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悪役令嬢とトランペット  作者: 暁月 織花
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第二話 七歳の誕生日パーティー

「 誕生日おめでとう。シャロン。」


「 誕生日おめでとう。可愛い娘。」


「 おめでとう。可愛い僕の天使。」


母様と父様、兄様が私に向かって言った。私は父様にいつも可愛いと言われている。

だって私可愛いんだもん!でも天使は要らないな。でも嬉しい!


「 お嬢様。ドレスに着替えましょう。」


アリスが私を呼ぶ。そうだ。ドレスに着替えてもっと可愛くならなくちゃ!





「 おお!とても可愛いよシャロン。」


「 似合っているわよシャロン。」


「 いつも以上に可愛いよ天使ちゃん。」


父様と母様が私を見て褒めてくれた。

今私が着ているドレスは薄紫色のAラインのロングドレス。

うん。私、可愛い!


「 じゃあ行きますか。パーティーに。」


私はそう言って歩き出した。この後に起こる出来事を知らずに私は上機嫌な足取りで歩いた。





******************




「 皆様、本日は我が娘、シャロンの誕生日パーティーに来てくださり、誠にありがとうございます。シャロン、皆様にご挨拶を。」


「 はい父様。」


父様に呼ばれた私は一歩前に出て挨拶をした。


「 お初にお目にかかります。シャロン・スティアードと申します。本日はお忙しい中、来てくださり、誠にありがとうございます。」


そう言って一礼した。誕生日の何ヶ月も前からマナーの勉強をしててよかった。


挨拶が終わり、私は父様と一緒に来てくださった方々に挨拶をした。みんな私のことをマナーがしっかりしていると褒めてくれた。私は嬉しかった。でも


「 可愛らしいけど、全然似てないよね。あの親子。」


「 ええ。シャロン様ってどう見ても本当の子供に見えませんわ。」


「 確かにそうですわね。噂ではわがままだそうよ。将来が思いやられますわ。」


「 あのままだと悪女になったりして?」


「 あらやだ!」


ドレスを着た大人の女の人がひそひそ声で私の事を言っている。たまにチラチラと私の方を見る。やめて。嫌なのは私だよ!なんでみんなそんなこと言うの?酷いよ!

本当は私の方が嫌なのよ!マナーとか色々勉強したのに!私だって頑張っているのに。


「 シャロン?」


母様が私を心配そうに見ていた。

え?あ、母様………。今私の事を呼んだのは母様なのか……。


「 大丈夫?」


「 ええ。大丈夫ですわ。」


こんな事で母様を困らせたく無い。はやく帰りたい。


「 今は可愛いらしいけれど未来はどうなるのかしら?」


「 ええ。息子を関わらせたく無いですわ!でも、侯爵家の娘…。」


「 シャロン様ってそんな人なの?」


私の悪口を言っている女性達の所に私と同じくらいの歳の男の子が来た。


「ええそうよ。あまり関わらないでよ。グルスト。」


「 はい……。お母様。」


あの子まで私を悪い人だと……。酷いよ。


「 スティアード侯爵様もあんな我儘な子、嫌なのでは?」


「 それなら侯爵夫人もでは?」


そんな事ないもん!父様も母様も兄様も私のこと愛していてくれているもの!勝手な事言わないで!


「 いっそ捨てた方がよろしいのかしらね?私だったらすぐに捨てるわ。」


「 ええ、もちろん!」


どうして何も知らない貴方達がそんな事を言うの?






##############################






あれから私は、気分が悪いからと行って外に出たのだけど、いつのまにか町の方へ出てしまったみたい。今はお家から離れた所にいます。多分。てか、ココドコ?まさか私、迷子に………。


「 お嬢ちゃん可愛いね!どこの家の子?」


知らない男の人が私に話しかけてきた。

え?このお兄さん誰?怖い。


「 お嬢ちゃんお名前は?」


もう一人知らない男の人が増えた。


「 こんな暗い時間にどうしたの?お家はどこ?それとも迷子?お兄さん達と一緒に来る?」


怖い。


「 うーーん。何も答えてくれなくちゃわからないよ?」


や、やだ…。


「 じゃあ、一緒に来てもらいますか。」


なんで?嫌だよ。

知らないお兄さん達が私の腕を掴んだ。

やだ。離して、怖い!


怖い!怖い!怖い!


誰か助けて!




「 僕の連れになんか用?」


誰かがそう言って掴まれた腕を離させてくれた。男の子かな。


「 な、なんだこのガキ!」


お兄さん達が私を助けてくれた男の子を殴ろうとした。


「 僕にそんな事をしていいの?君たちの命無いからね?」


「 はあ?なんなんだこの生意気なガキ!」


男の人たちは私たちを殴ろうとした。

私は、思わず目を瞑った。でも、痛みは感じなかった。


「 君たち、この方が誰だと思って言っている。庶民がそのような口を聴いていい相手では無い。」


男の人の手を執事服を着た男性が掴んでいた。

執事?てことはこの子は貴族。


「 な!貴族かよ!」


「「 す、すみませんでしたー!!」」


お兄さん達が走って逃げた。

助かったの私?


「 大丈夫ですか?」


男の子が私に話しかけて来た。綺麗な金髪に緑の眼。私と同い年かな?


「 だ、大丈夫です。助けてくださりありがとうございます。」


「 そっか。ならよかった。」


男の子は安心したかのように微笑んだ。


ドキ……。


私の心臓が今おかしくなった。


「 シャロンお嬢様!」


どこからかアリスの声がした。

声のした方を見ると、アリスが走って私のところに向かっていた。


「 アリス……。」


アリスが来て私を抱きしめた。苦しい。


「 心配しました。お嬢様に万が一のことがあったらと。でも良かったです。お嬢様が無事で。」


「 良かったですね。」


男の子が言った。


「 ありがとうございます。お嬢様を守って下さって。」


アリスは男の子に御礼を言った。

私も言わなくちゃ!


「 いえ。それではこれで。」


あ、まだ名前聞いてない。


「 あ、あの!」


もう遅かった。男の子はもう行ってしまった。ステキな方だったな。貴族って言っていたからまたどこかで会えるかな?





その後私達は家に帰った。怒られたけどなんとかなったよ。いつのまにか私が身につけていたネックレスがどこかに消えてしまった。何処かで落としちゃったかな?






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