hold me or get out(6)
「……ミラカナ、少し話がある」
家に着き僕の部屋に入ると、僕に真面目な顔をしてアトスが言った。
今、ミクモには今回の昆虫人間の件の後処理として、書類整理をさせている。
僕にとっても今回の件は、少なからず衝撃があった。
これからまた、しっかり頑張っていかなければーー。
「何だ?」
僕はそう、首を傾げる。
「一つ報告がある。ノルドシュトルムは、まだ続くものである。そう、やつの心はーーカスピエルは言っていた。俺が吸い込まれた時に見た、存在がな」
「カスピエルが?」
「ーーあぁ」
アトスは静かに、続ける。
「そう。ノルドシュトルムは奴による概要を言えば偶発していく異次元からの侵攻現象。それは期間に応じて脅威度が上がっていくと、カスピエルが言ったのだ」
「ー信じられるのか?」
「俺はそれを、信じようと思う。そして、それに対する対策も。ーーミラカナ。あとは、ソレイユを、頼むぞ。そしてーー皆に伝えて欲しい」
「ーー何を?」
「ーーミクモには、お前は無駄にカリカリするな。寿命が縮むと」
「……」
「レイブレッド、イーゴンには、短い間だが、会えて嬉しかったと」
「ーーお前」
「ーー俺には、やる事がまだ残っている。アトス、としても。もう一つの名前としても」
「何を言っている、お前、まるで自分が死ぬみたいに」
「そうだな。あとアイラにはーー自分の生きる道をいけ、と言って欲しい」
「ーーやる事が、あるのか」
「数年だ。数年後にーー戻る。今回戻ったばかりだがーー俺の身勝手な考えを許せ」
アトスは請うように、僕の目を見る。
「ーー耐えてくれるか、ミラカナ?」
いやだと言っても、こいつは止まらないだろう。
「ーーあぁ。しょうがないな。僕やミクモに、任せてくれ」
僕は頷いた。
すると、
「必ず帰ってくる。わだかまりを取ってな」
アトスの身体が光に、包まれていったーー。
「ーーアトス?」
「俺はまだしなない。待っていてくれーー」
響くその声が、部屋に木霊したーー。
アトスは姿を消した。
僕の前から。ここから先、暫くの事は彼が語るまでは、僕は知らないーー。




