14.こちらの食事も美味しかったですよ?
こちらに来てから二ヶ月経過しました。
「やっとおちびちゃん用のアクセサリーが出来たのよ?」
そう言って机の上にサークレットとネックレス、ブレスレットを取り出しました。
「え?」
わたしにアクセサリー?うれしー!
「こっちではみんな持っているのよ?だから、おちびちゃん用も遅くなったけど用意したのよ?」
どうやらこれらのアクセサリーはこちらの世界ではみんなが持っているもので、おでこや胸元にあるルースを保護する意味で着ける物だそうです。
なんでも、硬度が7以下の物はその辺の埃でも細かい傷がつくことがあるため、それを保護するためにつける物なのだとか。
そして、硬度7以上の人でもサークレットをつけて保護するというか、隠すのが一種のマナーになっているようです。ルースをむやみに見せびらかすのははしたないという風潮があるようですね。
胸元のルースに関しては、基本的にはお洋服で隠し、胸元の開いた服を着る場合はネックレスなどの装飾品などで隠すのがマナーなんだそうです。
「胸元のはね、おちびちゃんの場合人に知られない方が良いのね?なので、極力秘密にしてね?」
そしてわたしの場合、胸元のルースは秘密にした方が良いらしく、人前では常にネックレスを着ける様に言われました。
なんでも、おでこと胸元の両方にルースがあるのは珍しいそうで、これが知られると面倒なことが起こるかもしれないので、その面倒を避けるためなんだそうです。
ちなみに今回プレゼントされた物は特殊素材で作られているらしく、肌に張り付く感じで装着され、前かがみになっても体から浮いたり落ちたりしないんですよ!
一般的にも、どこにルースがあるのかをむやみに人に伝えることや、ルースを人に見せびらかすことは褒められたことではない様で、おでこにルースがあってもなくてもサークレット等の装飾品をつけるのがマナーなんだそうです。
日本で女性の方が外出する時にお化粧をするのと同じようなものですかね?ちょっとちがうか。
この最低限のマナー、過去にルースの大きさや種類により差別的な事が行われた時代があったのが背景になっているようです。
身体的特徴で人を差別するの、イクナイ!
ちびとかデブとかちっぱいとか、イクナイ!
ちなみに、装飾も何もない安価なサークレットは祝福を受けるときにタダでもらえるんだとか。人によってはそれに自分で彫刻を掘ったりもするそうです。
そして、ブレスレットは?と聞いた所
「ブレスレットはね、左の物には個人端末を内蔵していてね、右のには以前言っていたお菓子とか出せる機能をね、つけてみたのよ?」
どうやらサークレットとデザインを合わせた物で左右のブレスレットを作り、個人端末機能を内蔵するのが一般的なのだそうです。
「しかも素材としては貞操帯と同じものを使っているのね?だから着けていても負担がとても少ないのよ?」
どうやら右手の物に付いているのは、厳密にはアイテムボックスではなく、簡易転送機能が付いているだけなんだそうです。
そしてこの機能をつけるために二ヶ月かかってしまったとか……
ちなみに、簡易転送機能なので物を入れる事は出来ず、出来るのはリストにあるものをこちらに転送するだけだとか。
この機能、科学力だけでは無理で一部魔法的な何かを使っているといわれちょっとびっくりしたのですが、ごく一部の絶滅しかけている古い種族の人の特殊能力にそのようなものがあり、その能力を使って作成されたんだそうです。
ただし、作るにはかなり特殊な素材が必要でめったな事では作ることは出来ないらしく、さらに言うとほしいからといってお金を出せば買えるという様な物でもないそうです。
確かにチートとしてアイテムボックス的なものがほしいと言った気がしますが、そこまで特殊なものだったとは思わず、とても申し訳ない気持ちになりました。
あの時は異世界転移ヒャッハーとか、頭湧いた状態だったのが良く判りますね。
ちなみに、こちらの世界のごく一部の人達には、このように他の種族にはない特殊能力を持つ人がいるらしいのですが、どの種族の人がどのような能力を持っているのかは公表されていないそうです。
過去その能力を求めて、その種族の人達を奴隷にするための戦争とか色々あったらしいですよ?
ホント、命を助けてもらった上にこんなすごい物までもらっちゃって、これはいよいよ銀河を救うとか真剣にやらなきゃですよねぇ。
みなさんももし異世界転移とかする機会があっても、あまりわがままを言わないようにしてくださいね!
「一応ちゃんと機能するか試してみてね?」
そう言われたので、一覧に乗っていたシュークリームを取り出してみた所見事に出てきました!
二ヶ月ぶりのシュークリームです!思わず速攻でパッケージを開けかぶりついてしまいました。
「おいしぃ~~~」
もうね、顔がにっこにっこになっているのが分かっちゃいます!
その私の顔を見て興味がそそられたのか、三人ともものすごく興味津々なようだったので
「あ、みんなも食べる?」
といって、あと3つ出してみんなに配ったところ、お姉ちゃんは黙々と食べていました。
そして残り二人はと言うと、サリナさんは
「ん、んん?」
とうなった後に一気に食べ始め、全部食べ終わると
「な、なにこれ美味し~、おちびちゃんがシュークリーム大好きっていうのもわかるわ!」
そして残ったシルヴィアさんなのですが
「このほのかな甘みのある皮、その中に入っているトロリとしたクリーム、濃厚なミルクの味とくどすぎない甘味がって、皮と相まって絶妙なハーモニーを……」
(ちょっとちょっと、サリナさん、シルヴィアさんどうしちゃったの?)
(あー、実はあの子、ああ見えてお菓子系はちょっとうるさくてね?)
(そ、そうなんだ……)
(あ、食べるのもだけど、作るのもうるさいから、シルヴィアの作るお菓子はいつも美味しいでしょ?)
(あー、何時ものおやつ、シルヴィアさんが作ってくれてたんだー)
「おちびちゃん、今度これに挑戦してみる」
「あ、はい。よろしくお願いします」
そんな、シルヴィアさんの意外な一面を見れたひと時でした。
ちなみに、シュークリームを出すときに見覚えのある名前があったのでそれを選んで出したのですが、なんと日本のコンビニのパッケージそのままで出てきました。
その理由について聞いてみた所、何でも日本で購入したものを倉庫(時間がほぼ止まるものがあるらしいです)に入れておいて、それを簡易転送機能で手元に転送しているのだとか。
なにかちがう……思ってたのと何かが違うぅぅぅ
ちなみに、これらの買い出しは日本に残っている榊さんがやってくれているのだそうです。
あー、確かにチート欲しいって言った時に、個人消費レベルならって言われた気がするけど、こういう事だったのかぁ。
榊さん、頑張って猫味亭のシュークリーム、ゲットしてきてくださいねーーー
「そうそう、おちびちゃん?その中にお醤油とかお味噌とかも入ってるから、サリナに渡しておくと良いわよ?」
「あ、ほんとだー、サリナさん、これお願いします!ぜひ和食を!お味噌汁をっ!!」
そう言って私はメニューからお醤油、お味噌をはじめ、日本で使っていた調味料をいろいろ渡したのでした。
これで和食が食べられるっ!
こほん、食べ物の話はひとまず置いておいて。
次に左腕につけた腕輪ですが、こちらには個人端末機能が内蔵されているそうですが、一般的な個人端末と比べると性能が段違いだそうです。
どの位違うのかと言うと、通常の個人端末だと各家庭のネットワークや各都市のネットワークなどの身近なアクセスポイントに接続するらしいのですが、私のはセントラルネットワークという、銀河系ネットワークの大元に直接接続できちゃうらしいです。
銀河系ネットワークを簡単に説明すると、銀河系内の有人惑星のほぼ全てを網羅するネットワーク網が構成されているのですが、全く遅延のないシステム(量子通信システムとかなんとか)が構築されていて、そのメイン部分がセントラルネットワークだそうです。
そして、そのセントラルネットワークに対して、各国の中心的なネットワークが接続されて、そのネットワークにさらに各惑星のネットワークが接続されて……と言う感じで、この銀河系の有人惑星でほぼリアルタイムの通信ができるそうです。
遠い所だと10万光年位離れているのに、それだけの距離を遅延無しで通信できるってすごくないですか?
で、その大元のセントラルネットワークに直接繋げられる個人端末って、普通にみんな使っているのかどうか聞いたところ、各国の国家元首やかなり立場の偉い人位しかもっていないレベルの物だとかなんとか。
そんなすごい物を私が個人で持っちゃっていいんですかね?
「銀河を救うにはこの位の通信機を持ってた方が、いいと思うのよ?」
なるほど、そういう事なんですね!
ただ、セントラルネットワークに直接繋げられるという事に関しては内緒にするように言われました。
「もしその機能を悪意ある人に知られたら、おちびちゃんを殺してでも奪おうとする人がね、現れるかもしれないのね?だから、内緒よ?」
もっとも個人端末は個人認証を行えば登録者にしか使えないらしいですけどね。
「とりあえずいまのうちに個人認証しておくのが、いいと思うのよ?」
どうやらこの場で個人認証できちゃうそうです。
その個人認証も、ルースによって変換されたエネルギーを認識しているので、他人が成りすまして使う事は絶対に不可能なんだそうです。
謎科学すごい!
そしてこの個人端末ですが、個人情報を登録することによりネットワークへの接続認証やら個人の身分証明他、様々な認証を行え、お買い物をするときのお金の支払いも全部これ一つでできるそうです。
まさしく日本でのスマホの上位版ですね!
と言う訳で、わたしも個人情報を登録することに。
登録の方法を教えてもらい、セントラルシステムの個人情報登録画面に行き、登録ボタンを押すだけの簡単な作業でした。
なんでも、あらかじめわたしの各種情報、戸籍とか生まれとかその辺のいろいろな事をセントラルシステムに登録申請してあって、あとはこの端末から登録するだけだったそうです。
「これでおちびちゃんも、正式にこちらの住民として登録されたわね、おめでとう?」
どうやら今までは個人情報を登録していなかったため、書類上と言うかシステム上は難民扱いだったそうです。
「あとね、おちびちゃんの口座も作ってあるのよ?当面のお小遣いとして100万入れておいたから、ほしいものがあったら遠慮なく使ってね?」
なんと、すでに私の口座を作って当面のお小遣いまで入れてくれていました!
しかも、最初は100万円かー多いなー、とか思っていたのですが、円ではなくクレジットでした。当然ですよね、こちらの通貨は円ではないですからね。
そして100万クレジットですが、それがどの位の金額かと言うと日本とは物価が違うので一概には言えませんが、食事やらなにやらから換算すると、日本円にして1クレジット約100円、100万クレジットで約1億円になるみたいです。
この金額が当面のお小遣いって何?
「お小遣いはね、たりなくなったら、自動で追加されるのよ?」
住む所も、ごはんもお洋服も生活費の全ての面倒を見てもらった上でお小遣いまでもらって、その金額が1億円とかちょっと理解が追い付かないです。
しかも足りなくなったら自動で追加されるとか……そんなに使うつもりは全くないですし、そもそも足りなくなるイメージがわかないんですけどー!
「えっと、サリナさんやシルヴィアさんには、このお小遣いからお給料を払えばいいのかな?」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
なんと、三人から「何言ってるのこの子?」って顔をされちゃいました!解せぬ
どうやら専属というのは二人側の都合であり、趣味であり、生きがいとしてなので、お給料をもらうことはあり得ないんだとか。
それがお二人がなってくれた専属と言う物らしく、これはこちらの銀河では常識的な事で、専属になるにはそれ専門の機関で資格を取っていないと成れないんだそうです。
無給で尽くす事の資格を承認する機関て一体……ちょっと日本の感覚では理解が追い付きません。
ちなみにこの専属というもの、どこかの貴族家などでメイドさんとかが多くて「〇〇様専属の~」とかの専属とは全く別物らしいです。
なんでもお二人の専属というのは、正式には『銀河最高評議会公認専属お世話係』というすごい名前があるそうで、通称として『エクステイカー』または、ただ単に『専属』と言うそうで、名前も、[名前(・種族名)・元の苗字・ヤルティ・尽くす相手の苗字]となり、公的に尽くす相手の家族(一種の配偶者?)とみなされるようです。
もっとも、対外的に自己紹介する時は通常は名前だけ、または名前+元の苗字を名乗るそうですが。
お二人が私の事を家族と言ってくれているのはこれがあったからなんですね。今更ながらにびっくりです!
ちなみに、「エクステイカー」であることを知っていて一般的に言われている「専属」と一緒にするのは侮辱に当たるので気を付けてと注意されました。
それにしても、何で銀河最高評議会とかいうすごそうな組織が専属お世話係を公認するんですかねぇ。ちょっと理解できないですね!
さて、そんなこんなで私の個人情報のセントラルシステムへの登録も済んだ訳ですが、これでわたしも無事ネットワークシステムを使うことが出来るようになったわけですよ!
早速アダルティーなサイトを!
と思ったのですが、当然成人するまでは18禁、こっちだと15禁になるのかな?のサイトは年齢認証ではじかれて見れないようになっているそうです。(ちくせう)
まぁ、冗談は置いておいて、こちらの世界のネットワークゲームをする権利をわたしは手に入れたのです!
次話は21時更新予定