タイトルなし(2018)
2018年6月18日のメモ。拙すぎる。
私の名前は井伊 斉。普通のサラリーマンだ。
今日もいつものように電車に乗って会社に行っ⋯⋯
ん?
向こうのホームに黒いカッパを着た男が立っている。
なんであの人カッパ着てるんだ?
『電車が通過します。危険ですのでレインボーの線までお下がりください。』
そうだ。この互生駅の線はレインボーなのだ。なぜレインボーなのかというと⋯⋯
はっ!カッパ男が線路に落ちた!そっちに通過電車来るのに!
誰も助けようとしない。
なんで誰も助けないんだよ!
こちらのホームにいる人達は見てすらいない。
もしかして、見えてないのか!?
いやいや、そんなわけないだろう。それじゃなんで私は見えるんだ。主人公じゃあるまいし。
ええい!そんなこと考えている暇はない!
「そっち側の線路に男の人が落ちました!早く助けないと!」
!?
電車が来た!もうダメだ!
電車が通過した後、線路には何も無かった。
え⋯⋯あのカッパ男は?
私は訳が分からずホニャホニャしていた。
「君も見たのか」
へ?
後ろにはさっきのカッパ男がいた。よく見たらカッパじゃなくて黒いローブだった。
「実は俺も見たんだ」
いやお前だろ!
『脱線事故が発生しました。全線遅れが生じますがちょっと待っとってください。』
えええええええ!
会社遅刻やん!!
と思ったら電車きたーーー!!!
私は電車に乗ってしまった。
何だあいつ⋯⋯話の途中なのに自分だけ電車に乗りやがった⋯⋯!
俺が見えてたみたいだから話をしようと思ったのに。
「しょうがない。仕事に戻るか」
黒いローブの男は消えていった。
電車に乗った斉。周りの人は全員スマホで何かしている。
互生駅から会社の最寄り駅である「右生駅」までは直通で15分ほどで着く。その15分は基本的にぼーっとしていることが多いが、今日は違う。
あの黒いローブの男。明らかに怪しい。
他の人には見えていなかったようだし、いつの間にか私の背後に立っていた。
しかも、話しかけてきた。
しかし、一番大きな問題はあの直後の脱線事故だ。死人は出たのだろうか。
死人⋯⋯?
もしかしたら、あいつは死人なんじゃないか?
ということは、私には死人を視認出来る力があるのか?
お、右生駅に着いた。
右生はけっこう都会なので、降りる人も多いのだ。
って、あれ?
今日は私1人か。みんなスマホに熱中しすぎて降りるの忘れてないか?まあいいか。
いやいや、教えてあげないとみんな遅刻しちゃうじゃん!
「皆さん!右生駅ですよー!」
私は久しぶりに大声を出して恥ずかしかったのでさっさと降りて走っていった。
しかし、誰も降りてこない。
もう知らん。遅刻すればええやん。
まったく!近頃の若いもんは!
ここから会社まで徒歩10分。いつもは歌いながら行くのだが、今日はそんな気分じゃなかった。
でも、歩きだしたらやっぱり歌いたくなった。
「き~みぃ~がぁ~あ~よ~お~ぉは~♪」
「ち~よ~に~ぃいや~ち~ょ⋯⋯」
向こうから人が来た。恥ずかしい。
で、あの人に聞こえないくらい離れたらまた歌い出す。
「よ~に~♪さ~ざ~れ~~い~し~の~~~♪」
で、定期的に後ろから人が来ていないか振り返って確認。
よし、いない。
「い~わ~お~と~な~~りて~♪」
ぎゃ!!!わき道から歩行者が出てきた!恥ずかしい!!
下を向きながら通過⋯⋯
「こ~~け~~の~~、む~ぅす~ぅま~ああでぇ~~~♪(小声)」
「恥ずかしくないんですか」
あ!部下の割井谷 恒男!!
こいつはいつも私に嫌なことをしてくる。それに、悪いこともひと通りやってきたらしい。つまり、悪いヤツだ。いや、悪いヤツNEOだ!!
「急がないと遅刻しますよ」
えっ
ほんとだ、もう7時45分だ。
「先輩、走りますよ!」
「ああ」
はぁ、はぁ、はぁ、、、、、
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、、、
あいつ私をいくつだと思ってるんだ、まったく!
「早く来ないと置いていきますよー」
「もうちょっとゆっくり走れよ、、車来たら危ないだろ」
「俺、耳いいんで」
ドカーン
バコーン
「な、なぜだぁ!」
「だから危ないって言ったろ」
「車の音など聞こえなかった⋯⋯!」
確かに聞こえなかった。
車の運転手が降りて言った。
「当たり前だ、ハイブリッド車は静かなんだ!」
なんだこいつこの態度人轢いといて
「俺は⋯⋯もう死ぬのか⋯⋯?」
「あーあ、飛び出すから」
運転手め、どういうつもりだ!