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第六理「追跡&逃走」

 さて、どうしたものかね。この範囲のないエリアでたった一人のターゲットを見つけるのはかなり難しいぞ。探知機は学校に置いてきてしまったし、俺の勘しか当てにならないってことか。まあ、不運ではあるが勘は当たる方だから、可能性は3%ぐらいはあるだろう。

 勘に頼るしかないという事と、三倉を捕まえられる可能性が3%だけだという事に落胆しながらも、無いよりはましだと自分に言い聞かせ足を動かし続ける。

 ヤバイな……。かれこれ40分近く走ってるぞ。そろそろギブアップかもしれない。たぶん次に止まった時で足が動かなくなるな。早く見つかってくれ……!

 そんな事を思いながらも周りを見ることはやめない。そして限界が来て足を止めかけたその時だった。視界の隅の方に、遠目なのではっきりとは見えないが阪神の野球帽をかぶって仁鳥高校の制服を着た人物が、たこ焼き屋の列に並んでいるのが見えた。

 こんな大阪のピンポイントな所に同じ高校の奴がいるわけが無い! よってあれは三倉である……と思う! 

「みぃつけたあぁ!!」

 思わず口に出してしまい周りの人たちから一斉に視線を向けられたが、そんなことは気に留めている暇はない。この一世一隅のチャンス、逃すわけにはいかない!

 気力を振り絞って三倉へとダッシュする。

 すると、三倉は俺の殺気に気が付いたのか、肩をふるわせ顔を少しこちらへ向けると驚いてダッシュで逃走を始めた。

 帽子を被っていたせいで顔はよく見えなかったが、その行動であいつが三倉だと確信した。


――そして、頭の中で「ブチッ!」っという自分を縛っていたリミッターが完全にちぎれた音がした。


「逃がすかコラァァ!!」

 自分でも信じられない程爆発的な脚力で速度を上げ、三倉との距離を縮めていく。

 一方、三倉は俺の怒声にビビったのか足がもつれていつもの速度が出せていない。そのおかげで、尋常じゃない早さで三倉に追いついてきて助かる。

 あと……少し……っ! もう三倉は目と鼻の先にいるのにぎりぎり届かない。

 くっ……そがぁ! 届いた!!

「つ、捕まえたぜィ!」

 息を切らしながら言い、制服の背中側を思いっきり引っ張って、人目のつかなそうな裏路地に引きずり込む。

「フンッ!」三倉を壁に投げつけて

「手間かけさせてくれやがって……!」上からへたり込んでいる三倉に怒気をかなり含んだ声で言う。

 三倉が膝を抱えて顔を地面に向けぶるぶる震えている。流石の三倉でも、今の俺の状態にはビビったようだ。実に喜ばしいことだ。ふるえてて動かない方が殴りやすい。

 じゃあ、そろそろ殺ろうかなぁぁ……!!

「おい」

 三倉の体がビクッ! と震える。

「帽子とって顔上げろ。殴りにくい」

 ふるえながらもそうっと帽子を取り、顔を上げた。











             ――――――――――――誰?




 

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