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誘拐(2025)

なんなんだこの話

 ある夕暮れどきのことだった。


「坊や、お姉さんがお菓子買ってあげる」


 真っ白なワンピースに身を包んだ若い女性が、オレンジ色のそよ風に長い黒髪をなびかせてそう言った。


「ふふ、じゃあ一緒に○○のスーパーに行こうね」


 歩き出してすぐ、何かを言われたようで一瞬ビクッとした女性だったが、平静を装いながら「お姉さんは怪しくなんかないよ。君がかわいいから買ってあげたいだけだよ」と笑ってみせた。


「⋯⋯よし」


 1万回目のシミュレーションを終え、()った女性。


 ちょうどそこに小学校中学年くらいのメガネの男の子が通りかかった。


「ぼぼぼぼぼぼぼ!」


 少年の肩をトントンして言った。


「⋯⋯はい?」


 キョトンとする少年。


「ぼ、ぼ⋯⋯ぼぼぼーぼ!」


「ボーボボ?」


「ぼぼぼうや!」


「あ、ぼくですか?」


「おねおねおねおねおねおねおねおねいさん手羽先とうなぎと手羽先が大好物なんだだ!」


「緊張してます? ていうかなんですか? なにか用ですか?」


「じゃあ一緒に○○のスーパー行こうね」


「えっ」


「パフィー」


「⋯⋯え?」


「えっと⋯⋯あの⋯⋯」


 思うように言葉が出ない女性。


「あの⋯⋯あの⋯⋯」


「はい」


「あの⋯⋯お菓子買って⋯⋯」


「お金ないんですか?」


「お金ないんです⋯⋯」


「なるほど⋯⋯」


 少年はメガネをクイッとやると、笑みを浮かべて女性の耳元で囁いた。


「僕を誘拐してみますか?」


「えっいいの?」


「5000万円要求して山分けしましょう。最近お小遣いが足りなくて困ってたとこなんです」


「いくらもらってるの?」


「毎月200万です」


「親何者?」


「王様です」


「ほえゃ〜」


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