22.とりあえず、初依頼は終わりましたよ?
さて、とりあえず初依頼は終わったので、ログアウトしました。
「それにしても、すごい人だったねぇ。遭難してた人もそうだけど、組合の人もさー」
「そうね、なかなか濃い人達だったねー」
「特に組合の方がさ、AIとは思えないよね、最初の受付の人も最後の人も」
「ん?あの人たちはたぶん中の人いるわよ?本物の組合の人がアルバイトだったり研修だったりで中に入ってることがあるのよ」
うわー、だからあれだけ人間味があるんですね、悪い意味でですけど。
でも、それだとあの内容ってどうなんでしょうか?
「あー、最後の人はねぇ、あれはちょっと調べた方が良いのかな?」
不正の可能性がある?例えば?
あぁ、ゲーム内通貨を現金化できるから、少しでも利益を上げるために報酬を安くすると。
「まあ、あとはあの依頼についてはかなりグレーよね。たぶんあれ、初心者に受けさせてゲーム内通貨を使わせる目的よ?」
少しでもユーザの船を壊して新しく購入させるなり修理させるなりでゲーム内通貨を使わせて課金させると……
「それ、バレたら運営ヤバいんじゃ?」
もし日本でそんな事やったら大手掲示板に経緯とか一連の流れをUPされて速大炎上物ですよ?
「敵が一匹だけなら上手くいけばボーナスだからあり、でもあの依頼内容で四匹は問題」
「んー、四匹なのを一匹ってやったのはあそこの事務員の独断じゃないかな?あとは、もし成功されても渡す金額を減らして残りは自分の口座に入れちゃうとかね。救助依頼もだけど」
ユーザに本来支払うべきものを横流しして私腹を肥やすですか?それは流石に無いんじゃ?
「ルーキーだから細かいところ分からないと思ってやられたかもよ?」
あぁ、私たちがルーキーだから足元を見られたと。もしそうならちょっと悔しいですね。
「そうすると今回の件は報告した方が良いの?ギルド本部なり、後はクレーマー扱いされるかもだけど、運営なりに。最悪ネットの掲示板に今回のやり取りを流すという手も?」
会話は全部録画してますしね。ゲーム内報告、運営、その他大勢の一般人。どれがいいですかね?
「あー、今回の件はファセット様に頼んだ方が良いかな?」
え?お姉ちゃんに丸投げする?でも、たかがゲームのことでお姉ちゃんの手を煩わせるのもねぇ、今結構お仕事忙しいんでしょう?
「ほら、無いとは思うけど運営会社が指示している可能性もあるから、そうなるとね」
あぁ、最悪運営会社ぐるみでの悪事の可能性があると、下手すると詐欺に当たる?なるほど、そうなるとわたしがどうのという問題じゃなくなるわけですね?
じゃ、とりあえず今回のことはお姉ちゃんに相談という形で、ごーはーんー、お腹空きましたっ。
「はいは、それじゃ調味料も手に入ったし、それらを使ったものに挑戦するねー。ちょっとだけ待っててね」
え?さっそく日本の調味料で和食に挑戦してくれる?
使い方はですね、あ、大体知ってらっしゃる?さすがサリナさんです。調味料は足りなくなったら言ってくださいね、すぐ出しますので。
では、今日のご飯は期待していていいのですかね?
「おまたせー、純和風ってわけじゃないけど、おちびちゃんお腹空いてそうだったから手っ取り早く出来そうなの作ってみましたー」
「しょしょしょ、生姜焼きにお味噌汁ーーー」
思わずガン見ですよガン見!
食卓に出されたのはなんと、白いご飯、生姜焼き、キャベツの千切り、お味噌汁ともうね!
思わず目がうるっと……
さっそく食べましたよ。もうね、お醤油をかけた生姜焼きはまだ我慢できたのですが、お味噌汁を一口飲んだらもう駄目でした。目のダムが決壊してボロボロ泣きながらご飯を黙々と食べてしまいましたよ。
ご飯食べ終わった後は、そっと抱きしめてくれたお姉ちゃんの胸で心いくまで泣かせてもらいました。
……
いやぁ、久々の和食、大変おいしゅうございました。こんなおいしいご飯を毎度毎度作ってくれるサリナさんにはホント足を向けて眠れませんね!
とはいえ、いつも一緒に寝てもらってるので足の向けようがないんですけどね!
え?夜一緒に寝てもらってるのかって?実はですね、こちらに来た初日の夜なのですが、どうやら私うなされていたらしいんですよ。
でまぁ、日本での最後があんな感じでしたし、元々男性恐怖症というのもあって精神的にさらに負担がかかってるんじゃないかと。そのせいでうなされるんだろうという事で、毎日最低一人、多い日はみんなが一緒のベッドで寝てくれてるのですよ。
いやぁ、添い寝ってすごいですね。今まで両親が死んでから誰かと一緒に寝たことってないんですけど、すごく安心して寝られるんですよ?
人が結婚するのって、こういう人肌のぬくもりを求めてって事なんでしょうかね?
もっとも私は男の人はノーサンキューなので、一生独身で行きますけどね!人肌が恋しかったらお姉ちゃんやサリナさんやシルヴィアさんの人肌を求めるからいいのですよ!
それにしても、やっぱり自分では気が付かなくてホームシック的なものにかかってたんですかね。
今日は早めにお風呂入って就寝です。おや今晩はお姉ちゃんが一緒に寝てくれるのですか?
ぎゅって抱きしめられた状態で頭をなでなでされながら夢の中へ……おやすみ…なさ……い………
……
おはよーございます、お姉ちゃんのお胸様枕ですっきり爽快な朝ですよ!
えへへ、昨日あんなに泣いちゃったせいかなんか照れますね。
あぁ、朝からお姉ちゃんに怒られてしまいました。
起きると同時に、お姉ちゃんのお膝の上に横すわりの状態にされてね
「おちびちゃん、寂しいならため込まずにね、わたしでも、サリナでもシルヴィアでもいいから、遠慮なくいってほしいのよ?」
「う、うん。でも……」
ため込んだらダメ、誰かに言うだけでも少しは軽くなるんだから、ため込まずに吐き出しなさいって言われてしまいました。
「でもじゃないの!わたしたちは、血はつながっていないけど、もう家族なのよ?家族に遠慮しないの!私たち家族には血のつながりは関係ないんだからね!」
うわ、お姉ちゃん口調が……この口調で怒られるのはちょっとこたえますね。
「あ、うん。えと、ありがとう。でもね、遠慮してたんじゃなくて、自分でも分かってなくて」
「そうなの?」
「うん。毎日みんながいてくれてとても楽しいよ?寂しさを感じた事、ないよ?」
「そっか。それじゃ、食べ物は別腹って、ことなのね?」
そういいながらお姉ちゃんは頭をなでなでしてくれるのですが、言ってることにはちょっと納得がいきませんねぇ。
「むぅ、またそうやって私を食いしん坊にするー」
「うふふ、でも食べるの好きでしょ?」
「そりゃ、サリナさんのご飯美味しいし」
こほん……さて、昨日さんざん泣いて顔もひどいことになってるそうなので、今日は朝風呂に軽く入ってからお勉強ですよー。
昨日のゲームで思ったのですけどね、言葉の勉強をもっと頑張らないといけいなと、さらには冒険者やお貴族様についても、もっと色々覚えないといけないと思ったのでね、その辺の事もお風呂に入りつつ三人に相談して、今後の勉強の方針を少し変更してもらいました。
とはいえ、順番が少し変わるくらいであまり違いはないと言われました。
あと、お姉ちゃんから、「ゲームとはいえ操船技術は見せてもらったわ。あれなら少し練習すれば本物の宇宙船のライセンスもすぐ取れそうね」と言われました!
ただ、宇宙船の操縦には、免許とライセンスの2種類が必要なんだそうです。
え、免許とライセンスは意味が一緒じゃないの?と思ってたらどうやら違うようで、免許は船を操縦する場所により取るべきものが変わる物、ライセンスは操縦できる船の大きさによって変わるものだそうです。
免許は法律やらルールやらの知識面がメイン、ライセンスは操船技術がメインの試験内容らしいです。
それらをまとめると、免許としては各国国内限定免許とどこの国でも通用する国際免許があって
国内免許は
・大気圏内航行用免許
・特定惑星限定
・国内限定
・惑星系内限定免許(もっとも一般的な宇宙船操縦免許)
・恒星間免許
国際免許は
・銀河系汎用大気圏内航行用免許
・銀河系汎用免許(別名:汎用ライセンス)
・銀河系特殊免許(別名:スーパーライセンス)
とあるようで、この中でも特殊免許だけは特別で、銀河系のどこを飛んでも基本的に良いそうです。
ほかの免許で飛んでいいのは、決められた航路及びその周辺だけなんだとか。
そしてライセンスについてですが、こちらは何処の国でも通用するようで
・特定小型艦艇ライセンス
・小型艦艇ライセンス
・中型艦艇ライセンス
・大型艦艇ライセンス
・特種艦艇ライセンス
の五種類あるそうですが、思ったより少ないですね!
ライセンスについてですが、それぞれ持っているライセンスで操縦できる船の最大サイズが決まるそうです。
特定小型艦艇ライセンスなら50m級までとか、小型艦艇ライセンスなら100m級までとか言った感じですね。
ちなみに、特定小型ライセンスでは恒星間免許は取れないようです。
恒星間航行可能な宇宙船を操縦したい場合は、少なくとも小型艦艇ライセンス以上を取らないとだめって事ですね。
それと、小型艦艇ライセンスまでは誰でも受けられるけれど、中型艦艇ライセンス以上については受験制限があって、受験者のルースの種類や大きさによって受けられない場合があるそうです。
理由としては、メイン機関やワープ機関へのエネルギー供給を満たせるかどうかという事らしいです。
私はどのライセンスでもその条件を満たしているらしく、どんな船でも操縦できる特種艦艇ライセンスを最初から取っちゃいましょうとの事。
いやいやお姉ちゃん?いきなり一番上を狙うっていうのは、確かに無駄は無いかもしれないですけど、ちょっと無理があるのでは?
こういうのって下のランクから取っていって、一定期間の実務経験が必要とかの条件は無いのですか?そうですか無いんですか。
大丈夫なのかなそれ?
あ、免許の方も狙うは銀河系特殊免許ですかそうですか。大丈夫かな?そう簡単に取れるような代物じゃないと思うんですけど?
後余談として、国際免許を取るには中型艦艇ライセンスを持っていることが条件に追加されてるらしいですよ?
確かに一番小さい船しか操縦できないのに国際ライセンスがあってもって気もしますよね。
あと銀河系特殊免許ですが、例のお願いを達成するには必須になる免許だそうです。
なんでも、お願いされている星のある場所が航路からかなり離れた所らしくて、銀河系特殊免許ないといっちゃだめなんだそうです。
もっとも現在その場所は接近禁止区域に指定されているらしく、この銀河の偉ーい組織(モース銀河最高評議会というらしい)の許可が無いと近づいちゃダメなんだそうですけどね!
もっとも、どうしても取れなかった時は超法規的処置で何とかするとか言ってましたけど、ちゃんと取れるように頑張らなきゃね!
ちなみにこの特殊免許は誰でも受験できるわけじゃないらしく、受験申請を出した後にモース銀河最高評議会から許可をもらえないと受験申請が通らないんだって。
そんな許可私に出るの?と思って聞いてみたら、お姉ちゃんが許可出すからOKとか言われました!
お姉ちゃん、そんなえらい組織の人だったんだ……
毎日私の相手してくれているけどお仕事大丈夫なの?すっごい忙しいんじゃないの?
あ、はい。大丈夫なんですかそうですか。
まぁ、これからは船の操縦免許やライセンスを取るための勉強も頑張っていきましょうという事でまとまりました。
ちなみに、昨日やったゲームの『Adventurers Online』ですが、操船技術については本物の宇宙船のシミュレータを模倣して作られているため、あのゲームで宇宙船の操縦の練習をすればライセンスを取るのに役に立つそうです。
免許については、さすがにゲームという事もあって手続きやら決まり事なんかが簡略化されてるそうで、そっちは勉強頑張ってと言われましたが、暗記系に関しては睡眠学習装置という強い味方がありますからね、ばっちりですよね!
そんなこんなで勉強の一環としてゲームも日課として追加されつつ日々楽しく暮らしています。
次話は16時更新予定




