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明けない夜







朝起きたら、暗かった。

 

まだ夜中なのではないかと思うほどに。




「…壊れてはない、よな…」



家にある、ありとあらゆる時計をみても今は朝。朝の七時すぎをしめしている。スマホをみても、時間を調べても同じだった。

 

でも、暗い。

まだ夜中なのではないかと思うほどに。



「…なんなんだ、これ…。夢か…?」

 

いつもよりずっと騒がしい朝の情報番組をボーっと見つめながらつぶやく。気象庁も、情報局も、お偉いさん方も、みな困惑していた。

 

学校は緊急休校になったらしい。俺としてはただただラッキー。



 …ラッキーだけど。





「なんなのかしらねぇ…。異常気象かなんか?」



「しらね」



 母親がいつも通りのお気楽な声音で話しながら、忙しなく荷物をキャリーバックにつめこんでいた。今日からママ友同士で一週間海外旅行らしい。




「出発日がこんなんで幸先不安だな。向こうで死ぬなよ」


「死にゃしないわよ。それに、向こうもこんなとは限らないしね」

 


俺は食パンをトースターにつっこむ。


朝から真っ暗なこの現象を解明しようと躍起になっている様子をテレビが垂れ流す。



「あんたは今日でかけるの?」


「あー…。ちょっと散歩でもするかな」



「そう。気をつけなさいね」


「へーい」



「じゃあ行ってくるわ」


「いってら」



母親がリビングから出ていく。玄関のドアが開いて、そして閉じる音が聞こえた。

そういや父親はこんな異常な日でも変わらず仕事か。社畜にはなりたくないもんだ。

 

焼きあがった食パンにマーガリンをつけてかじる。




『気象庁によりますと、異常なほどに分厚くなった雲が日本列島を覆い隠し、太陽の光を遮断しているのではないかとのことですが…』



「はあ…。くも、雲ねぇ…」



 窓の外に目を向ける。


 本当に真っ暗だ。街頭がないと何も見えない。太陽の光が届かないのだから、月の光だって当然届かない。

 


最後の一口を口に放り込んで立ち上がる。そのまま自室へ戻り、部屋着からパーカーにジーパンというラフな格好に着替えた。

 

財布をもって、スマホ片手にどこ歩こうかな~なんて考えてみる。数分近所を歩いたら帰ってきて二度寝でもするか。よし、そうしよう。

 


靴をつっかけて外に出る。

 むあっとした、嫌な生暖かい空気だった。長時間吸っていると体調を崩しそうなくらい気持ちわりぃ空気だ。

 



とりあえず近くの道をぶらぶら歩いた。

コンビニも美容院もスーパーも営業している。

 

そのまま歩いて自然公園の中に踏み入った時だった。

 




ドンッ…と

 


遠くの方から、地響きでもしたように、音が聞こえ、かすかに地面が揺れた。







「ん?なんだ今の…?」




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