11.この年になってお手洗いの訓練をされましたよ?
治療から目が覚めて早一ヶ月が過ぎましたが、勉強漬けの毎日を送っています
え?ニートするんじゃなかったのかって?
やだな~、立派なニートになるにしても、言葉が分からなかったり最低限の知識が無いと楽しめないじゃないですかー、やだー
とはいえ、実はこちらには睡眠学習装置と言う物があるので地球にいた頃とは違ってとても楽に楽しく勉強できています。
暗記に時間を使わなくていいのって楽でいいね!
ただ、この睡眠学習装置は、原理としては寝ている間に読み聞かせをして覚えさせるといったイメージが近い様で、一度にそれほど多くの内容を覚えられるわけではないようです。
それでもそんな便利な機械があるこちらの世界では学校はほとんど意味をなさないのでは?と思うのですが、どうやらこちらの人たちは、この装置では内容の半分も覚えられないのだそうです。
それでも全部自力で暗記するよりは楽ですよね?
その点、わたしは大半の内容を覚えられているのですごいと言われました。
こちらの人達は睡眠学習装置がある分、自力で暗記するという能力が低くなっているのかもしれませんね。もしくは、わたしがたまたまこの装置と相性がいいとかかな?
そして、私の一日の大まかなスケジュールなのですが
夜寝る時に睡眠学習→授業→お昼寝(睡眠学習付き)→授業→自由時間→お風呂(桃源郷)→就寝
と言う感じです。あ、もちろんご飯は朝昼晩の3食しっかり食べてますし、授業と言っても途中でそれなりに休憩をとっていますよ?
そして授業内容についてですが、年齢的に初等科の最終学年の年齢のため、とりあえず初等科の内容を一通り習う事になりました。
科目としては、国語、数学、理科、社会と、ルースについて
まずは国語は銀河標準語、こちらの標準語なので気合を入れて勉強しています!
どうしてもね、頭の中で日本語に翻訳しちゃうので苦労してます。
次に数学、日本で習った事とほぼ一緒でした!
次に理科(物理、科学、化学、生物)ですが、物理法則が少し違いました。
顕著なのが重量加速度、惑星の重力によって違うのでね、こちらでは重力加速度は共通単位として10.0に設定されてました。
化学や科学は…新規にと言った方が良いのかな?ほとんどわかりませんでした。
生物については、生物の種類がすごく多かったです。
ただ、地球にいた生命体は大体はこちらでも代表的生命体カテゴリーに入ってました。
ちなみに、両生類は進化過程の途中の生命体ということで代表的生命体カテゴリーからは外れていました。
次に社会ですが、これは分類?がちょっとややこしくて、
・初等科学校のある、現在授業を行っている惑星での地理、歴史。ローカルな範囲ですね
・所属する国としての地理、歴史。一般的なグローバルな範囲ですね
・銀河全体としての地理、歴史。全てにおいてグローバルな範囲です
と区分分けされています。
これらを日本を例にとって説明すると
・初等科のある惑星でのというのは、学校に通っている地域(都道府県)の地理歴史
・所属する国としてのというのは、日本の地理歴史
・銀河全体としてのというのは、世界の地理歴史
と言った感じなので、初等科で習う内容は同じ国の人でも住んでいる惑星によって違うそうです。
もちろん、国や銀河の内容に関しては国内すべてで共通の内容です。
私が習うのは、惑星個別の内容は日本で習った内容でOKだそうなので、こちらはスルー
国や銀河について詳しく中等科で習うんだそうで、これもほぼスルーでした。
そして、ルースについて!これ、重要科目らしいんですよね。
ルースと言うのはこちらの世界の人々の生活に無くてはならない物の上、加護を受けた人が全員持っている物、そして扱い方を間違えると大変なことになりかねない重要なものらしいので、気合を入れて勉強しています。
実はこちらで目覚めたあの日、お手洗いで鏡を見た時に初めて気が付いたのですが、私のおでこと胸元に宝石のような物が付いていました。
何言ってるか判らないと思いますが、私も最初訳が分かりませんでした
すわ、治療と同時に改造手術された!?と思いきや、これが加護を受けるという事でした。
この宝石のような物、これをルースと言うのですが、これがどういう物なのかと言うと、こちらの人々は9歳の誕生日を迎えた時に加護を受けるのですが、この時に初めてルースと呼ばれる宝石のような物がおでこ、または胸元に作られ始めるんだそうです。
ルースは、最初は小さくて柔らかい爪のようなものが出来、それがひと月ほどかけて徐々に大きく成長しつつ硬くなっていくそうです。
そしてこのルースと言う物は、宇宙に満ちている不思議エネルギーを体に取り込み、その人が活動するのに最も適していると思われる状態を維持しようと体に働きかけるのだそうで、結果として年を取るのがすごく遅くなるらしいのです。
やったね、いつまでも若いままだよ!
ちなみにこれ、ひっかいても簡単に取れるような代物ではなく、おでこや胸の骨から生えているかの如くがっちりとついていますので、触ってもぐらついたりしません。
何でも皮膚や骨の一部が変化して出来ているそうで、歯や角と似たような物なのかな?
そして、これが出来る場所についてですが、通常はおでこか胸元のどちらかで、ごくまれに両方に出来る人もいるそうで、わたしも両方に出来ていました。
これがお姉ちゃんが言っていた素晴らしい素質というものなのでしょうか?
ルースは、人によって大きさも硬さも違うようで、小さい人だと直径数ミリ、大きい人だと直径3cmほどにもなるんだそうですが、やわいものほど大きくなる傾向があり、硬くて大きい物を持つ人はすごく少ないんだそうです。
硬さについてはモース硬度と言う物に準拠しているそうで、最も硬い物はダイヤモンドと同じ硬さの硬度10、最もやわい物は硬度1で、このやわい物は爪で簡単に傷を付けれてしまうんだそうです。
なので、最高値が硬度10のダイヤモンド相当と言う事になるのですが、私のルースもこれでした!
形も様々で、丸い物、楕円形の物、四角い物、涙滴型など、まさしく宝石のカットにあるようなものはほぼすべてあるそうです。
見た目的には、基本的に無色透明なのだそうですが、一部の物は色付きの場合もあるそうです。
人の体に自然と出来るものなのに、見た目はどう見ても宝石のようになるなんて、人体の神秘ってすごいですね!
ちなみにこのルース、お金目的で狙われたりしないよね?と質問したところ、ルース自体は爪や髪の毛などと同じような扱いらしく、それ自体には特に価値がないそうです。
あくまで価値があるのは、体についている事によってエネルギー変換できるからだそうで、もし人から抉り出したりしても数時間もすれば変質して見た目は濁り、硬さも爪程度になるため、人の体から取り外したルースには何の価値もないそうです。(一部の特殊な趣味の人には需要はあるのかもしれませんが)
しょせんルースはルース、宝石ではないという事ですね!
そしてこちらの世界では、このルースによって宇宙に満ちている不思議エネルギーを変換し、それを人造宝石のような物に蓄え、そのエネルギーでいろんな機械を動かすんだそうです。
なので、化石燃料はもとより、風力、水力などにより電気を起こしてと言うエネルギーはほぼ使用されていないそうです。
もちろん機械によっては人が直接エネルギーを与えて使う事も出来るそうですよ?宇宙船なんかはこっちの方法が主流らしいです。
この人造宝石はある意味電池のようなもので、すべての国で規格が統一されており、どこの国に行っても使えるんだそうです。
しかも、携帯端末から宇宙船までこれで動いちゃうらしいんですよ!
この変換できるエネルギー、ルースが大きければ大きいほど、硬ければ硬いほど大量のエネルギーが変換できるそうです。
そして、ルースによるエネルギー変換効率の単位はJとされていて、ルースの硬度によって
硬度10 1600J
硬度9 400J
硬度8 200J
硬度7 100J
硬度6 72J
硬度5 48J
硬度4 21J
硬度3 9J
硬度2 3J
硬度1 1J
となっているそうです。
もっとも、硬度3以下の人は滅多にいないそうですが。
また、各ルースには容量というものがあり単位はCtで、ルースの大きさというか、重さで変わるそうなのですが、体から外して測れる訳では無いので専用の計測器を使って容量を計るのだそうです。
そして、最大エネルギー出力の理論値は次の式で求められるそうです
最大エネルギー出力 = J(エネルギー変換効率) x Ct(容量)
なぜ理論値なのかと言うと、このエネルギー出力を最大限に引き出すには慣れが必要で、慣れている人ほど理論値に近いエネルギーを出せるそうです。
元手ただのとてもクリーンなエネルギーですよねぇ、もし地球でこれが使えればエネルギー問題も二酸化炭素問題も一気に解決しますね!
まぁ、そんな不思議エネルギーを変換できるルースですが、私の場合普通の人と比べてその変換できるエネルギー量が膨大な量らしく、制御をきちんと習わないと一気にエネルギーを送り込んだときに機械を壊しちゃう可能性があるとのことで、その制御についても日々特訓中です。
ちなみに、ルースについての授業で最初にやったことが、人造宝石に変換したエネルギーを注入する(乾電池に充電するようなものらしい)という事をやったのですが、まずは思いっきりやってみなさいと言われたので思いっきりやったところ人造宝石が爆発しました!
やったね!異世界転生小説なんかでよくある、冒険者ギルドで魔力判定したときに水晶玉を壊すあれ、あれと同じようなことが出来たよ!
………… ないわー、ちょっと体の中にあるポカポカする何かをうりゃって送っただけで人造宝石がいきなり眩しく発光して爆発するとかないわー
普通の人だと、その人造宝石の許容量の上限近くなると送り出すのに抵抗を感じ始めて、上限に達する前に送り込めなくなるそうです。
うん、これはまじめに特訓してきちんと制御できるようにしないと後々大変なことになると思いました。もし宇宙船を操縦している時に制御をミスしてエンジンとかが爆発しちゃったら笑えませんからね!
この制御については主にお姉ちゃんが、たまにサリナさんやシルヴィアさんが付きっきりで手取り足取り教えてくれています。
初等科で習う授業内容についてはこんな感じですかね?
なので、授業については日本での下積みもあるせいか、それほど大変ではない感じです。
これらの勉強は中等科に入学するまでに終わらせれば良いそうで、今の私にとって重要なのは銀河標準語とルースの制御についてですね。
もっとも、中等科入学までまだ9か月ほどあるのでかなり余裕があると思います。
次話は17時更新予定