第十話 三年後 後編
私が入る学校「コスモス学園魔法学校」は、全寮制の学校であり、貴族や王族が魔法やマナーなどを学ぶ学校だ。つまり、お金持ち校でもある。
この学校は必須科目と選択科目があり、必須科目はみんな必ず受けなくてはならない科目で選択科目は自分に合わせた授業も受けることができ、受けたい授業を受ける事ができる。
魔法は勿論、剣術やダンス、料理に裁縫、そして王族教育など、様々な授業が選択科目で選ぶ事が出来る。
他にもメイドや執事達の為に使用人選択科目と言うものがある。この科目は、使用人達の為に掃除やアフターケアなどを学ぶことができる科目だ。
私は剣術と裁縫と魔物学を受けたいと思っている。あと強制で王族教育も受けることになるだろう。嫌だな。
ちなみにゲーム内のエミリアは、裁縫と料理を選択している。でも、この世界のエミリアがどの科目を選択するかはわからない。
それにいい先生に当たるかもわからない。それは運だ。
学校だから勿論、テストはある。みんなが大っ嫌いなテストだ。テストは紙の無駄だと思っている方も多いだろう。私もそう思う。
中学や高校の時の私は基本テストでは50点以上は確実にとっていた。だからこの世界でもテストは50点以上はとりたい。まず何点が基準なのかわからないけど。赤点の基準は?
ゲームの時はプレイヤーが授業を受けて、その時に高得点を取っていたらテストでも高得点を取れるシステムだった。
だが今は現実だ。ゲームとは違う。
自分で勉強しなくてはいけない。ゲーム内のシャロンも高得点を取っていたが、だからと言って私が高得点を取れるとは限らない。だから私は小さい頃から、勉強をしている。だからと言って気を抜いてはいけない。テストは紙の無駄だと思うけど。
今このように考えているが、入学式はまだ先。
でも、学校に入ったらなかなかお店の仕事ができなくなる。まあ、その辺りはアリスやお店の人にお願いしてあるから、私はデザインを描くだけ。
必要な事とかは私の方にくるけど、それ以外は大丈夫!お店の事は何も心配する必要がない。
私は今、学校への期待と、学校で起きるヒロイン達との出会いへの不安を胸に、トランペットを吹いている。
やっぱり楽器を吹くと自然と心が落ち着く。集中するせいか、それ以外を考えなくなる。だから私は吹いている今この時がお気に入りの時間だ。
何分経ったか、トランペットを吹いていたら足音が聞こえてきた。その足音はだんだん近くなっている。
誰だろう?
「 実亜!! 」
足音が消えたと同時に聞こえたのは「 実亜 」と叫ぶ声。
私の前世の時と同じ名前。
そして、その名前を言ったのは、
アリスだった…。




