三話
明けましておめでとうございま…した…
年頭の挨拶出来ずに二日になっていた…
気を取り直して!!
本年もよろしくお願いいたします
「どうしたの…」
「何が…」
「なんだか真剣にレースを見てさ♪」
「ちょっと…ね」
「ちょっとなんだ…かなりの間違いじゃない?」
「ちょっとです!」
「ムキになっちゃって…」
「良いでしょ…別に…」
「こっちに顔向けないで、ずっとレース見てるし…顔赤いよ」
「へっ?」
「…やっとこっち見た…さっきのドライバーさんにナンパされたとか?」
「いや…いやそんなんじゃないから…」
「なんか…ず・ぼ・し」
「あっち行っててよ!」
「コワッ…」
友人はなんだか楽しそうに私の前から去っていった。ナンパされたとかじゃないけど…ちょっと気になるお兄さんの車は林道を改修したコースを疾走していた。
大会中だけ配信されるアプリをダウンロードして車番を選択する。
スマホの画面にお兄さんの車内が映し出される。
各車の車載カメラと連動する、レース中の通信サービスに私は夢中になっていた。
『あっ、そろそろ来るかも…』
車載カメラに最終コーナーが映る。
僅か前方に競技車両が映っている。
熾烈な入賞争いをここ3周繰り返している。
そして、今の周回が最終ラップ…先にゴールラインを通過した方が入賞になる。
少し強引にコースのイン側にお兄さんの車…ライバルの車はアウト側に走行ラインを取って並走する形で最終コーナーに飛び込んでいった。