二十五話
出発の当日を朝をむかえた
集合場所にいってみると、まだ荷物を積んでいる所だったが
その商隊長らしき人をみつけ
「おはようございます。今回の商隊のトップの方ですか?」
「そうです。この商隊を仕切っている、商人のザーンといいます」
「俺はギルドの紹介で、今回同行させてもらうルドといいます」
「おお あなたがそうでしたか。もうすぐ荷物も積み終わりますしので
もう少し待っていてください」
「わかりました。そこの木のところにでもいますよ」
「出発のときに声をかけます」
「ありがとう」
そういうとザーンさんは、積荷の指示を出しにむかった
十分ぐらいたつと
「ルドさん、積みおわりましたのでこちらにきてください」
俺がいくと
「こちらが、妻のミリエルと娘のエリーです」
「俺はルドですよろしく」
とエリーにお菓子を差し出す
「ありがとう」
子供の笑顔はいつみてもいいものだ
「すいませんね。ルドさん、娘にお菓子を貰ってしまって」
「いえいえ気にしないでください」
「護衛の人を紹介しますね。護衛の隊長のカイル その次がギース ランディ リサです
カイルさんとギースさんとランディさんの三名が剣士で、リサさんが魔術師だそうです」
「俺はルドといいます 護衛の方お願いしますね」
俺のことを知らないし、問題になることはないだろう
挨拶も済んだ所で俺は、商人家族と護衛達と馬車に乗り込み出発することになった
「ルドお兄ちゃんは、普段何をやっている人なの?」
「俺は冒険者をやっているよ。最近なったばかりだけどね」
「そうなんだ。何しにジーレシアに行くの?」
「実家に帰るためだよ」
俺のその答えを聞いて、ギースは落ちこぼれが、実家に逃げ帰るとでも思ったのか
こっちをみてニヤニヤしていたが、無視しておく
「そうなんだ」
無邪気な笑顔を振りまいている
エリーちゃんに、お菓子や果物をあげていたら
もの凄くなつかれて、旅の間の話し相手をさせられていた
一週間が無事にすぎ、今日もエリーの相手をしていると
カイルが、前方にゴブリンがいると言ってきた
「俺とギースで、ゴブリンを片付けるから二人で、馬車を頼むぞ」
とカイルはいい二人で、突っ込んでいった
「大丈夫かな?ルドお兄ちゃん」
「大丈夫だよ。護衛の人達は、ゴブリンに遅れをとるような弱い人たちじゃないからね」
と安心させると
「そっかなら大丈夫だね」
エリーちゃんは納得してくれたが、ミリエルさんはそれでも不安そうだった
「大丈夫ですよミリエルさん。終わったみたいですし」
「本当ですか?」
「カイルさん達が戻ってきてるので、そんなに数はいなかったのでしょ」
「どうでした?カイルさん」
ザーンさんが、カイルにきくと
「ゴブリン5匹がいたけど、3匹殺ったら逃げていきやがった」
「そうですか」
ザーンさんは、ホットしたようだ
その後、なんにもなく中間地点の村カレラに到着した
「ルドさん今日はこの村で一泊して、明日ジーレシアに出発することになりますので」
「わかりました」
みんなで宿にいき泊まったが、料理はそれほど美味しくないなと思いながら食堂で
夕飯を食べていると
「大変だ!ホブゴブリンがこっちにむかってきている」
みんな騒然としだした
「ゴブリンじゃなくて、ホブゴブリンで間違いないのか」
「間違いない」
「何匹ぐらいいるんだ」
「30匹ぐらいいるらしい」
「そんなにいるのか。もうこの村は終わりだ」
「逃げる準備をしないと」
「馬車がなきゃにげきれんぞ」
などと大慌てで、自分達の家に向かっていった
「どうするんだザーンさん」
俺がきくと
「町の人達には悪いですが、逃げようと思います」
と言った所へ、この町の村長がやってきた
「ザーンさん、今この町にいるのは、あなたの護衛の4人と村で雇っている
2人だけなんじゃ。なんとか、手を貸してもらえんだろうか?」
「4人が参加して、この町を守れる保障はありますか」
「扉を閉じて戦えば、なんとかなると思うんだがの」
商人は信用も大事だが、命を失ってはどうしようもないザーンさんは
悩んで護衛の4人と、相談して決めるみたいだ
「エリーちゃん怖くないかな?」
「大丈夫だよ」
「なんで大丈夫なの」
「お兄ちゃんが守ってくれるから」
「ん?俺?護衛の4人じゃなくて?」
「うん。精霊さんがそう言っているの」
「すいません。うちの子が変なことをいって」
「いえいえ。そうかエリーちゃんは、精霊がみえるんだね」
「みえないよ。でも時々優しい声が、きこえるの」
俺は精霊に聞いた
「お前ら、この子が好きなのか?」
「心が綺麗だから好き」
と返事がかえってきた
「なら俺は、君と精霊の願いを叶えないわけにはいかないね」
「うん」
俺は話し合っている村長と、ザーンさん達のところへいった
「ちょっといいですか」
「なんですか?ルドさん」
「エリーちゃんに頼まれたので、今からホブゴブリンを、殲滅してくるので
町の方をお願いしますね。逃がすつもりはないですけど、万が一があるので」
「え?殲滅?エリーですか?」
ザーンさんは、不思議そうな顔をしていたが
「おい、おまえなに言ってる。駆け出しの冒険者が、倒せるわけないだろ」
ギースが騒いだが
「俺はS級だ」
カードを見せて納得させた
「なんで今まで黙っていたのですか?」
村長が、きいてきたが
「聞かれなかったからな」
みんなから、非難の眼差しがきたが気にしない
「ホブゴブリンの本隊は俺が、殲滅するから俺にむかってこずに、村にきたやつだけを
殺してくれ できるなカイル」
「数匹なら問題なく倒せる」
「なら決まりだ。殲滅してくるから村の方は頼むぞ」
「お一人で大丈夫ですか?」
ザーンさんが、心配そうに言ってきたが
「ホブゴブリンぐらい何匹いても問題ない」
「お願いします」
と村長
「俺が帰ってくるまで、門はあけるなよ」
「わかりました」
俺は一人で村をでて、ホブゴブリンのいる場所にむかった
道を歩いていると、俺を見つけたホブゴブリンが、襲ってきたがまず
「ファイヤーストーム」
で数匹燃やし残りは、剣を持って突っ込んでいった
囲まれないように、棍棒ごと斬ったり剣を打ち合ったり、蹴り飛ばしたりしながら
殺していった最後の3匹になると逃げようとしたので
「ファイやアロー」
を逃げるホブゴブリンの頭にむけて放ちとどめをさした
その後討伐部位を切り取って村に戻ることにした
「おい誰かがくるぞ。ルドさんか?」
「わからん 警戒は怠るな」
などと警戒していたが、少しすると顔が判別できるようになった
「ルドさんだぞ。凄い血で服が汚れている。
怪我しているかもしれないから、水を持ってこい」
「わかった」
「それと門をあけろ」
村人達が忙しく動いていた
「ルドさん、怪我は大丈夫ですか?」
と村長が聞いてきた
「怪我はしてない 全部返り血だ」
「それで、ホブゴブリンはどうなりましたか?」
「全部倒してきた」
「ありがとうございます あなた様は村の恩人です」
「気にするな」
死体を確認しにいった他の冒険者達が、死んでいるホブゴブリンを見つけ
周りにホブゴブリンがいないことを確認して、徹夜で宴会がおこなわれることになった
主役の俺は、ある程度付き合って寝たのだが、俺が寝たあとも宴会が終わることはなかった




