー、強いんだろーなーっと!」


飛び上がり、ステージに着地。


魚人「武器は?」


ウダン「必要ない」


魚人「〈ピキ〉」


《用意!・・カーン》


ゴングが鳴ったと同時に魚人が仕掛けた。


槍を受け流し、魔力を魚人の体内魔力ツボに連続で叩き込んだ。


秘書男「普段からその雰囲気出せれば良いのに」


ウダン「さあ・・来いよ?そこで見てるだけか?No.1?」


魚人のシャチ風なスマートな男性が観客席から見ていたのを指差す。


シャチ魚人が後ろの壁を蹴って、ステージに着地したのを目撃出来たのは、この会場では23名のみ。


首を鳴らすシャチ魚人。


ウダンも首を回す。


近づく二人。


シャチ魚人「陸で威張ってるだけの蛙が・・蟹の餌にしてやる」


ウダン「お前のその意見が、1秒後に変わる」


シャチ魚人「へー、そうかい《ボ!》


右ハイキック。


ウダンそれを左手撃ち下ろし。


《ドオン!》



右足が地面に叩き付けられた。


シャチ魚人「!!」


ウダン「な?」


シャチ魚人「・・~~~!!」


肌色が一気に黒へ。


目が赤へ。


ウダンはすかさず浮き、曲がり始めたシャチ魚人の右足膝を左足裏で踏み抜いた。


シャチ魚人「ウガアアアアアアア!!」


叫ぶシャチ魚人の頭を抱え、鼻頭に右膝をぶち撃つ。


シャチ魚人「がは!?」


ウダン「海では最強か?んあ?」


秘書男「(嘘だろ、まじかこの人こんな強かったのかよ!?」


ミリヤの言葉を思い出す。


{ミリヤ「ああ、それから一つ忠告するわ、あいつをまともに怒らせたら駄目よ?まあ、絶対そんな事にはならないだろうけど」}


秘書男「こんなの・・まじで化けもんじゃねえかよ・・」


ウダン「叫ぶ、痛がる、そんな暇、海では許されるらしいなあ?おい?」


シャチ魚人「ひ!ひい!?」


ウダン「罪無き人々の船を強奪した代表の者よ」


残りの23名を始め、この場に居る全ての者を冷やす。


シャチ魚人「悪かった!悪かったあ!助けて!助けてくれ!な?頼む!な?」


ウダン「自白と取って良いんだな?ああ?」


シャチ魚人「悪かった!ああ!悪かったよおお!」


ウダン「ふう、後は、そっちの司法の出番だ、海賊の裁き宜しく!」


コートを羽織る。


魚人の王ら8人がモニターで決定を下す。


兵士達がウダンらを取り囲む。


ウダン「何の真似?」


シャチ魚人「ヒャハハハハハ!!終わりだ猿!猿が!猿の癖に!猿の癖によ!!馬鹿が!死ね死ね死ねえ!!くたばれえ!!ヒャハハハハハヒャハハハハハヒャハハハハハ」


魚人の王8「そなたは陸の王だ、そなたがここで死ねば、我らは海で戦える、悪いがー〈ブブン〉


映像が突然切り替わった。


ミリヤ「はあい、テステス?聞こえますかー?」


魚人王8人『何事だ!?』


部下「は!何者かにハッキングを受けております、現在復旧しています!」


魚人王3「馬鹿な!?たかだか猿が我らのエラガムへアクセスし、ハッキングだと?有り得ん!」


魚人王4「何かを持ち込まれた可能性があるな、例えばー、アンテナ」


秘書男の手に埋め込まれていたカーボンWi-Fi。


それをドーム泡に差し込み、内と外を繋いでいた。


魚人王8「何をしているアンテナを早く探せ!」


ミリヤ「もう意味ないよー、終わったから、そのでっかい貝殻移動するからさー、厄介だったんだよねー、でもこれで、完全に場所を特定出来た」


魚人王1「直ぐに噴射で移動しろ!早く!」


部下「はは!」


ウダン「部下には平和的に解決出来るようなら、手を出すな、そう命じていたんだ」


ステージに上がる秘書とウダン。


シャチ魚人「ひ!ひいい!?」


ウダン「差別が仇になったな?一回歴史を作ろうか」


シャチ魚人「れれれれ歴史!?」


ウダン「一回負けた方が良いよ、お前らは」


シャチ魚人 〈ポカーン〉


ウダンと秘書、テレポート。


シャチ魚人「あ!」


次の瞬間、遠い空から着潜していく882本ミサイル魚雷。


部下「噴射間に合いません!確実に着弾します!これは・・数が多過ぎる!あああ!!駄目だあああ!!終わりだあアア!!」


魚人王ら『終わりだ・・猿を入れるべからず・・守っていれば・・あの男だ、あの馬鹿な雰囲気に騙された!』


魚人王8「もう良い」


魚人王ら『!?』


魚人王8「陸は生まれ変わったと聞く、海も、生まれ変わる時が来たのだ、今まで、ありがとう友よ」


魚人王らは肩を組合い、囲む。


魚人王ら『我ら海の民なり、我らは死すべき場所、偉大なる母体、母なる海なり、我らは偉大な選ばれし民なり、我らの《ドフ!!・・ドドフ!!ドドドドフ!!!!》







高級ラブホテル、最上階。


《ボッチャアン》


カップルが風呂場でイチャイチャしていたらいきなり、ウダン、秘書男が降ってきた。


男女は一目散に部屋から逃げて行った。


秘書男「あの・・」


ウダン「・・」


ウダンは顔を真っ赤にし、顔を沈めて行った。










電話。


ミリヤ「あっはっはっは!!」


秘書男「笑い事ではありません!」


ミリヤ「まあまあ、・・強かったでしょ?」


秘書男「まあ、それは、まあ・・」


ミリヤ「少しテレポートの場所を間違えたくらい何でもないじゃない」


秘書男「・・ふう・・取り敢えず、お疲れ様でした、あらゆる船があの海域で行方不明になる事件、無事解決ですね」


ミリヤ「そうよ、解決したの、お疲れ様!」


秘書男「・・ところであの、ミリヤさんはウダンさんとは、別にそういう間柄ではなかったんですよね?」


ミリヤ「恋人?」


秘書男「まあ、はい」


ミリヤ「そうね、恋人じゃなかったわ、別に片思いでもなかった」


秘書男「では、どんな?」


ミリヤ「・・貴方は?」


秘書男「え!?」


ミリヤ「貴方は、私とどんな関係になりたい?」


秘書男「え!?」


ミリヤ「ほれほら?言ってご覧なさい?」


秘書男「(こ、これは!?チャンスなのか!?)俺は・・こ、恋人に!」


ミリヤ「ぶー、駄目ー」


秘書男「え・・ (そ、そんな)」


ミリヤ「やり直し」


秘書男「え!?そ、それって!?」


ミリヤ「あはは、またねーセスタ、ばああ~~い」


切れた。


セスタ「〈プーー〉初めて名前が出たような・・」








その後、生き残りの魚人達を生け捕りにし、投降させ、和平に向け歩み出した。


これからもそうだろう。


差別問題から逃げずに、立ち向か向かうのだろう。


いつもそうだ。


犠牲が先に出るのが常だ。


だが、その犠牲者達を無駄死にするかどうかは、あなたの動きに掛かっている。







《END》




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