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2.頭ではなく、魂に直接話しかけられましたよ?(改行修正済)

サブタイトルについては、前話までについての内容で決めています。



「小さき子よ、聞こえますか?」



……



「小さき子よ、聞こえますか?」



 えっ、なに?

「小さき子よ、聞こえていますか?今あなたの魂に直接話しかけています」

 はっ、あ、頭に直接声が聞こえるっ!?って、頭に直接話しかけるんじゃなくて魂!?


「小さき子よ、あなたという存在の根源は魂に集約されています。ですので、あなたの魂を通じて考えていることも全てわかるのですよ。

現にこうしてあなたは声を出していないのに会話が成り立っているでしょう?」

 さっきからちっさいちっさいしつこいっ、これでもBはあるんだからっ……て、ここはどこ?


 魂に直接話しかけているというか、頭の中に直接聞こえてくる声に気を取られて気が付かなかったけど、今の私ってどういう状態なの?

 体に何か触れている感覚もなく、座っているのか寝ているのか、上を向いているのか下を向いているのかもわからない。

 なんかふわふわした感じ。もしかして無重力空間に浮かんでいるとこういう状態になるのかな?


 目も開いているのか閉じているのかすら分からなく、、真っ暗なような、それでも目の前に何か見えるような、誰かがいるような不思議な感じがする。

 よくよくそっちに意識を傾けてみると、それはぼんやりとした人型に見えないこともない。

 そんなことを考えていると、またあの不思議な声が聞こえた。


「大丈夫です、小さい方がいいという人も世の中には居るものです。小さいと言う事はそれだけでステータスになることもあるので決して悲観することはないですよ?」

 なんだろう、ちっちゃい事でめちゃくちゃディスられてる気がするんだけど?それとお尻だけ大きいは余計です!

「さて、小さき子よ、あなたは死にました。いいえ、正確には今まさに死にかけています。魂との直接のやり取りなので現実とは時間の流れ方は違いますが、それでもあまり時間に余裕はないのです」

 突然「今あなたは死にかけてます」って言われても、どこも痛も苦しくもない。


「小さき子よ、先ほどの事を覚えていませんか?」

 さっきの事って、なんんだろう?

「あなたは見知らぬ男に路地裏に連れ込まれ……」


 そうだ、わたし……


 やっていたゲームのイベントが一区切りついて、お菓子食べようとしたら切れてたからコンビニに買いに行ったんだっけ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「さて、夜のイベントまではまだ時間あるし、おやつたーべよっと。あれ、買い置きのシュークリームもうないんだっけ?榊さんは今日はお仕事でいないし、近所のコンビニ位なら一人で行っても大丈夫だよね?」



 そうして、足が不自由な私は車いすで近所のコンビニに行き、目的のお菓子とジュースを買った後、急いで家に帰ろうとしていたんだけど



「んふふ~、濃厚ミルクシューが一つだけ残ってた~。早く帰ってたーべよっと」

 家であるマンションまでもう少しという所で、突然後ろから手が出てきて口を押えられて

「大人しくしてろっ」

 そう言われて、そのまま車いすを押されてマンションの駐車場の奥に連れ込まれたんだった

 私はとっさに訳が分からずに車いすの上で暴れたけど、そのまま奥に脇に止めてあった白いワンボックス型の車の後ろに連れていかれ、そこで車いすから引きずり降ろされたんだっけ

 そして、男の人に襲われかけて、私の着けている貞操帯を見て逆上した男の人にそのままナイフで……



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 あぁ、私死んだんだ。


「思い出しましたか、小さき子よ。そして死を目前にしているあなたに私から選択肢を与えます」


 選択肢?選択肢って何?はっ、まさかこれが噂の異世界転生?いやいやでもでもだって止まってた車はトラックじゃなくてワンボックスだよねそれとももしかすると私がここで死ぬのは歴史的に間違いでその間違いがこの声の人のせいでお詫びにチートで異世界!?私の時代がクルー!?!?

「小さき子よ、私がミスをするなどと、そんなことはたまにしかありませんよ?」

 あ、たまにはあるんだ


「とりあえず、その考えは間違えています。あの男は違法薬物をやっていましたからね、条件の一つは満たしている事になると思いますよ?もっとも今回小さき子にコンタクトを取った事とその事に一切の関連性はありませんが」

 手違い異世界転生でチートもらってヒャッハーじゃないの?ていうか、そうじゃないなら理由は何なんだろう?そもそもこの声の人は女神様とかじゃないの?

 あと、違法薬物って、それトラックじゃなくてドラッグだから!字面は似てるけど違うからね!!条件満たしてないから!!!


「私はあなた方の言う神やそれに類する者ではありません。わたしは、そうですね、あなた方の言う宇宙人でしょうか?こことは違う遠い星ではるか昔に生まれ、そして滅びかけている一族の末裔です。そして選択肢についてですが、今現在あなたは死にかけています、そこは良いですか?」

 まぁ、ナイフで喉を刺されたら普通は死ぬよね。13歳で死ぬのかぁ、もっと長生きしたかったなぁ。


「そこで、選択肢の一つはそのまま死んで、輪廻転生の輪に入り、新たな生を受け生まれ変わる。これが通常の場合ですね」

 身もふたもないなぁ


「もう一つは死にかけている小さき子を私達の住んでいる所へ連れて行き、そこで怪我の治療をしその後お願いしたいことがあるのです。それが二つ目の選択肢ですね」

 むぅ、どうするべきか……って、悩むことないよねぇ。


「では私のお願いを聞いてくれますか?」

 そのお願いって何をすればいいの?私に出来る事なの?出来る事だとしても内容次第かなぁ

「あなたにお願いしたい事は、銀河を滅亡から救うことです」

 え、それちょっとしたお願いってレベルじゃないよね。どうやれば私なんかが宇宙を救えるの?

「とりあえず詳しく説明しましょう」



 そして説明された内容をまとめると


・この人の住む銀河系(モース銀河と呼ばれているらしい)の中心近くに超巨大な恒星があって、それが現在進行形で異常な速度で膨張していっている。

・膨張の原因はどうやら謎の生命体が恒星に住み着いた事が原因らしく、それを宇宙船の主砲である次元砲でその生命体を消滅させてほしい。

・そのために残された猶予期間は、長くてもあと10年は無いだろうと思われる。

・その猶予期間の間に宇宙船の操縦を覚えて実行してほしい。


 また、問題解決までの期間はもちろん、解決後の生活もそれなりに良い待遇を保障してくれると言っている。

 あと、なぜ私なのかを聞いてみた所


・現在すでに加護を与えている人達では目的に使う宇宙船を動かすだけの力が無い

・そこで今現在加護を与えていない知的生命体で素質がある者がいないか探した結果、10年程前にすさまじい潜在能力を持つ、私を含め数人の候補者を見つけた。

・で、見つけたはいいけど生きているうちに連れて行くのも悪いので、地球にひそかに人を送り込んで監視をしていた。

・それが現在私を引き取って生活の面倒を見てくれている財産管理人の榊さんらしい。

・ところが、たまたま榊さんが仕事の用事でいない時に、私がコンビニにお菓子やジュースを買いに行って、その帰りに変質者に襲われて死にかけている。

・で、タイミングよく?死にそうになっているのでこれ幸い(本当にそう言いやがりました)と交渉に来たらしい。


 なんか、わたしって運が良いのか悪いのか……

 もうね、大いなる意思が働いてるとしか思えないタイミングで起ってるよね、今回の事件て。

 ついでに、連れて行かれる世界について簡単に教えてもらったのだけど


・その世界は全ての人々が加護を受けていて、その加護の力を用いて人々は数千年前から宇宙に進出している。

・現在いくつかの星間国家や多数の惑星国家が存在している。

・加護を受けた人々はその加護の力を使って宇宙に存在する謎の力をエネルギーに変えることができ、その力を使って宇宙船で恒星間飛行を可能としている。


 まぁ、結論としてはこの提案、受けるしかないよね。あの変質者の顔がこの世で最後に見た物とか嫌だし、たとえ死ぬにしてもその状況は嫌だしね。

 何より、このままだと死ぬしかないのに、向こうへ行けばリアル宇宙船の操縦が出来るのですよ!

 しかもその後の生活の保障までしてくれるとか、お願いさえ達成しちゃえばあとはニートしててもOKとかすごく好条件だよね!


 ただねぇ、どうせならチートみたいなのも欲しいかなぁと思うわけですよ、リアル中学二年生としては!

「そうですね。何か希望はありますか?」

 実は、私の足は生まれつき両方とも足首から下の感覚が無く、力も全く入らない。そのおかげで私は常に車いすの生活を強いられている。

 もっとも、とっくにそんな生活には慣れちゃったけどね。


 となると、願いは1つ!


 えっとね、私の足この状態じゃない?これって治せないかな?

「詳しい検査をしてみないと何とも言えませんが、たぶん無理でしょう」

 科学が進んでいる医療技術でも無理なの?

「あなたの足が動かせないのは生まれつきでなのでしょう?生まれて10年以上その状態で成長してしまって、すでに魂がその状態を正常とみなしていますので、かなり難しいと思います」


 はぁ、まぁ今までどーりって事だね……グスン

 それじゃ……そうだなぁ、向こうって食べ物はどうなの?ごはん美味しい?美味しいお菓子とかいっぱいある?


 例えば、シュークリームとかショートケーキとかシュークリームとかエクレアとかシュークリームとかっ!

「どうでしょう、まずくはないと思いますよ?文明はこちらよりもはるかに発達していますからね。ただ、味噌とか醤油は無かったと思いますし、好みというのもありますので何とも言えませんね。お菓子については、作ればいいのでは?」

 じゃぁ、好きな調味料やお菓子を出し放題のアイテムバッグみたいのがほしい!

「そうですね、個人消費レベルで、という条件は付きますが、何とかしましょうか」

 やったー、お菓子食べ放題だ!


「ほかにも、向こうでなるべく不自由しない様、いくつか生活面で配慮するようにしますね」

 まぁ、向こうでの生活がどうなるのか良く判らないし、その辺はよろしくお願いします。

「では、お願いを聞いていただける、という事でよろしいですね?」

 うん、わたしにどこまで出来るのか判らないけど、頑張ってみるよ。


「では早速あなたの体を転送しますね」

 あー、あのさ、もう戻ってこれないんだよね?

「基本的にはそうなりますね」

 最後にね、お友達とか、お世話になった榊さんに挨拶とか無理かな?

「お友達への挨拶は状況的に諦めてもらうしかないですね。榊については、こちらから送り込んだ人員なのでいずれ会えると思いますよ。こちらでの後処理などがあるのですぐにというのは無理ですけどね」

 そっか、仕方ないよね……


「では行きますね。怪我の治療が終わるまでしばらく寝ていてください」

 そういわれると同時に眠くなっていき、意識を無くすのだった。


 その後、その場には倒れた状態で放置されている車いすと、大量の血痕の上で両ひざをついた状態でナイフを振り降ろした状態の男性が残されたのだった。


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