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帰り道の出会い
「つかれた」
普段着ることのない堅苦しい衣服を脱ぎ捨てたくなる。できるならこの堅苦しい服はなるべく着たくない。それでも着なくてはならないときがあるから、仕方なく着ているのだ。
「家についたら寝よう、絶対に」
そんなことをつぶやきながら帰路につく。まもなく家が見えてくるだろう。今日はもう風呂にも入らず寝てしまおう。明日は仕事もない。
(帰り際にもらった小包は放っておこう)
そんなことを考えながらふと顔を上げる。家の前に人が立っている。高校生くらいの少女だ。
そのまま通りすぎようと、その少女の前をとおった。
(こんな時間にこんなところで何してるの、この子)
そんな好奇心とともに、ほんの一瞬だけ少女に目を向けた。
その瞬間少女と目が合う。
――ありえない、ほんとうにありえない
その少女は高校時代の幼馴染と全く同じ姿をしていた。