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希代の変人

 ガヤガヤいつの間にかさっきおばさんと話していた通りとはちがって、賑わっている商店の通りの道を来た道も振り返らずただ歩いていた。

 結花はズキズキと刺さる様な頭痛は若干和らいでいたがそれでも痛み続けるせいか頭がぼーっとしてきて身体も段々動きが鈍く重い感じがして思うように動けない。

 少しづつ息が上がってきて苦しい。

 けれどこんな所でまた倒れてしまっては、さっきは運が良かったけれど知らない場所でどうしたらいいかも分からないのだからちょっとでも静かに休める所に移動しなければ。

 何処かで休めないかと通りの道を見つめていると頭痛のせいで目に力が入り睨みつけながら見ていると数十歩進んだ先に細道がある。

 あそこの細道で少し休もう。

 だけど思うようには体が動かない。

 フラフラと覚束ない足取りで普段より大分ゆっくりと歩いて行く。視界と身体の感覚がやや鈍っている時に足元の石につまづいてしまい、丁度横を通り過ぎようとしていた男性にぶつかってしまった。


「うぉっっっ······」

 ─しまった!


 結花は咄嗟やってしまったと思った。今は体調が悪いからと他の人との接触を極力避けていたのに。体調が良くなってから日が昇っている間に街の人に今は場所などの話を聞こうとしていたのだが、男性に不注意ぶつかった事によって動きを変ないといけない。

 そんな事を倒れる数秒の間に結花は考えていたが転んだ衝撃は一向に来なかった。けれど態勢的には転びそうな姿勢でお腹の部分にさっきまではなかった暖かい感覚があり腕に支えられていると分かる。おかげで驚いて目を見開き少し視界がはっきりしてきた事で今、支えてくくれている人にお礼を言うべく少し反応が遅れたが身体を起こし顔を上げて相手を見た。


「すっっ、すいません。私からぶつかってしまったのにも関わらず助けてもらいありがとうございます。」

「んぉ・・・。あぁ、別にいい。

 まぁ~俺で良かったな。変な輩に絡まれなくって」


 助けてくれた男性は釣り上がり気味の目に掘りが深いすっした顔立ちと短く切り揃えたられた黒髪。体格は若干成人した男性としはやや小柄ではあるが見た目に相まった濃い朱の着流しを少し肌蹴けさせ腰紐の辺りに刀を刺しているので武士だろうがその外見より優しいく声をかけてくる。助けてくれた男は若干屈み顔を覗き込んでくる。


「おい、あんた大丈夫か?

 顔色が悪いし身体ふらふらじゃないか・・・」

「っっ、いえ少し休めば平気です。お気遣いありがとうございます。」

「ふぅん。そうか?」


 結花は若干助けてもらった男に素っ気なく返事を返したが、男は返事に納得が行かなかったのかじっと結花を見ていた。

 流石に男の視線に恥ずかしくなり頬を赤らめさせ顔を横に背けてしまった。

 結花は普段から男の人と話すことが苦手で声が上擦ってしまい真面に話せるのは幼なじみぐらいだ。

 男はさっきの探る様な眼差しとは売って変わり、ニヤリと何かを企みの顔になる。


「おや、顔が赤いな。

 さてはあんた俺に惚れたか!」

「ちっちちち違います!·····」

「ぶぅっははは、それは冗談だ。あんた名前はなって言うんだ?

 俺は···そうだな気軽に晋とでもよんでくれ。」

「はぁ·····それでは私はこの辺りで失礼します。

 しっっしん、晋さん。」


 何時までもここに居てまた体調が悪くなるかもしれない。結花は助けてくれた男の名前を恥ずかしげになりながら晋にお礼を言い。クルリと行こうとしていた細道の方へとあしを踏み出そうとしていた。だが、それを止めるように晋さんは右手首を掴んでくる。



「おぉぉい、待て待てまだ名前を名乗ってないだろ。それにそんなに急がなくってもいいだろうに!」


 ―いやいや、急いでるから!1人で静かに休ませて欲しいのですけど····―


 掴まれた腕を離してもらおうと、結花は晋さんの方にクルリと振り向く。少し勢いを付けて振り返るものだからクラり、視界が掠れ揺れて脚がもつれ倒れた先は晋さんの中に飛び込むようにもたれてしまっていた。


「・・・あんたも案外大胆だな。

 さては満更でもないのか?」


 かぁぁぁぁあっっ

 そんなつもりじゃない。

 だけど今の状況では誤解しても仕方なかった。

 結花はめまいで頭が半分麻痺したままここからひとりで移動しても道に迷うだけ。ぶつかって迷惑かけたのに優しいくしてっ・・・いや、でも何考えてるか分からない人に着いって行っても。結花は、顔を赤くしたり青くしたりとして自問自答を繰り返していた。


「じゃあ、行くか!」

「うぇ?」


 考え事をしてていると、晋がそう声をかけてきて素っ頓狂な返事をしてしまった。

 よいしょ、晋は結花を横抱き未来で言うお姫様抱っこをして来た。どうして抱えられているのか分からず反乱しつつまた顔を赤くして晋さんに話しかけた。


「あの晋さん。どうして私は抱えられているのでしょうか?」

「うん?

 あぁ、あんたを今から誰もいない静かな場所に連れてこうと思ってな!」


 さっきも見たニヤリとイタズラするみたいな笑い方をしながら言われて結花唖然としてしまい、晋は早歩きぐらいの速さぐらいの速度で歩き始めて行く。




 

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