表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何者にもなれなかったとある男の異世界転生  作者: いたたたっ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/192

八十三 お約束?

 町中一ファミリーの視線が、いや、その場にいた町中一とガゴルを除いた、すべての者達の視線が町中一にぶっすうっと突き刺さった。


「あの、ほら、あれだよ? 俺は何もしてはいないよ? こういうのは、あの、だから、あれ、あれだよ。お約束。そう。お約束だよ。こういうのって、良くあるじゃん? なんか、ほら、戦士的な人がさ。自分よりも強い人に、やられちゃったから、惚れちゃいました、的な?」


 町中一は、しどろもどろになりながら、周りに目を向けつつ、言葉を出した。


「で? 具体的には、どこをどうして、何を何したの?」


 スラ恵の、刃の切っ先のように、鋭く尖った質問が飛んで来る。


「スラ恵。こういう時は男に聞いても駄目よ。ねえ、ガゴルさん。何があったのか詳しく教えて下さいな」


 お母さんスライムが、ガゴルの手を優しく握る。


「お、おい。初対面なのに失礼じゃないか。変な事を聞くんじゃない」


 町中一は、慌ててお母さんスライムと、ガゴルの間に割って入った。


「あんたはこっち」


 スラ恵が、町中一の手を取ると、思い切り引っ張ったので、町中一は、態勢を崩して、その場にうつ伏せに倒れて、車に轢かれた蛙のような、格好になってしまう。


「べちゃっていう音が、似合いそうだわぁん」


 ななさんが無情にも、そんな、酷い言葉を町中一に向かって投げ付ける。


「な、なんだよ。皆、どうしちまったんだよ」


「主様が悪いんだわん。こんな、安っぽいエロゲーのハーレムルートみたいな展開なんてわん。やってられないんだわん」


 柴犬が、町中一の傍に来たと思うと、町中一の頭の上にもっちりと座った。


「な、もっちりってなんだよ? どんな座り方だよ」


「そんなものは分からないんだわん。でも、これだけは分かるんだわん。今の主様には、この位しか使い道がないんだわん」


「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」


 チーちゃんの、不穏な羽音が、町中一の周囲で鳴り始める。


「一しゃん。ガゴルさんから話は聞いたわ。なんて羨ましい、いえ、酷い事を。女性に対して、でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~を無理やり魔法を使って、やって、しかも、自分の手は汚さずに、柴犬にやらせるなんて。そんなの、新手の獸姦じゃない」


「獣姦?」


「あいつ、あの、王都から来た隊長に獣姦を、犬をけしかけて、やらせたらしいぞ」


「羨ましい、ちが、汚らわしい」


「最低よぉん」


「最低だわん。そういえば、やらされた気がして来たんだわん」


「獣姦って何うが?」


「うが。そんな言葉を口に出して言っちゃいけません」


 その場が騒然とし、町中一ファミリーとうがちゃんとその母親と、スマックに城の兵士達が、揃って町中一に、冷たい視線を向けて、口々に、町中一の所業について、悪し様に言い始める。


「そ、そんな。ち、違うんだ。誤解だ。俺は、そんな事はしていない。あれは、しょうがなかったんだ。柴犬の、誇りを、なあ、柴犬。何か言ってくれよ」


「やらされましたわん。これは、主様の命令には逆らえないんだわん。主様は、それを良い事に、これに、エロ同人誌に出て来るような、あんな事やこんな事を、やらせたんだわん」


「エロ同人誌に出て来るような事だってよ」


「あんたん。もう、それは、犯罪よぉん」


「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」


 町中一は、車に轢かれた蛙のような恰好のまま、くっそう。こうなったら、こいつら全員の記憶を消すしかねえ。こういう時の魔法だよな。そうだよな。などと思い、魔法の言葉を口にしようとした。


「おい。これはなんの騒ぎだ?」


 妙に高い、聞いたらそれなりの一定の期間、忘れる事ができないような声が聞こえて来て、城の兵士達が、領主様だ。領主様が出て来たぞ。と声を上げたので、町中一は、魔法を使うのを、中断して、妙に高い声がした方を見た。


「領主様。娘を。娘を買ってくだせえ」


 うがちゃんの父親が、領主の傍に駆け寄ると、その勢いのまま、ダイビング土下座のような動きを見せて、領主に向かって平伏しつつ、お願いをし始める。


「貴方」


 うがちゃんの母親が、戸惑っているような表情をしながら、うがちゃんと夫の姿を交互に見た。


「領主様。うがを買って下さいうが」


 うがちゃんが父親の隣に行き、一瞬の躊躇もなく、父親と同じように平伏すると、そんな事を言い出した。


「ほう。ほう。これは、言葉を話すのか。その姿でなあ。良し。分かった。買ってやろう」


 領主がぽんっと手を打った。


「領主様。でも、この娘は、危険です。物凄い力で、俺を堀の中に落としやがったんです」


「娘。そうなのか?」


「は、はい、うが。お父しゃんを助けようと思ってうが。でも、もう、絶対に、しませんうが。領主様の言う事はなんでも聞きますうが。逆らったりしませんうが」


 平伏したまま必死に話す、うがちゃんを見ていた領主が、今、なんでもって言った? 言ったよね? そうかそうか。それなら、あんな事やこんな事をしてもらおうか。ぐへへへへへへ。と呟くと、その目に、いやらしく、卑しい、光が宿った。


「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」


 チーちゃんの羽音がぶおおぉんと唸る。


「チーちゃん。やっておしまいなさい」


 町中一は、某水戸黄門のような気持になって、チーちゃんにゴーサインを出した。


「らじゃー?」


 チーちゃんが領主に近付くや否や、領主のお股を思い切り蹴り上げて、領主を仰向けに倒すと、でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~を、領主のお股にお見舞いした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ