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21.宇宙怪獣との初戦闘は終了しましたよ?

本日三話目です



 さて、遭難船を見つけたわけですが



「こちら冒険者組合所属、チームトリコロールのおちびです、小惑星に不時着している船の方、生きてますかー」


「やっと救助に来たのか、いったい今まで何をやっていたんだ!早く俺様ちゃんを助けろ!」


 な、なんでしょうこの方は……


「とりあえず、そちらの状況を教えていただけますか?」


「そんなことも見てわからないのか、随分と節穴な目をしているのだな。仕方ない、説明してやるからありがたく思うのだぞ?」


 いや、墜落しているようにしか見えない状況から何を判断しろと?


「実はだな、昨日このゲームを始めて、何かいい依頼が無いかチェックしていた所魔物討伐依頼があるじゃないか」


 ふむふむ、なるほど。ゲームを始めてすぐに冒険者組合で討伐依頼が張り出されていた依頼を見つけたと。私達と一緒ですね。


「そこでこれは俺様ちゃんが一躍ヒーローになるために用意された依頼だとすぐにわかってな!」


 いやぁ、誰かがヒーローになるために用意された依頼っていうのは、無いんじゃないかなぁ


「即座に受けて討伐に来たのは良いのだが、何処にも魔物の姿が見当たらないじゃないか!そこでアステロイドベルトがあったので、その中に隠れているはずだとにらんで探していたんだがな」


 アステロイドベルトに隠れているのかもという点につては目の付け所は良いのでしょうが、そのまま探しに入るってよっぽど操船に自信があったのでしょうか?


「途中で急にエンジントラブルが発生してこの有様だ。きっと買った船が不良品だったんだな。メーカーに文句を言ってやらねばならん」


 そ、それは……エンジントラブルじゃなくて、隠れていた魔物に襲われただけだと思うんですけど?


「さぁ、状況は理解できただろう!説明してやったのだから早く俺様ちゃんの船をコロニーまで運ぶのだ!当然俺様ちゃんはお前の船に移動してもてなしを受けてやるのだから、それ相応の歓待をするのだぞ!」


 よく船が全損しなかったですね?エンジンをやられて、安全装置が働いでエンジンをパージした結果爆発はしなかったとか?それでエンジンブロックが丸々無いのですかね?


「えー、外側から見た所その船はかなりの損害が見受けられます。正直修理するより新しく買いなおした方が早いんじゃないでしょうか?」


「馬鹿を言うな!やっとこの船が出たのだぞ?それを捨てろとかバカも休み休み言え!いいから早い所回収しろ!」


 あー、ガチャの景品なのですねー、それだとさすがに全損するとまた引かなきゃいけないわけですね?


 だから持って帰ると?でも、この大きさはさすがにわたし達の船には詰めないですよねぇ。


「えー、そちらの船の大きさですと私達の船での回収は不可能です。なので船は捨てていくしかありませんがどうしますか?」


「そこを何とかするのが回収業者たるお前たちの仕事だろうが!いいからつべこべ言っていないで俺様ちゃんの船を回収しろ!」


 えー、何か頓珍漢なこと言ってるんですけど?回収業者って誰ー?


「私たちは依頼を受けて魔物討伐に来ただけの冒険者で、回収業者ではありません。今の会話からすると回収業者には連絡済みなのですね?」


「連絡済みも何も、お前らが来たって事は回収業者なのだろう?」


「という事は連絡はしていらっしゃらないのですか?」


「そんなことは知らん!俺様ちゃんの船が壊れたら救助に来るのは当たり前だろうが!」


 そんな当たり前は聞いた事がありませんよ?回収にもお金かかるんですから、依頼が無かったら来るわけ無いじゃないですか。


「えー、何か行き違いがあるようなので説明しますが、わたし達は組合の依頼を受けて魔物討伐にこの近くまで来ただけであって、あなたがここにいたのは単なる偶然です。そしてあなたに話しかけたのはあなたの船から救難信号が出ていたからです。そしてあなたの船はわたし達の船では回収不可能です」


「そんなことは良いから早いところ俺様ちゃんの船を回収しろ!いったいいつまで待たせるんだ!」


 うわー、全然会話にならないですよー。


「ですから!私達の船では回収は不可能です。それではこちらから最寄りのコロニーに回収依頼を伝えておきますね!」


「なんだとっ、わざわざ来たのに回収できないだと?それなら曳航してでもいいから早くコロニーまで連れていけ!」


 とりあえず最寄りのコロニーに連絡しておきましょうかね


「それですと、ワープ中に最悪船が全損になる可能性もありますがよろしいですか?」


「馬鹿かお前は!良い訳がないだろうが!この船を当てるのに一体いくら使ったと思ってるんだ!」


 そんなこと知りませんよー


「では回収業者が来るまでそのままここで待っていてくださいねー」


「ふざけるな!別の回収業者を呼んだのならそいつが来るまで俺様ちゃんをお前の船で歓待するのが礼儀だろうが!俺様ちゃんをだれだと思ってるんだ!」


 いや、あなたがだれかなんて知りませんよー


 このままほおっておいて帰りたいのですが、それはそれで救難信号を出されたので航行法違反になってしまいますし、向こうからどこかに行けとか言ってもらえるといいのですが……


「えーっと、回収船が来るまでこちらの船に滞在して、回収船が来るまで一緒に待機していろ、という事ですか?」


「何を分かりきったことを言っているんだお前は!俺様ちゃんの船が故障しているのだからそっちの船に乗せるのは常識だろうが!」


「えーと、確認なんですが、今いる区画は空気漏れとか発生していますか?あとは、怪我して動けないとかでしょうか?」


「空気漏れは起こっていないし怪我もしていない!」



……



 などと不毛なやり取りをしている間に、どうやら最寄りのステーションからの回収船が来たみたいですね。


「えーっと、どうやら先ほど連絡した回収船が到着したみたいなので救助作業はそちらに引き継ぎますね」


 もうしーらないっと



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「おちびちゃん、こっちは回収終わったけど、そっちは終わった?」


 あ、サリナさん怪獣の遺体の回収終わりました?ご苦労様です。すいませんね全部任しちゃって。


「回収ありがとうございます。ところで、とっくに終わってみてましたよね?」


 助けてくれてもいいじゃないですかー


「えへへ、おちびちゃんには良い経験かなーってね。もっとも、ちょっと酷い相手だったけどね」


 何事も経験?それは確かにそうですけど、できればもっと会話のできる相手の時が良いです。


「まぁ、次はもうちょっと上手く出来るといいね」


 対応内容は間違っていない?でももっと早めに切り上げるべき?難しいですー。


 まぁ、なんにしても後は回収業者に任せて帰りましょ。



 というわけで無事冒険者組合事務所のあるコロニーまで帰ってきたわけですが、まずは討伐結果報告ですね。


 受付で報告とデータのコピーを提出してっと。


 原本はね、結果確認後に出さないと、最悪データ削除の上知らぬ存ぜぬをやられると困りますのでね、最後まで提出はしないのですよ!


 なぜそんなことを知っているかですか?そりゃもう睡眠学習の成果ですよ!


 ここはゲームの中なのでね、さすがにそんなことはないと思うのですけど、リアルの冒険者組合では不埒な係員がいて、提出された討伐結果の原本データをお気に入りの冒険者に横流しするという事件があったらしいんですよ。


 無論そんな事しても訴えられたらすぐばれると思うんですけど、それが判らないおバカさんがいたらしいのですよ。


 もっとも、すぐばれてかなり重い罪に問われたとかなんとか。


 まぁ、結果的には大丈夫とは言え、そんな面倒なことに巻き込まれるのは嫌なのでね、ちゃんと対策を取っておくのですよ。


 などと考えているうちに討伐の確認が終わったようですね。


「チームトリコロールのおちびさんですね、これらの処理は別室にて受付させていただくとの事です」


 おや、別室にですか?受付時のおねーさんのことでしょうかね?


 なるほど、ルーキーがいきなり魔物討伐を無傷でやったのが周りに広がるのがあまりよろしい事ではないと。


 そのうえ、救助依頼の件もあると。


「救助依頼なのですが、すごくわがままな人だったのですけど?」


「あぁ、こちらにも連絡が来ています。あのお方、どこぞの貴族様らしいですよ」


 え、中の人がお貴族様?それって冒険者として関係あるんですか?無いですよね?


 たしか現実の冒険者でも貴族の地位とかは関係なかったと記憶しているのですが、こちらの冒険者組合はお貴族様を優遇するとかあるんですか?


「貴族様って、それ冒険者に何か関係あるんですか?」


「いえ、原則としてそういう立場的な物とかは関係ないんですけどね。それより、今回の報酬についてですが」



 とりあえず、デブリ除去は問題なし。報酬額も満額と。


「魔物討伐もデータを確認させていただきまして、無事完了とさせていただきます」


おや、魔物討伐は、依頼書には一匹と書かれていたのですが四匹もいましたよ?その辺どうなるんでしょうか?


「依頼書には一匹とあったのが四匹いたのですが、その点については?」


 あ、記録映像で確認済みですか。追加報酬を出す、なるほどなるほど。ただ、この金額だと少なくないですか?


「金額については、特別に依頼外の三匹分も追加させていただきますので」


「それってちょっとおかしくないですか?」


「どこがでしょうか?」


 どこがって、依頼書に書かれている内容と著しく危険度が違うのに、追加報酬が増えた三匹の討伐分だけっておかしくないですかね?


 最初から四匹の討伐依頼の場合は難易度が上がるから、報酬はもっと高くなりますよね?


 これだと最初から依頼書に四匹って書かれていた場合と金額変わらないですよね?それに普通は後から極端に難易度が上がった場合はさらに上乗せされるのが普通だと思っていましたけど、なぜ逆に下がるんですかね?


「下がっているわけではありません。むしろ当初の報酬よりも三匹の討伐分増えているでしょう?」


 もともとが四~五匹で、もう少し多い可能性有とか書かれていて増えたなら、増えた分の討伐報酬だけ追加というのも判りますけど、一匹だけって言われて四倍の数がいたとか、明らかにそちらの調査不足ですよね?


「いえ、こちらで確認できていたのが一匹だったので依頼は一匹なのですよ?そこを、たまたま四匹に増えていたようなので、特別に、討伐報酬を四匹分出しますと言う事です」


 これ、一匹だけなら倒せるって思ってこの依頼受けた人だったらまず間違いなくやれますよ?


 実際のところ自称お貴族様もやられていたわけですし?


「いえ、そう言われましても、冒険者は自己責任の職業ですから」


 ふむ、冒険者は船の修理費と怪我の治療費は自腹、ですか?いや、それとこれとは話が違いますよね?


 調査不足についても、状況は刻々と変わるから内容が調査時と違う事もあると?


「えぇ、そういう決まりですので」


 そうですか、お役所仕事ですね。まぁ、それなら仕方ないですね。次からは受ける依頼をもっと厳選することにしますよ。



 で、救助依頼の方はどうなるのですかね?


 実際のところ救助自体はしていないわけですけど、救助依頼には駆けつけたわけですし?


「そちらについては、実際に救助したのは回収業者の方ですので」


 え?助けてないから救助依頼に対しての報酬は無しですか?おかしいですね、こちらは救助依頼を受け取り現場にちゃんと駆け付けましたよ?


 その上で相手の船体チェックして被害状況を見て、こちらの船では相手の船の回収は不可能と判断して、船体の破棄と同時に搭乗員の救助を提案しましたけど、相手がそれを拒否。


 それでもどうしても船を回収したいという事でしたので、回収業者に連絡した上で回収業者到着まで安全の確保。


 この場合は現地までの移動および交渉、その後の他への救助依頼の手間賃と護衛費用が支払われるべき内容じゃないですか?記録もちゃんと残ってますよね?


「ですが、遭難されていた方も実際回収業者の方に費用を払っていますので、今更払えとも言えないですよね?」


 ちゃんと救助対象を連れてこないのが悪い?救助対象を連れてきて初めて救助依頼が完了になる?なので今回の救助依頼に対しての報酬も払えない、ですか?


 そうですかそうですか。では、あなたからの回答としてはそれでいいので、今回の3件の依頼、デブリの排除完了、魔物の討伐は、対象数が増えたことに対して討伐対象数が増えたことのみの報酬の増額という形で完了、救助依頼に関しては要救助者を連れてこなかったので未完という事ですね?


 ではそれぞれの依頼に対しての報告書に確認済みのサインください。


「あ、ギルドサインだけではなく、だれがサインしたのか判る様にあなたのサインもきちんと書いてくださいね。もちろん身分証明付きでですよ?」


「えっと、通常こういうのはギルドの確認サインのみなのですが?」


「いえ、後で確認したしていない、このサインは別人のだ等の問題が起こらない様ににしたいのでお願いします」


「ですが、それですと身分証明書付きサインと言う事になりまして、別途費用が掛かりますがよろしいですか?」


「もちろん証明付きサインに対する正規の金額はお支払いします」


 面倒とは思いますけど、後々の面倒事のためにもお願いしますよ。(もちろん面倒回避のためじゃなくて、面倒事を起こすためですけどね?)


「確かにサインいただきました。ではこれで失礼しますね。」


「あ、あとですね、先ほどの救助の件なのですが、大変申し上げにくいのですが、相手はご貴族様ですので、今回の救助の件はどうかご内密に」


「え?お貴族様の救助の件は口外無用、ですか?なぜでしょう?」


それは私の関知する事柄じゃないですよねぇ?


「お相手の立場的なものなどもありますので、口外されますとあまりよろしくないかと」


え、お貴族様から口止めされてるのかな?


「いえ、それ私関係ないですし?」


「いえいえ、口外されますと大変困ったことになりかねないので、重々お願いしますね」


 え?こまる?困ると言われても、私には何とも。


「困ると言われましても、ねぇ。それでは失礼しますね」


「ちょっと、まってください、口外しないでくださいよっ!」


 待て?いえ、待ちませんよ?もう完了報告にサインもいただきましたし、用事は終わりましたから。



 では~



次話は明日お昼頃更新予定です

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