第二十三話 みっともない
テストが終わって何もないかと思ったが、そんなことはなかった。
ヒロインのエミリアがどうやら上級生や私から嫌がらせを受けているみたいだ。男爵令嬢なのに特別扱いをされていて、王族に優遇されてる。とのこと。
ちょっと待った。
私、いじめた覚えない。それにいじめなんてしない。
でも説明してもわかってくれなさそう。
人は噂などをたとえ嘘だとしても真実と思ってしまう事がある。だから解らせるのは難しい。そもそも、このような人達に話をしても絶対に聴かないと思う。聴く耳持とうとしないし。
そんな中、エミリアが数名の女子生徒に詰め寄られているところを見つけた。
一人の女性を多数の人で。
みっともない。
私はそう思った。
こういう人達は影でも言う。
私は昔から理解出来なかった。影で悪口を言う人達を。わざわざ影で言ったって、その人は何も変わらないのに。
私はその人達のところへ歩いていた。なんだか見過ごせない。ただそう思った。
「庶民のくせに!」
「浮かれてんじゃ無いわよ!」
「身分をわきまえろ!」
次々とエミリアを囲っている女性達は言った。
エミリアは負けないと言わんばかりの顔で耐えていた。
「みっともない。自分が何しているのか解ってんの?」
私は女性達の後ろでわざと声を大きくして言った。
「シャ、シャロン様!ほら、シャロン様もおしゃっているわ!」
この人達は何を言っているのだろうか。
「私、エミリアに対して言ったわけじゃ無いのだけど?」
「え!?」
「みっともないのは貴方達よ。恥ずかしいと思わないの?そうやって数人で一人を追い詰めるなんて。」
私は悪役令嬢っぽく言った。似合っているかな。うまくできてるかな。
「シャ、シャロン様だって…!」
「私、貴女達がやるような事、今までしたことないわ。」
「シャロン様だって、こんな庶民、嫌だとは思いませんか?」
怯えながら、私の目の前にいる女の子達は聞いてきた。
私がこんな事するわけない。天音が許さないもの。
「別に。いろんな人がいていいと思うわ。」
「なっ!!」
「こんなことはもう辞めなさい。淑女として、人間として、良い行動ではありません。お家の恥にもなりましてよ?」
「!!し、失礼しました!!」
そう言って彼女達は去った。
こんなこと言うの久々だな。
「あ、あの…二度も助けて頂き…ありがとうござます…。」
「いいえ。怪我はない?」
「あ…はい…。」
「もっと堂々としていな。じゃないと、また言われるよ。」
「は、はい!」
「では、御機嫌よう。」
まさか私がエミリアを助けることになるとは思わなかった。それに、見て見ぬ振りは私にはできない。
考えながら歩いていたら、いつのまにか森に入っていたみたいだ。
気づかなかった。
そして……ここどこ!?




