第20話 零度姫アオリ
涼しげな気温。気絶して休憩所に運ばれたギル。熱気に満ちた会場。ユキは俺に声をかけた。
ユキ「アイセ...勝ってね!」
声と同時に、はっきりとした視線を感じた。俺はユキの瞳を見て頷く。
アイセ「勝ってくるよ。」
俺はフィールドへ足を動かした。
アイセが去ったことを見届けてから観客席のユキにレイパが近づいてきた。
レイパ「ボキも応援しているのだ。」
ユキ「レイパくん!」
目を覚ましたギルをサパネゴが肩を持って連れてきた。
ギル「いてて...こんな大切な試合見逃せないぜ!」
サパネゴ「そうだ。俺もアイセ殿に敗北した身。倒されたからには彼に渾身の応援をせねばならん。」
ユキ「ギル!サパネゴさん!アイセの人を惹きつける力って凄いなぁ...」
俺は観客席からレイパやサパネゴさんたちが応援しているのが見えて嬉しかった。
フィールドに出ると歓声が聞こえた。
アイセ「よっし!気合い入ってきた!」
対戦相手は既に定位置にスタンバイしていた。
アオリ「来たか。キミがアイセくんね。私はアオリ。氷の魔法使いと旅をしてるんでしょ?」
アイセ「初めまして。そう。ユキは大切な仲間だ。」
アオリ「あの程度のレベルの氷技しか使えない子が仲間ねぇ。私が本物の氷魔法の前に膝まづかせてあげる。」
アイセ「良いよ。ユキの分まで背負って戦ってるから。」
アオリ「ふ〜ん。見かけによらず熱い男なのね。面白い!」
ナレーション「ホレンジトーナメント準決勝第2試合!アイセ選手VSアオリ選手!はじめ!」
開始の合図とともに俺は鞘から木刀を抜いた。瞬時にアオリ目がけて斬り掛かる。
アイセ「はああああ!!」
アオリ「ぐっ...木刀で挑んで来たか...!」
ナレーション「アイセ選手の先制攻撃が決まった!!」
アオリ「だが、そんな直線的な攻撃で倒せる程、私は甘くない!氷魔法!アイス!」
アイセ「ぐわっ!!冷たい...!」
アイセにアイスが直撃した。何とか体制を立て直す。
アイセ「決まれ!必殺!メロンソード!!」
アオリ「防御魔法!アイスバリア!!」
ナレーション「互いの技が激突!!アオリ選手防ぎきった!!」
アイセ「メロンソードは読まれていたか...!!」
アオリ「当然でしょ。キミの得意技なんだから。」
会場はざわめいていた。
ギル「アイセのメロンソードを弾いた!!?」
レイパ「ボキは避けることもできなかった技なのだ...!」
サパネゴ「むぅ...。俺のフェンスもメロンソードに破られた。あのアオリという女やり手だな。」
ユキ「...まだアオリはヘイルを使っていない...。状況は不利。お願いアイセ!私たちの力を受け取って!」
ユキたちの願いはアイセに届くのか。
白熱したバトルは冷やされた氷のように容易く溶けはしない。




