ー襲撃ー
ようやく異世界転移します。長くなってしまいすいません!
AM6時
カーテンから漏れた光に充てられて目が覚める。
「ふぁ~。いつの間にか寝ちまった…」
次第に頭が覚醒していき足元に小さな温もりを感じる。
「くぅ!」
昨日の姿が嘘のように元気になっていて胸を撫で下ろす。
挨拶して来た狐の頭を撫でてから一先ず1階へ降りる。
一通り済ませてからリビングへ腰を下ろす。
「ん? 今日はいつもより早いのね」
「おはよう悠也。」
「……」
妹以外は普通に返してくれる。
田上咲17歳 高校二年生
中学くらいまでは普通に喋れていたと思う。別に何かあったわけではない。うん。
なんか最近茶髪になってきているような気がするがまぁ俺が気にすることでもないか。
「おはよ。飯部屋にもっていってもいい?」
母さんに聞いてから俺は部屋へ戻る。
今日は鮭、納豆、みそ汁に白米。THE 朝食って感じで安心する。
「くぅ!くん!」
獲物の匂いを嗅ぎつけてベットからダッシュで駆けつけてくる。
「そんな急がなくてもあげるぞー。 よし、骨取れた」
小皿に鮭をほぐして床に置く
恐ろしい速さで完食した。早い。すごく早い。
「めちゃくちゃはえぇ……」
小首を傾げながら俺の膝に前足をポンポンと催促してくる。
「分かってるって。待て!」
犬のお座りのすがたで行儀よく待つ。理解するのも早い。
「よし。食べて良いぞ」
「くぅん!」
すぐに平らげてしまった。
本当にこの子たべるの早いな
「ご馳走様でしたっと。」
「くん!」
元気な返事聞きながふと考える
あまり付けるべきでは無いんだろうけど呼ぶ時不便だし仮でも名前を付けよう。
「ん~。みさき…はまぁうちに居るので十分だし…」
「綺麗な白い毛並み…“ハク”……」
「くぅん!くん!くん!」
安易すぎるしどうかと思ったが予想以上にハクは反応してる。まぁ本人が嬉しそうだし良いかな。
「良し良し、気に入ってもらえて光栄だよ」
ふと時間を見て気付く。8時20分。
やばい。
今日早番だった……。
理解するよりも早くスマホを取る
「もしもし!すいません店長!今から向かいます!本当にすいません!」
返事をさせるよりも早口で伝えて通話を切る。絶対怒ってる。
残されたハクはあくびをしていた。
「本当にさぁ困るよ。何歳なの悠也君?」
「すいませんでした……店長…」
「俺よりも一緒の時間の人に謝って。気を付けてね。」
「はい…」
10分ほど怒られてからバックルームを出る。
完膚なきまでに自分が悪いので申し訳なさで胸がいっぱいになる。
「佐々木さん」
「遅刻してしまい、すいませんでした」
同じ時間の佐々木さんに謝る。
「もうそんな気にしないで!平日だし忙しくないからさ」
「はい…」
「それに悠也君。最近遅番明けの繰り返しだったししょうがないわ。」
「ありがとうございます。次から本当気を付けます。」
佐々木さんが大らかな人で本当に助かった。気を付けようほんと
そして何事もなく仕事を終えて上がりの時間になった時ふと店の前を見る。
不意に視線が重なる。
(気のせいか?)
店前に一瞬和服の女性が見えた気がする。
しかしもう一度確認してみるが誰もない。
「悠也君時間だよ~あがろ~」
佐々木さんに不意打ちで声をかけられてびくっとしてしまう。
「ッス お疲れさまでした、店長」
店長は片手を挙げて〝お疲れ〟と伝えてくる
少し佐々木さんたちと談笑してから店を出て家路につく。
10分ほど歩いて人通りの少ない公園へ差し掛かった刹那
「ッ!」
目の前を恐ろしくも早い“ナニカ”が掠める
「避けられても~たかぁ…意外に良い勘してるやない」
目の前に現れのんきな口調で喋っている女性に釘付けになってしまう
落ち着いてきたので良く女を見る。
黒色に薄く霞の紋様が入った和服を着ている
が。それよりも先に気になる
(…ん?なんか頭の上に生えているような…)
手に持っている物は何だ?刀?
「おにぃさんには悪いけれども~死んでもらなあかんのやぁ~」
その顔は恐ろしいまでに笑顔だった。
まるで純粋な子供の、穢れのない笑顔。
「は…?」
なんでいきなりなにも知らない女?狐耳?に殺されなきゃいけないんだ
嫌だ…嫌だいやだいやだいやだ
まだ死にたくない
死にたくない…!
その時不意に〝ハク〟の姿を思い浮かべた
妖狐一閃 如月
俺の真後ろから聞こえた事を理解する時には〝彼女〟は立っていた。
美しく眩しい銀色の髪が背中にまでかかり、薄いピンク色の桜模様が入った着物を着た少女
その手にはとても似つかわしくない刀が握られている
先ほど切りかかってきた女は恨めしそうに睨みながら言う
「また邪魔しにきよったんか白夜」
白夜と言われた少女は答える
「姉さん…なぜそこまでして……」
刀を握る少女の手はわずかに震え
その目は心の底から悲しんでいるように見える。
「ほんにうっとうしいぃわぁ…昔から本当…殺したい程にねぇ…」
殺気が目にわかるほどに怒っている。いや、もはや呪われのではないかというほどである。
「でも今回はそうはいかんのやぁ」
懐から黒く、禍々しいオーラを放つ水晶を出した。
「にぃさん諸共死んでほしいぃんやけどええか?」
何なんだあれはいったい。分からないが使われたとんでもない事になるのは理解できる。
「それは…!なんで姉さんがそれを……!」
「んなんどうでもえぇやろ。どうせもう会わんのやし」
少女は少しの間目を瞑る
そして俺に一言
〝ごめんなさい…悠也様……〟
言うよりも早く俺は少女によって押し倒される
そして辺りが真っ白になり俺は気を失ってしまった。