ホモと学ぶ大物オピニオンリーダー
えー、皆さんこんにちは。ホモと学ぶ大物オピニオンリーダー。略して『らん学入門』のお時間です。ちなみに『ホモと学ぶ』のホモとは、ホモ・サピエンスの事です。つまりあなた方です。
教鞭をとるのは私、げtueee!!と申します。Fラン大学らん学部の修士でございます(笑)
以後、お見知りおきを。
ここでは、新発見された霊長類を研究、考察していきます。仮にその検体を、霊長類のイニシャルをとって『R氏』と呼びましょう。
このR氏は、8分違いの世界。通称『パラレルジャパン』から来たとされています。
つまり、新型霊長類R氏を研究することは、異世界の存在を確認することになるのです。
早速、今回のR氏の発言を見ていきましょう。
R氏『<検閲削除>叩き、まことに結構です。
でも「経済」と「社会」を知って私を叩いてくださいよ。
デフレがどんなに怖い事かもう分かってるでしょ?
例えば130円の缶コーヒーには材料費と運送費はもちろんの事人件費が含まれております。消費税は約30円(8%)です。というのは自販機だと130円にしないといけないからです』
こちらが、今回の論文のテーマです。
R氏の世界でも『経済』と『社会』。そして『缶コーヒー』と『消費税』という言葉が存在することが分かります。
ここで、現実世界の尺度を当てはめるのは早計です。向こうは1時間が52分しかない世界です。
消費税、あるいは8%という数字が、こちらの知るものと一致しない可能性は高いです。というより、小学生で習う100分率という考え方が向こうにないと考えるのが妥当でしょう。
では、こちらの缶コーヒーを自販機で買ったときの金額から、その消費税を計算してみましょう。
現在、我々の世界における日本(Japan)での消費税は、一部商品においては8%。それ以外において10%となっているのは、受講者のホモ・サピエンス諸君なら周知の事実だと思われます。
では、その税込み130円が軽減税率により8%の消費税をかけられているという前提で、消費税の金額を計算してみましょう。
計算式は時間の都合により省略しますが、この場合、商品の代金は約120円。消費税は約10円となります。ちなみに今回は、小数点以下を四捨五入しております。
これは、R氏が主張する『税込み130円の缶コーヒーのうち消費税が30円』という発言に矛盾します。
しかし、よく見てください。R氏はこう書いているのです。
『自販機だと130円にしないといけないからです』
少なくとも、我々の知る飲み物の自販機は、10円玉以上の金額を持った硬貨、または1000円札しか受け付けません。
2014年まで、日本の消費税は一律5%でした。それが同年4月1日に、8%に引き上げられたのは記憶に新しいでしょう。エイプリルフールの嘘ならどれほどよかったか、と思った人も多いと思います。
この時点で、自販機の缶コーヒーの相場は120円でした。仮にこの頃からパッケージも中身も変わってない缶コーヒーを今なお販売しているのだとしたら、それは消費税の便乗値上げをし続けているという事になるでしょう。
それでは、それらを踏まえて消費税を再計算します。
計算式は省きますが、税込120円の缶コーヒーに5%の消費税が含まれていた場合、商品の代金は約114円です。必然、消費税は6円となります。
このまま消費税が8%になった場合、本来なら約123円となるのですが、上記のとおり自販機は10円未満の貨幣を受け付けません。
なので便乗値上げで、現在の売値が130円。うち、商品価格を当時と同じ114円だと考えると、消費税の名目で加算している料金が16円となります。
……ええ、分かっています。国はそこまで下劣な徴税をしておりません。今回はあくまでR氏の言い分に寄せるべく、好意的な解釈を加えて研究しております。
結果として、消費税は16円と(なかば無理やり)想定できます。これでR氏が主張する『税込み130円の缶コーヒーのうち消費税が30円』という主張に近づきました。
しかし、まだ倍近く足りません。
そこで私は、様々な歴史を調べました。中には平成生まれにとって馴染みのない時代の資料もありました。
そして、驚きの真実にたどり着くのです。
日本で消費税が導入されたのは、1989年のこと。平成の始まりは、まさに消費税の始まりと言っても過言ではありません。
この当時まで(1989年の3月まで)、自販機の缶ジュースや缶コーヒーの相場は100円でした。しかし1989年の4月1日に、消費税が3%導入されます。
この時、本来なら缶コーヒーの値段は103円となるはずだったのでしょう。しかし自販機は10円未満の金額を読み込めないので、便乗値上げで110円の売値を設定したと、資料に記述されています。
同じように、1997年4月1日。消費税は3%から5%へと引き上げられます。この時も便乗値上げで、本来なら112円とするはずのものを120円と設定しました。
そして、上記の通り、2014年には再びの便乗値上げ。
仮に、R氏の生きている『パラレルジャパン』が、1989年の頃と同じ内容の缶コーヒーを売っていた場合……
その商品の税抜き価格は、100円のまま……必然として、便乗値上げに次ぐ便乗値上げで30円すべてが消費税のように見えてしまう事でしょう。
これらのデータから、私はひとつの仮説を立てます。
『パラレルジャパンは、1989年まで我々の世界と同じ歴史をたどった。そして平成の始まりと共に、全く違う世界線となり、8分違いの世界へと変貌した』
今回発見された新種の霊長類『R氏』……この個体は、もしかすると1989年まで、我々と同じ世界の住人だったのかもしれません。
そして、この時代に行方不明になった人の誰かが、『R氏』である可能性も高いと思われます。
もし心当たりのある方がいらっしゃいましたら、我々にご一報ください。返却してほしいと言われれば、貴重な検体ですが返却します。不要であればこちらで処分します。
なお、パラレルジャパンではどうなのかさておき、こちらの世界では缶コーヒーの内容は常に変動しています。そのたびに適正価格にふさわしいクオリティに仕上がっていること(要するに便乗値上げを何十年も引きずっていないこと)を、念のため記載します。
また、国は税率以上の税金を徴収していないことも、重ねて申し添えておきます。現在、消費税として自販機の缶コーヒーから税収される金額は、130円に対して約10円です。それ以上でも以下でもありません。
パラレルジャパンがどのような惨状になっているかは、不明です。