1.いきなりエンディング!?(改行修正済)
初投稿、処女作です、よろしくお願いいたします。
お姉ちゃんとの出会いから数年、わたしも立派に成人した
成人した……成人したのに身長も胸も一向に成長していない…解せぬ
私は今自分の船に乗ってワープ中だ。
あの後様々な特訓をし、いよいよモース銀河維持計画を実行に移すことになった。
参加メンバーはわたし、サリナさん、シルビアさんの他に、いくつかの国からそれぞれ一人ずつ参加者が出た。
正直私たち三人だけで良いのだけれど、各国が三人だけに任せられないと言い出し、複数の国から計8名が選出された。
ただし、この計画を実行するのは結局私たち三人だけ、残りの8人は見学だ。
「まもなく目標座標へワープアウト予定」
「了解、各員ワープアウトに備えて耐衝撃体勢の準備」
「耐衝撃体勢ったって、どうせ衝撃なんかこねーだろ」
「そうよねー、この船無茶苦茶性能いいし、終わったら私ほしいわー」
「俺も欲しいんだ、お前にはやらん」
「誰がもらうかは終わった後の話し合い次第だ、勝手に決めるな」
いえ、この船私のなんですけど?
「あなた達、どうしてもっていうから連れてきたのよ?指示に従いなさい!」
「そんなこと言ってもなー」
「私はアプロー帝国皇帝の第二王女よ?何を偉そうなことを言ってるのかしら?」
「この場では国の立場は関係ない、私たち三人の指示に従うよう命令が出されているはず」
「そんな指示、建前に決まっているでしょう?」
「そうだぞ、俺様だってウリュク共和国筆頭書記官の第二子だ、そこいらの貴族よりはるかに偉いんだぞ?」
あー、これだから連れてくるの嫌だったんだよねぇ
「ワープアウト10秒前」
「いい、余計な事は一切しないでよ?」
「はいはい、黙って見てますよー」
んー、なんかお尻がムズムズ……ちょーっと嫌なよかーん
「バリア展開、フルパワー!」
「ちょ、おちびちゃん、ワープアウト前にバリア展開っていきなり!?」
「馬鹿お前、ワープアウト前にバリアなんか張ったらメイン機関の出力が足りなくなってワープ空間から出られなくなるぞ!?」
「そうよそうよ、何やってるのよ!あなた本当にライセンス持ってるの!?」
「5…4…」
「うるさい、だまって!」
「黙ってられるか!作戦開始前に失敗確定じゃないか!」
「3…」
「あぁ、このままワープ空間をさまよう事になるなんて……こんな作戦参加するんじゃなかった。お父様がどうしても行けっていうから…グスン」
「まって、まだ通常のワープ空間よ?」
「2…」
「本当だ、どうなってるんだ?」
「1…」
「0」
「ワープアウト」
「ワープアウト確認!シルヴィア即座に座標計算お願い」
「なん…だと…ワープ中にバリアを張ったのにそのまま通常空間に出られる船だと!?」
「ますますもってこの船は我が国に持ち帰らないとですね」
「貴様の国には渡さん、この船が俺様にこそふさわしい」
「座標確認終了、目標ポイントからX-0.05、Y+0.02、Z+0.08のズレ」
「ほぼ目標座標ね、0.1天文単位もズレてないわ」
「このまま作戦実行ポイントまでハイパードライブで移動します」
「ちょっと、なにこれ……」
「どうしたの?」
「バリアの外の宇宙線量が……」
「うわ、この宇宙線量だと中性子星直近にいるのと変わらないわよ?バリア張って無かったらそれだけでお陀仏だったわ」
「おちびちゃん、もしかしてこれを見越して?」
「なーんかね、いやな予感がしたからね。悪寒的中って所かな?」
お姉ちゃんが前に宇宙空間では第六感を大事にしろって言ってたの、護って正解だね!
「またおちびちゃんの第六感で命拾いしたわね」
「さすがおちびちゃんの第六感はすごい」
「なんなんだこのちび、これがあるから今回の作戦に抜擢されたってのか?」
「まぁ、少しは役に立つようね?」
そんなこんなで微妙にディスられつつ船は作戦実行ポイントまで移動していた
「目標ポイントまであと3分」
「バリアが弱ってる!?おちびちゃんどうしたの?」
「クッ、どうしたもこうしたも、何かが邪魔してるっぽい?」
そんな知美の額には玉のような汗が浮かんでいた
「至急機器チェック、バリア発生回路、ジェネレーター、その他特に異常なし」
「はっ、まさか」
何かに気が付いたようにサリナは艦橋内を見渡した
「まさか、だれか個人バリア張ってないわよね!?」
「ヒッ」
そう言われた瞬間、見学人である某連合国の王女様が悲鳴に近い声をあげた
「あなた、今すぐそれを解除しなさい!」
「だ、だってこんな宇宙線の中にいるのにバリアを張らないと被爆しちゃう……」
その王女様は顔を真っ青にしつつもバリアを解こうというそぶりは見せなかった
「何もするなって言われてるでしょ!そのバリアのせいでますます危険になっているのが分からないの?船に張ってるバリアがあなたのバリアと干渉して出力が落ちてるの、今すぐ止めなさい!」
「で、でも……」
そんな時、見学人の一人である某王国の王子がいきなり席から立ち上がったかと思うとその少女の元へ行き
「こいつっ、今すぐヤメロ!」
ガスッ
「ぐっ……」
ドサリ
殴って気絶させた。王女様の顔を殴って気絶させるとか、後で国際問題にならないのかな?
もっとも、作戦実行中にバリアを張った段階で王女様の方が問題になりそうだけどね!
「みんな、再度言います。余計な事は一切しないで。余計な事をすればそれだけ作戦成功率が落ちます!結果、ここにいる全員の命だけでなく、モース銀河その物の滅亡に繋がります!」
「「「「わ、わかった」」」」
コクコク
「その子は船室に放り込んでおいて……いや、そのままシートに縛り付けといた方が良いか、また目を覚ましてバリア張られても困るし」
そうしてしばらくの間、船の中を沈黙が支配した……
「もうすぐ作戦ポイント到着」
「観測機器作動、目標の詳細な位置を確認してください」
「目標の位置は……恒星アゲドン赤道上に確認」
「事前調査の通りって事ね」
「作戦ポイントに変更なしっと」
そうして作戦開始ポイントへ到着すると艦長である知美から
「作戦ポイント到着、モース銀河維持計画、これより最終段階を開始します」
とモース銀河維持計画の最終段階開始が宣言された
「「最終段階開始了解」」
「バリア伸長展開開始」
そうすると、通常は楕円形のバリアが船から見て正面部分の一部のみ、恒星アゲドンに向かって細長く伸びて行った
「バリア伸長展開開始確認……30%…50%…70%…」
「内部バリア展開!」
「なんだって!バリアの二重展開だと!?」
「そんなこと出来るわけが…」
「何を言っているのか判りませんね?そんなことをしたら最初のバリアが解除されるでしょう?」
「内部バリア展開確認」
「80%…85%…」
「なん…だと…バリアを二重に展開出来ているだと?」
「次元破壊砲展開準備」
「次元破壊砲展開準備了解、ロック解除します」
「90%…」
「次元破壊砲、一番砲身装着」
「了解、次元破壊砲、一番砲身装着します……」
ガゴン
砲身が装着されたのだろう、船体に微かな振動が来た
「砲身装着完了」
「次元破壊砲エネルギー注入開始」
「な、なんだこのエネルギーは…」
「う、うそ、何なのこの出力、こんな出力を個人で出せる物なの!?」
「93%…」
「次元破壊砲エネルギー50%…60%…」
「こ、こんな高出力を個人で出しているなんて……まさか、死ぬ気か!?」
いやいや、死ぬ気はこれっぽっちも無いですし?それより気が散るんで黙ってもらえませんかね?
「次元破壊砲のトリガーをエネルギーチャージに同期、100%になると同時にトリガーをONにし即時発射」
「了解、次元破壊砲のトリガーをエネルギーチャージに同期させます」
「なんだって!?そんなことをしてタイミングを取れるのか?」
「ちょっと、発射タイミングに合わせてバリアーを切り替えるって話じゃなかったの?それじゃいつ発射されるか分からないじゃないの!?」
「96%…」
「70%…80%…」
「ターゲットロックオン、目標恒星アゲドン赤道上の黒点」
「98%…ターゲットロックオン確認」
「90%…」
「お、おい、本当に大丈夫なのかこれ……」
「いやぁ、やっぱり来るんじゃなかった…死にたくないよぉ」
むぅ、やっぱり連れて来るんじゃなかった……集中力がガガガガ
「お、俺様はいまこの宇宙の歴史の偉大なる一ページの立会人になっているんだ、しっかり見届けなければ……見届けなければ……」
うわぁ、ちょっとぶつぶつ言ってるのが恐いです
「バリア伸長展開100%達成確認!」
もうすぐ次元破壊砲のトリガーも落ちる…
「98%…100%」
カチリッ
《《《 ドドドドギギギギョョョョーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンン………… 》》》
いまっ、発射と同時に内部バリアをフル展開に切り替える!!
「内部バリアフル展開っ!!」
「次元破壊砲内部バリア無事通過、同時に外部バリア消失確認!!」
「次元破壊砲、目標に向かって邁進中…目標到達予定まであと30秒」
「バリア内宇宙線濃度チェック……既定値以下を確認」
「す、すごい、あのシビアなタイミングを見事に……」
ふぃ~、成功してよかったぁ
「や、やったのか……!?」
うひっ、それ失敗フラグだから!言っちゃらめぇ~~~、共和国筆頭書記官のご子息様が見事やらかしてくれました!
「あ、ばかっ」
双王国から参加のお姫様が突っ込んだけど、もう遅いよねぇ
「な、なんだと!なぜバカと言われなければならん!」
「それフラグ、絶対フラグ立てるなって出発前に言われてたでしょ!」
「「あ…」」
「す、すまん…」
「目標黒点から何か出ます!」
「「「ナニ!?」」」
「何だろうねぇ?」
「お、おちびちゃん……」
ちょっと気が抜けた顔でサリナさんがこっちを見ている…見ている…わたし悪くないもんっ!
「未確認生命体、目標黒点から浮上、こちらに向かっています」
「このままだと次元破壊砲は黒点まで到達せずに浮上した未確認生命体に命中予定」
「あっちゃー、まずいかなーこれ?」
「次元破壊砲未確認生命体に命中……」
「うわ、あの位置で当たっちゃったかー、これじゃ黒点までは消せないわよ?」
当たってしまったものは仕方ない、この後どうするかを考えなきゃ
「精密観測お願い!」
「磁場が荒れすぎている、少し待って」
「あ、あんたがフラグ立てるから!」
「そ、そんなこと言ったって…すまん」
……
「観測確認終了、浮上した未確認生命体は消滅」
「「「「やったー!!」」」」
いやいや、それ消すのも大事だけど、黒点残ってるのはダメでしょー
「ただし、黒点は健在。さらには黒点が移動を開始した」
トカゲのしっぽ切り、なんだろうなぁ
「「「「な、なんだってーーー」」」」
「さらに電磁波量上昇中」
「まずいわね、当面の危機は去ったかもだけど、このままだとまたいずれ同じことが起こりかねないわよ?」
だよねぇ、しかも移動中って完全に黒だよね?黒点だけに!
「ちょ、ちょっと、どうするのよーーー」
だからこの人達連れてくるの嫌だって言ったのにぃ~
「シルヴィアさん、出来るかどうかわからないけど黒点の移動進路計算お願い」
「出来るだけやってみる、少し時間頂戴」
いつもすまないねぇ
「いい、あなたたち、この後は許可があるまで一切の行動及び発言を禁止します!もし命令を無視した場合、結果がどうあれ即射殺します!」
「「「「「は、はい」」」」」」
今度こそ大人しくなってくれるかな?
「計算結果出た、目標は恒星アゲドンの北極点に向かっていると思われる」
「うあー、上かぁ。どうしよっか」
「移動してやっちゃうしかないんだけど、恒星アゲドンへの投影面積を増やすとこの宇宙線量はさすがにバリアを張っててもまずいかも……」
「うぇぇぇ、という事は正面を向けたまま極点まで移動?上だけに!」
「それが一番いいんだけど、おちびちゃん出来る?」
「んゅぅ~、この場合、出来るかどうかじゃなくて、やるしかないよねぇ」
「そうなる。帰ったらいちごシューいっぱい作る」
(お、おい、いちごシューってもしかして例の?)
(じゃないかな?あの笑顔のもとになったやつでしょ?)
(ちょ、わたしも食べたーい)
「終わったら美味しいご飯いっぱい作ってあげるから、お願いね」
(ねぇねぇ、食べ物でつられてるように見えるの、わたしだけかな?)
(いや、俺にもそう見える)
(むしろそれ以外に見えないんですけど?かなりの食いしん坊?)
「むぅ~、報酬も約束されたし、作戦続行という事で、頑張りますかー」
「ハッ、あれ?」
そこにはベッドの中でファセットに抱き着かれている知美の姿が……
「ベッドの中、だよね?んー、今何かやってた気が……」
「んー、おちびしゃんおあよう」
ん、珍しくお姉ちゃんも寝ぼけてるなぁ
「お姉ちゃんおはよー」
「ん?どうしたのかな?」
あぁ、その寝起きでぽや~っとした表情、たまりませんわー
「んー、いまなんか、宇宙船の中で大事なことをやってたような?」
「ふふふ、何か夢でも見たのかしら?ここはいつものベッドよ?」
ちゅんちゅん……ちゅんちゅんちゅん……
「んぅ~、何時もの雀さんの声も聞こえるし、いつもの朝チュンだねぇ」
「うふふ、そうね、朝チュンね。それで、どんな夢だったのかしら?」
「んっとねー、宇宙船に乗ってた、気がする?」
「あらあら、ゲームのやりすぎなのかしら?」
「んー、ほかにも数人いた気もするんだけど、よく覚えてないー」
「そっか、まぁ覚えてないなら、大したことないと思うのよ?」
「それもそっか」
「もう起きる?もう少しごろごろする?」
「んー、ごろごろするぅ~」
そう言ってファセットの胸にまた顔をうずめる知美であった。
このお話はエイプリール企画に書いたもので当初消す予定でしたが、もったいないかなと思い一話目として入れてみました。
あくまでも夢!夢のお話なんです!
この物語の結末がこうなるかは……わかりません。
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