第二十五話 ジェシカ先輩と私たちの秘密
お久しぶりです!
私はまた、ジェシカ先輩のところへ遊びに行った。今回は天音も一緒。
「いらっしゃい。シャロン様、アリスさん。お待ちしてたわ。さあ、中へ。美味しい紅茶をどうぞ。」
「失礼いたします。ジェシカ先輩。」
「失礼いたします。ファルメル様。」
やっぱり何度見てもジェシカ先輩の住んでいる寮はきれい。
そしてこないだ案内された客間に連れてこられ、また紅茶を頂いた。
「美味しい…。とても美味しいわ!」
「お褒めの言葉、光栄です。」
紅茶を入れてくれたイケメンのライトさん。
そしてジェシカ先輩は相変わらず美しい。紅茶を飲んでいる姿も優雅。
「シャロンさん。学園には慣れたかしら?」
「はい。」
「この学園には沢山の人がいるわ。交流するのもいいが、一人でいたっておかしくはない。……貴女はクイーンになる気はない?」
ジェシカ先輩が言った。先輩の後継?ってことかしら?
「え?クイーンは最高学年しかなれないものでは?
」
「いいえ。一年生でもクイーンになる権利はあります。クイーンになるには、大会で優勝するか、前クイーンから推薦を受けてなるかの二択があるの。」
てっきり大会で優勝するしかないのだと思っていた。
「そんな制度が…。なら、誰でもなれるってことですよね。」
「ええ。もちろん女性ではなく男性もこの称号をもらうことができるわ。」
「え!?男性も!?」
男性のクイーン…。想像しちゃダメな気がする。
「ええ。ここ近年は女性しかなっていなかったから、みんな女性じゃないとダメって思っているみたいなの。…私は、この制度をなくしたい。」
先輩は持っていた紅茶を置いた。
クイーンは称号だけのじゃないってこと?
「クイーンの役目は、全ての行事や会議の管理、ルールを決めることができるし、金の管理などの書類も見る。そしてマナーや姿勢など、クイーンとして生徒の先頭に立つ。これがクイーン。」
「書類…まさか!理事長が金を不正に使ってるってことじゃ!」
天音が言った。
「ええそうよ。」
「それじゃ犯罪じゃないですか!」
天音が椅子から立ち上がった。天音は警察官だからこういうのは見逃せないのかな。
「アリス、落ち着いて…。」
「そう。アリスさんの言う通りよ。だから私はこの制度を消し、新しいのを作りたい。」
ん?なら作ればいいのではと思った。
「そうはいかないの。変えるには理事長の許可がいる。クイーンは理事長も守る盾でもあるの。私は、それが我慢できない。」
先輩は悔しそうに俯いた。
「先輩…。」
そしたら、隣にいるアリスが立ち上がった。
「私、ファルメル様に協力します。」
私も天音と同じ気持ち!私も先輩の力になりたい。
「うん。私も、協力します。」
「貴女達…理事長に知られたら退学よ?それでもいいの?」
先輩は私たちのことを心配して言っている。でも、
「「構いません!」」
私と天音は同時に言った。悪事を見逃し、こんな綺麗な人を盾にするなんて許せない!
それを聞いた途端、先輩は優しく微笑んだ。
「ありがとう。」
ジェシカ先輩と私たちの間に秘密ができた。守ろう、そして悪は許せない。自分の身を守るのも大切だけど、見逃せない。
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