第八話 お見合いは大変です 後編
あれから軽く会話をした。十七歳で転生した私が七歳の姿をしながら七歳の王子を相手にしながら会話。7歳児に話を合わせるのは大変だ。疲れる。
私は三十分ほどで話を( 無理矢理 )切り上げた。
私とエドワルド王子はピアノが置いてある部屋に行った。実際には私が音楽の話を出したからだ。
王子は音楽の話が出て嬉しそうだった。
行ってみたら案外普通の部屋にピアノが置いてあるだけの部屋だった。防音室ではなかった。
エドワルド王子はバイオリンをやっていると言ってバイオリンを披露してくれるようだ。この際、女の子は聴くか一緒に楽器を演奏するかだ。
令嬢はみんなピアノやバイオリンか歌を歌う事をやるのだろうけど残念。私はピアノは弾けないし、バイオリンだってできない。歌なんて歌いたくない。歌っても日本の合唱曲、もしくはボカロやアニソンだ。
だが王子には通じない。出来るのはトランペットだけ。
そう考えていたら、王子の使いの人が椅子を出してくれた。「聴け」って事かな?私は椅子を出してくれた人に一言御礼を言って椅子に座った。
エドワルド王子は何も言わずに楽器を構えた。
王子と侯爵令嬢がいる部屋に綺麗なバイオリンの音が響いた。七歳らしい音色だけど。
エドワルド王子のバイオリンの腕はどうだか私にはあまりわからなかった。だってバイオリンは専門じゃないから。
エドワルド王子から
「 一緒にどう?」
って言われたけど…と思っていたらいつのまにか後ろにトランペットが置いてあった。自分の楽器ではなく、おそらくここにある楽器なのだろう。
「 ええ。喜んで。」
断るわけにはいかない。
そう言って私は楽器と手に取り、音出しをしてチューニングをした。この楽器は私に合わないみたいだ。
今から私がやるのは即興演奏だ。
と、言うのは嘘。簡単な曲を何曲かやる。
とりあえず、きらきら星でいいかな。
そして二人は楽器を構えて音楽を奏でた。
リズムも音もバラバラだが何故か綺麗な音楽に聴こえた。気のせいなのだろう。
でもこの出来事が王子に気に入られるとは私は夢にも思わなかったし、嫌われようと演奏が終了した時に、
「 未熟で子供の音色ですわね。私の方が上なのでは?」
と言ったからだ。有り得ない。喧嘩売ったもん。婚約話よ、消えて。
でも、私がエドワルド王子の婚約者になる運命は変えられなかった。私は王子の婚約者になってしまい、王妃教育をいずれ受ける事となる。受け入れなくてはならない運命なのだろう。
王子とヒロインが恋してくれれば、私は婚約破棄される。それを望むべきだろう。それしか道がないのかもしれないのだから。
だが、この出来事でわかったことは、お見合いは大変だということだ。二度としたくない。あ、決まったから無いか。