第二十二話 悪魔のルートとテスト
アリアナとティアラと仲良くなり、学校生活も楽しく過ごせそう。でも、ヒロイン、エミリアとはあまり仲良くはしていない。その前に話していない。
最近は四人で行動しているため、その他の人とは喋っていない。
学校生活が始まって一ケ月も経つんだ。時期的にグループがもう完成しているんだ。
私は今、中庭を散歩している。ちょっと気分転換をするには散歩が一番いい。
「そっか…ならいいのだが。無理はするなよ?」
「はい!」
ん?今、エドワルド王子とエミリアの声が聞こえたような気がした。
そう思って声の聞こえた方に行ってみたら、本当にエドワルド王子とエミリアが話していた。
嘘!いつのまにあんなに仲良くなったの?
私は二人に見つからないように隠れた。そして隠れながら二人を見た。盗み見とか言わないでよ。
「相談があったら言ってくれ。」
「え、でもよろしいのですか?そんなに話したら、悪魔に操られてしまうのでは…?」
「ハッ、どんな逸話だよ。」
「そ、そうですよね…。アハハ…。」
悪魔……?この言葉…。
覚えてる。エミリアのこのセリフ。このセリフが出てくるルートはただ一つ。私はやったことないけど、ネットでやったことがある人が書き込んでいた。
これは…
悪魔のルートだ。
「悪魔のルート」とは、ある条件が揃っていないと発生しないルート。裏ルートとも噂されていたものだ。
好感度が6になっていないと発生しない。6にするには特別なことは何もない。ただ運が必要なだけ。
好感度は普通、0から始まるのだが、ごく稀に0以外の数値から始まることがある。
私には運が無かったから発生しなかった。
悪魔のルートは、最初は本編と変わらないが、ヒロインが
「悪魔に操られてしまうのでは?」
と言うと、悪魔のルートに入った証拠となる。
悪魔のルートは本編とは違い、ヒロインと悪役令嬢が仲良くなる特別なルートと言われている。最初から敵対はしていたが、最後の方になると和解するらしい。
しかし、中の発生イベントは本編とさほど変わらないらしい。オチもエドワルド王子で本編と変わらない。
私はネットに書いてあったのを読んだだけだから詳しいことは知らない。
勿論、結末も。
部屋に戻り、私は天音にこの事を話した。
「悪魔のルート?そんなに珍しいの?」
「うん。すっごく運が必要なんだって。」
「イコール実亜は運が無いのね。」
天音はたまにすごく鋭いことを言う。
「ところで、なんで悪魔のルートって言うの?」
「詳しいことは運営に聞いて。」
「運営に聞けるかよ。さあ、テスト勉強よ!そろそろテストなんでしょ?」
「うげっ。」
そして私は寝るまで天音にみっしり勉強をさせられた。
昔から勉強は天音に聞いてる。天音はとても教え方が上手いのだ。頭も良いしね。
そしてテストの日。みんな大っ嫌いなテスト。私も嫌い。
中学校や高校で言うと中間テストの扱いだ。
ここでは筆記と実技があり、三日ほど使って行われる。
私は実技の方はいい方だと思うが、筆記が心配。
「失敗なんてしてないわ。実亜はどう?」
「失敗かどうかわからないけど、多分大丈夫。」
テストが終わった日、天音と一緒にテストがどうだったか話した。
天音は使用人なのでテスト内容が違う。
そしてしばらくしてテストに結果が出た。
願わくば平均点以上。よくて80点以上。悪くて50点。
「やった…。全部平均点以上。」
私のテスト結果は、全て平均点以上だった。
実技も問題は無かった。
そしてその日の昼食
「皆さまテスト結果はどうでしたか?」
と私はいつもの三人に聞いた。
「私は実技は良かったのですが、筆記が、あと二問間違えていたら50点以下になってしまう教科がありましたが、それ以外は大丈夫ですわ!」
とアリアナが答えた。
「私は、筆記は三教科満点で、その他も良い方でしたわ。そのかわり、実技が…魔法が苦手なんですよね。」
ティアラは一応テストの結果に満足しているみたい。二人とも何事も無くて良かった。
「シャロン様は?」
「私は、実技も筆記も大丈夫でしたわ。」
「シャロン様の大丈夫はたまに大丈夫じゃない時があります。本当に大丈夫でしょうか?」
と、天音が言って来た。今回は本当に大丈夫よ!
「本当に大丈夫よ!それよりアリスは?」
「私はオール満点ですわ。このくらい当たり前です。」
天音は涼しい顔で言った。
「「「オール満点!?」」」
私達はアリスの答えに驚いた。そして被った。
そういえば昔から全科目オール満点だったっけ。
流石元警察官。




