29.ゲームアバターを着替えさせますよ?
新たな変装をしようとお洋服データをあさっていたのですが
そんな最中、私宛の荷物(ゲーム内ですよ?)が届いていることに気が付いたのです。
何が届いているのか確認したところ、なんと着物のデータだったのですよ、しかも、どれもこれも見覚えのある柄が……
差出人を確認すると、どうやらお姉ちゃんからの贈り物らしいです。
メールの内容は…と
≪件名:おちびちゃんへ≫
『冒険者金ランクへの昇進おめでとう。
この着物データはそのお祝いです。
是非ゲームの中でも着物を着ておめかししてくださいね。
お化粧はサリナかシルヴィアに頼んでください。
あなたのお姉ちゃんより』
ふむー、お姉ちゃんってこのゲームやってないはずなのに、どうやってこのデータを送ってきたのでしょうね?
もっと普通の服を見ようかと思ったのですが、サリナさんに聞いたところ、リアルでの着物の宣伝もかねて先取りでデータを提供しているらしいのですよ。
まぁ、せっかくのお姉ちゃんからのプレゼントなのでね、くれるというならありがたくもらっちゃいますけどね。
ついでに、かんざしやら櫛やらの小物までありまして。
でも、これ着ると余計目立ちそうな気がするのですが……
あぁ、お化粧をがっつりすればいいんですね、それで変装代わりにすると。
しかもナチュラルメイクじゃなくて白粉なんかを塗ってがっつりと舞妓さん並みにすると、髪型も日本髪にして結い上げると……
私の髪じゃ長さが足りないですよ?あぁ、カツラがあると?
えっと、まぁ自分の顔をゲーム内で見る事ってまず無いですから、どんなお化粧をしてもいいと言えばいいのですけどね?
コロニー内での視点は俯瞰視点にしてるのでね、ディスプレイに映るのはアバターの後頭部ですからね。
もっとも、ゲーム内でも鏡は存在していますし、見ようと思えば視点を正面から私方向に向ければアバターの顔もしっかり見れますけどね。
ただ、私如きの顔の作りであの姿が似合う物なのかははなはだしく不安が残りますが……
え?ポチャ顔ならに合う?やだなーもう、褒めても何も出ないですよー?あ、ぶぶ漬け食べます?
さて、そんなこんなで変装が舞妓さんモードに決まってしまったわけですが、そのお化粧をしてもらいました。
「それじゃお化粧するから、しばらく動かないでねー」
まぁ、コントローラから手を放していればいいだけなので動かないのは楽なんですけどね?
お化粧するところを視点を変えてじっくり見ていましょうかね。
白粉ぬりーの、紅さしーの、髪結いあげーの(カツラ装着!)
出来上がってビックリ!これ誰!?って感じです!
まぁ当然ですよね?ここまで濃いお化粧すれば、素顔なんてわからないですよねー
「うわぁ、これは……だれ?って感じだよね。でも、さすがにこれはちょっとやりすぎ?」
「そう?これはこれで良いと思うけど。でもそうね、これじゃおちびちゃん本来の可愛さが無いわね」
「これはこれであり。でもこれはおちびちゃんとはちょっと違う。素材を生かしきれてない」
私本来の可愛さとかは判りませんが、やっぱりやりすぎですよねぇ。
それに毎回このお化粧をしなければならないというのも結構大変な気がするのですけども?
え?お化粧データを保存しておいて、次回からボタン一つで可能?その辺はさすがゲームと言った所でしょうか?
「じゃ、一応何かの時のためにこのお化粧データは保存するとして、もう少し普通のというか、パーティーなんかの時にするレベルのお化粧をですね?」
「あー、ちょっと濃いめのお化粧って感じかな?」
「ナチュラルメイクでもいいと思う」
「それじゃさすがにバレバレだからねー、ちょっとシャドウとか効かせた感じでやってみよっか」
髪下ろして、ファンデーションをちょっと濃いめにして、チーク塗って、アイシャドウをさっと入れて、ルージュ入れて……
あ、眼のふちに赤で隈取いれてもらえる?そうそう、それで目元ががっつり変わると思うのー
「んっと、こんな感じかな?」
「バッチリ、おちびちゃん本来の良さを出しつつ、さらにポイントを引き出してる」
わたしの平凡顔がちょっと神秘的に!うん、変装ならこれでいいんじゃないかな?
でも、なんでしょう、何か見覚えがあるというかなんというか……
「あぁ、あれだ、市松人形!」
髪型と良い、ちょっとふっくら顔な点と良い、低身長なせいでちょっとずんぐり気味な所と良い、ズバリそのものですね!
「ん?市松人形って何?」
「似たような感じのお人形さんが日本でもあるのですよー」
「そうなんだ」
「それは是非作るべき。きっと売れる」
「いやいや、シルヴィアさん。それはやめましょう…下手すると私のキャラクターフィギュアになっちゃう……」
で、サリナさんとシルヴィアさんはどうするのでしょうか?まさか私だけこんな格好って事は無いですよね?
あ、お二人も着物を着る?それはそれで人だかりがすごいことになりそうな気もしますね。お正月に見たお二人の着物姿は破壊力がすごかったですからね。
とりあえず、お二人も似たようなお化粧をして着物を着てきたのですが……
えっと、本当にこの格好で行くのでしょうか?
着ている時やお化粧している時ははあまり気にしていなかったけど、三人そろって鏡の前に並んでみると、宇宙船の中でこれは違和感がすごいですね!
それにしても、なんていうかあれですね、市松人形を真ん中に置いてその両脇に日本人形を置いてるみたいな?
す、スタイルの差がすごい……解せぬ
「ね、ねぇ、ほんとにこれで行くの?」
これめっちゃ目立つと思うんですけどー?
「そうよー、着物の宣伝も兼ねてるからね」
あ、着物の宣伝のためですかそうですか。
「おちびちゃんは十分可愛いから自信を持つと良い」
可愛いだなんて、てれるー
でも、このままいくと酷い目にあいそうですよねぇ。
みえる、みえるぞぉ~、人波にさらわれる姿が見えるぞぉ(主にお二人が!)
「えーっと、たしかこのゲームの設定で、フレ登録していない人はアバターが一定以上近づけないって設定ありましたよね?」
「あったわね」
「それ設定しましょう、お二人も!」
「そうね、また囲まれて身動き取れなくなるのも困るし、設定しとこっか」
最大設定が半径1mですか、まあ1mあれば何とか、なる……かな?
……
「それにしてもゲーム内で勝手に商品?の宣伝とかしちゃっていいんですか?」
「大丈夫よ、運営側の許可は取れてるから。それじゃないとこんなデータ用意できないしね」
そもそも着物データを提供しないとゲーム内アバターで着れない?それもそうでした。ということは、お姉ちゃんはスポンサーってことになるんですかね?
え?お姉ちゃんはこのゲームを運営している会社の親会社の大株主?
なるほどー、だから着物データもポーンと出せるし、ここまでやっても大丈夫なんですねー(棒
よし、せっかくですしやるならとことんやりましょう。
まず船ですが、皆さん黒にしてください。そして、その船にワンポイントのマークを入れましょう。
ワンポイントのマークは……ユリの花がいいかな?
私は白色、サリナさんは金色、シルヴィアさんは銀色で同じようにユリの花のワンポイントを入れて、チーム名をトリコロールから『螺鈿細工』に変えましょう!
そうそう、船のイメージを漆塗りの螺鈿細工のイメージにしちゃって、とことんまで純和風にしちゃうのです!
「おちびちゃん、螺鈿細工って何?」
「螺鈿細工っていうのはですね、んーどう説明すればいいかな?黒地に貝殻なんかで模様を作ってって感じ?確か個人端末に画像がいくつかあったような?あとで見せます?」
え?お姉ちゃんに報告?実際に螺鈿細工も作らせる?まぁ、いいですけど、私詳しくは知らないですよ?
あ、榊さんに調べさせる?そうですか。やらかしちゃったかなー?まぁ、いっか。
とりあえずワンポイントのユリの花のデザインもしっかり考えたいですし、一度ログアウトしましょうかね。
たしか端末にユリの花の写真があったはず……っと、あったあった。
「これこれ、こんなお花なのー、可愛いお花でしょー?」
「あらほんと、このお花をマークにするの?」
「そうそう、これをうまくマークにしてね、船の横にワンポイントとして入れたらどうかなーって。それでね、お花の色を変えて三人でお揃いにするのー。どうかな?」
「あら、良いわねそれ」
「お揃い……おちびちゃんとお揃い、是非やるべき」
え?二人も気に入ってくれた?やったー。それじゃうまくこれをマークとしてデザインして……
「うごごごご、、うまく書けない」
「貸して、書いてみる」
え?シルヴィアさんが書いてくれるの?
そうそう、そんな感じで、そこは、そうそう、うわー上手ー。
やったー、いい感じのマークが出来たー。これをね、船のこの辺にワンポイントとして入れるとね、いい感じかなーって。
でしょでしょー、それじゃこれで塗装変更出しちゃおう!
んと、書いてもらった絵を取り込んで、船のベースカラーをこれにして、この位置にこの大きさで、反対側には左右反転した形にして、わたしの船には白色で入れてもらうっと。
完成予想イメージはこれかー、うんうんイメージ通りでいい感じー。
サリナさんとシルヴィアさんの方はどう?
おー、いい感じー。それじゃこれで塗装変更っと。
あー、塗装も時間かかるのね。まぁ、待ちましょうか。
そしてお昼ご飯を食べて、今日はサリナさんとお昼寝です。おやすみなさーい。




