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四話
最終コーナーの内側をオーバースピードで立ち上がる彼の車は、ハーフスピン状態に陥る。
明らかなドライブミス、入賞への焦りが出てしまったのだろうと誰もがそう思った。
「「(そ)ここっ」」
偶然にも、二人の声が同調する
四輪から土煙が上がる
真っ赤に発光するブレーキローター
マフラーからミスファイヤの爆発音がする
プロの目からみたら明らかに遅いブレーキタイミングだ
彼の車は一瞬横滑りをしながら後方にスライドする。
そして遅れてコーナーを立ち上がってくるライバルの走行ラインと重なる。
一瞬のクロスラインがライバル車の加速スペースを潰す。
そして彼の車はコースのど真ん中をゴールめがけてフルスロットルする。
ゴール前にあるジャンプスポットをまるで羽でも生えているのかと思うくらい力強く飛越え、まだ走り足りないと言わんばかりに、ゴールラインを走り去った。
「やったぁ!入賞!」
私は思わず嬉しくなって、大きい声を上げはしゃいでいた。