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忘恋症候群

作者: 冬姫0818

あぁ、どうして。


どうしてこうなってしまったんだ。どうして彼女がこんな目にあわなくちゃいけないんだ。純粋で誰よりも優しい彼女が、どうして・・・・・

あぁ神様、お願いです。どうか、この儚い恋に救いを・・・・・









1ヶ月前、僕は彼女に告白した。ずっと前から好きだった彼女に。そして彼女は告白を受け入れてくれて、僕達は付き合うことになった。すごく嬉しかった。好きだった彼女と付き合えたのだ。そう思うのは当然だろう。ここから僕達は始まる。そう思っていた。


・・・・・だが、現実は非情だった。


その1ヶ月後、突然彼女は倒れた。彼女は救急車で病院に運ばれた。怖かった。やっと繋がったのに、こんな形で終わってしまうのは。

数時間たち、彼女は目を覚ました。検査したところ、身体に異常は無かったらしい。良かった。彼女に何もなくて、安心した。

しかし、彼女に会って、その安心は消え去った。


彼女は記憶を失っていた。

決して全ての記憶を失った訳ではなかった。自分の名前や自分が育った場所などは覚えていた。失っていたのは1ヶ月前からの記憶、僕が告白した時からの記憶だった。どうして、その記憶だけなくなってしまったんだ・・・・・。

その後、医師が来て、彼女の状態を話してくれた。

彼女は『忘恋症候群』という病気にかかっているらしい。両想いのカップルにかかる病気で、そのカップルの恋愛に関する記憶だけ失うらしい。治す方法はないらしい。


「・・・・・」


・・・・・なんで。

どうして、こうなってしまうんだ。僕達は、やっと始まるというのに、どうして・・・・・










あれから彼女と出会っても、記憶が戻る気配は無かった。治す方法もない。もう記憶が戻ることはない。むしろ、僕がいることが彼女にとっていけないことじゃないのかって思いはじめた。僕との記憶が無くなっているんだ。僕の存在が、僕の存在が彼女を苦しめているのではないか、と。


・・・・・いや、実際そうだ。


僕が、僕がいるからいけないんだ。僕が彼女を苦しめているんだ。


だったら、もうやるべき事は・・・・・














彼女がいる病院の屋上。僕は柵の向こう側に立つ。


・・・・・君の幸せを願って。


僕はそう願い、飛び降りた。

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