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父親は昔は優しく、母親と彼女を愛してくれていた。

 原因はパトリシアにも分からないが、きっと父親は迎えには来ないだろう。

私のことなどもう気にかけてはくれない。お父様はシルヴィアさえいればいいのだから。

 シルヴィアとは父親の後妻だ。

 母親が亡くなった後にクレイトン家へ嫁いできた。

 母親と同じくらいの歳で美しいが冷たい感じで、数えるほどしか会話したことがない。パトリシアは彼女と仲良くする気になれなかった。

 父親に避けられているのに、後妻と仲良くなるなど馬鹿げているではないか。

 シルヴィアがお父様を私から奪ったのだと、 孤独になった幼い彼女はそう思わずにはいられなかった。



「入るぞ」

こちらの了解も得ずに扉をあけ、先ほどの男が現れた。

「あなた一人?エミリーはどうしたの」

どうやら彼一人で戻ってきたらしい。

男はパトリシアの近くに椅子を持ってくると背もたれを前に座った。

「さあね、俺の知ったことじゃない。そんなに心配か?」

「べ、別に?!侍女のくせに主人を一人にするなんて生意気なのよ」

 男はくくっと笑って

「あんたかわいくねーな。誘拐されたんだからもう少ししおらしくできないのか」

「ふん、うるさいわね。それより、この縄を解いてくれる?さっきからくいこんで痛いし、だんだん痺れてきたわ」

辛い、というように縛られた手足をもぞもぞと動かす。


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