2001/03のお話 遭遇のその三
Twitterで初めて人から感想をもらえました
自分の作ったものを楽しかったと言われただけでこれを作った事が報われました
これからも頑張って更新していこうと思います
後ろから呼び止められる。
そんな時、貴方はどうするだろうか
後ろから呼び止められるんだ。そりゃぁ、振り返るよな
でも、今は違う例外中の例外だ。信じる事の出来ない声が聞こえたのだから…
「比見余寺はこちらですか?」
か細い女性の声。後ろから聞こえる声に対して、俺は言葉を返す
「間に合ってます」
これが最善策だ。相手が敵だろうと何だろうとこれを言えばリスクは無い
「間に合って…?ちょっと何を言ってるのかしら…?」
話を続ける彼女、話術師では無いのだろうか確信を持つ事が出来ない
「もしもーし、聞こえるかしらーー?」
ちょっと待った。この声は…
「三岳先生?」
聞き覚えがある声だとは薄々感じていたが、この声は紛れもない三岳先生だった
「あれ?何で私の名前を…って洸樹君?」
こんな夜道で出会うとはと、お互い驚いていた
既に、夜も10時を回っている当然の事だろう
「何で洸樹君がこんな所にいるのよ」
先生は、なぜこんな夜にしかもこんな所にいるのだろうかと
少し怒りが籠った声で、俺に圧をかけてきた
「俺の家そこなんだよ。ちょっとご飯終わりに表に出ただけさ」
そう言うと俺は、自分の家を指さす。
家が近くて助かった。他に言い訳を思い浮かべる事が出来なかった
「あら、家ここなのね先生ね貴方の家と結構近いわ」
先生は、家の右横を指差す
通りの先に一軒、赤色の屋根をした家がポツンとある
引越しする時に、挨拶に出向いたが誰もおらず
日を改めと、思いつつ挨拶を放置してしまっていた。
「まさか先生だったなんて…」
すぐ隣に担任の家があるなんて思ってもなかった
でも、そんな事より気になる事が俺にはあった
「先生、比見余寺に用があるの?」
俺は知っている。禁忌の中にその寺の名前がある事を
「私ね。行ってみたいのよ」
ただ、興味だけで話しているように聞こえた。
深く話を聞く必要がありそうだ
「洸樹君は、村の禁忌って知ってる?」
俺は、先生に多栄から禁忌の話を聞いたと伝える事にした
「そう…実はね。その比見余寺って言う建物なんて無いのよ」
比見余寺が無い?教えて貰った事と違うじゃないか
「実際には、その寺は存在しないのよ。ただ名前を変えて今も存在してる」
その名前は『比巳余寺』漢字が一字変わっていた
「蛇を奉るその寺は、色々な村の秘密をまとめているらしいのよ。でも、場所は村長含め三人しか知らない」
村長。町を鎮める術師。あと一人は、情報は掴めていないらしい
「この村はね、昔から禁忌に縛られて自由な暮らしは、表面的な物でしかなかった。禁忌を犯すことを恐れ、今でもそれが守られ続けている」
先生は、村の禁忌が120年もの間守られ語り継がれてきた
事を教えてくれた
「だからこそ、私は村の禁忌を確かめて根源を探しているのよ」
情報を十分に得る事が出来た。先生は、寺をまだ探すと言って道の奥へと消えていった
朝。日が眩しい。昨日のおかしな体験も夢のように感じる程だった。だが、違うあれは現実だった。
学校へ向かうと校門が閉まっていたのだ
「お、おい。何かあったのか?鍵も締まってるようだけど…」
俺は、先に来ていた灯華に事情を聴いてみる事にしたのだ
「…た。」
「た?」
「失踪したのよ…」
「失踪って…誰がだよ」
「先生よ…三岳先生よ!!!!」
身体の毛と言う毛が逆立つ感覚を覚えた
「何で三岳先生が!!!」
思わず、俺は灯華に叫び返していた
「昨日、先生と話したんだよ…先生とは…」
三岳先生とは確かに喋った。俺は、さらなる恐怖に襲われた
話術師で無い先生がなぜ失踪したのか
俺は、その恐怖を伝える事が出来なかった
ただでさえ情報量が多い中、これ以上情報を整理する自信がなかったのだ
俺たちは、昼また集まっていた。あの空き地に
「聞いたか?先生の失踪話」
「き…聞きたよ。僕も先生の事知ってたから…」
「えぇ。まさか先生が失踪するなんて思ってもなかったわ…」
巳千が黙る中。皆は先生への思いを口々に話した
その話の流れを、多栄が断ち切る
「先生って、話術師だったの?」
ありえない。と灯華が言い切る。
それは、間違っていない。もし話術師ならば学校こそ壊滅していたであろう。しかも、俺には確信する要素を持っていたからだ
「俺。少し気になる事があるんだ」
打ち明けるには、少し長い時間がかかってしまった
でも、俺には話す義務があると思うんだ
「先生は、比巳余寺に行こうとしていた。昨日の夜」
巳千が顔を上げ叫んだ
「それは本当なのですか!!!!!!」
巳千の顔は驚きと怒りの混ざっていた
前のあの、奥に居た彼女の様には、到底思えない必死さが伝わってくる
「バカバカバカバカバカ!!!何考えてるのよ!」
巳千が、自分を見失っていた。そんな彼女を多栄が宥め
時間をかけ落ち着かせる事が出来た
その彼女の口からは、今後の俺たちの運命を見定めるような
謎めいた言葉を話す
「この先生の失踪は、少し大変な事になりそうよ
前から予想はしていたけど、本当に予感が的中するなんて
まだ、私の予感は衰えていないようね…」
空き地の裏の、大きな大木が風で左右に振れる様子が
少し不気味に感じたのを、今でも覚えている
ついについに…始まりました本番です。
皆さんの推理を裏切れるような小説を作れるよう
頑張りたいと思いますよぉ…