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白テイマーさんへお願い3

最近少し嬉しいことが続き、とても感謝です。

ありがとうございます。


「さて、しらゆきはなにか得意なこととかある? スポーツでも知識とかでもいいしスキル勝負でもいいよ」


「得意な、こと……」


 スポーツなんてもう何年もやっていないし、さっきの戦闘でどれほど私自身が動けないのかなんてのは痛いほど知った。

 しかもさっき動いたばかりだし、恐らく身体を動かすことで私ができることなんてないだろう……。

 では知識はどうかといえば、勉強すら中学校をほとんど通っていなかったせいで恐らく平均以下。ていうか知識勝負って何だろう、しりとりとかなのかな……?

 スキルというのは多分私自身ではなくこのゲーム内でのスキルを使った勝負なのだろうけど、私、まともに育ってない……。

 ……あれ、私ってなにができるんだろう。


「……何もできなくてごめんなさい」


「……え、ちょっとしらゆき!! 泣かないで!? そんな深く考えなくてもいいんだよ、本当になんでもいいんだって。なんなら一通りやってみる? 思ったよりできることあるかもしれないし……」


 うぅ……優しさが沁みる。


「……とりあえず、それで」


 情けない気持ちで胸が痛くなってきた私は、ひとまず彼女がしてくれた提案に乗る。


「あ、一応その白狼もしらゆきの味方だから、協力もありだよ」


「……そうなの? じゃあ少し気が楽になったかも……」


 何ができるのかもわからないけど、私だけで何かに勝てるビジョンが見えない私としてはこれ以上ない心の支えになる言葉だった。


「とりあえず色々とやってみよっか、まずはかけっこからかな」


「……う、うん」


 彼女は指を鳴らすと、一瞬にして道を生成し終える。精霊だからって何でもありだよね……。



「……うーん、ここまでひどいとは。じゃあ次は何か知識勝負かな」


 地に伏す私と、それを見下ろす彼女。結果? これ以上言う必要ないでしょう。

 心臓が痛むような感覚に襲われ、軽く呼吸困難になりかける。なんで少し動いただけでこんなことになるかなぁ……運動しないと……。

 ちなみに狼も走って思ったよりも善戦してたけど、少しの差で彼女の方が早かった。狼に勝てる速さの時点で私どうやっても無理では……。


「はい、これ水。しらゆき、もうちょい運動したほうがいいよ」


「……ありがとう。そうだよね、今日だけで心底そう思った……」


 もらった水を飲みながらなんとか起き上がる。

 ……この水美味しい。


「さて、知識勝負するならまぁ、確か人間が好きなものがあったよね?」


「……好きなもの? クイズ、とか……?」


「ほら、すごく何回もやってるじゃん。テストだっけ?」


 ……あぁ、そういう認識になるんだ。なるほど。


「……それは違うよ。テストは、全ての人間に忌み嫌われている悪しき風習……少なくとも、私はそう思ってる」


 そうあんなものあっちゃいけない。そもそも比べさせて優劣付ける時点で間違ってる。

 でも、まぁ……別に点数自体は悪くなかった……かな? もう数年前だし、何のあてにもならないけど。


「……そうなんだ。ならなんでやめないの?」


「……なんでだろうね」


 それは私こそが知りたいよ。


「まぁ、ともかくここにその人間が作ったというテストのコピーがあります。これで勝負ってことで」


「……あんま自信ないなぁ」


 とはいってもこれは狼はできないから、私だけで頑張るしかないよね……。



「さて、じゃあ採点も終わったしどっちの方が高いかだけど」


「……」


「なんでしらゆきは頭から煙出してるみたいに倒れちゃってるの……?」


「……なんで? なんでじゃないよ……何この問題……」


「なんか変だった?まぁ、いいや。ぼくは国語四十点。数学百点。科学百点。社会百点。英語百点。で四百四十だね」


「……国語八十五。数学三十二。科学四十。社会五十一。英語九十七。合計三百五……ていうかそうだよね、AIだもんね……それくらい取るよね……なんで最初から気づかなかったんだろう……」


 でも、私は流石にひどいと文句を言いたい。

 ……だって。


「……ねぇなんで普通に大学生レベルの問題あるの」


「よくわからなかったからとりあえずで選んだからそう言われても……」


 一応自主勉だけは続けてきてたけど、見たこともないものが多すぎて、勝負になんてなるはずがなかった。

 どう勝てばいいの……。


「……うーんやっぱりだめかぁ、しらゆき。ほんとうに何かできることはないの?」


「……そもそもあなたが何でも出来ちゃうから」


「褒められても今は嬉しくないなぁ……」


 彼女にじっと目を見つめられ、目を逸らしながら、私は頭を悩ませる。

 私にできること。私がやってきたこと。最初から一つだけ、思いついてはいた。

 でも、不安だった。それさえも否定されたら、私は立ち直れない。そう確信できる。


「……一つだけ、心当たりがあるの。……それであなたができない、すごいと思ったら私の勝ち。あなたでもできるとか、そこまですごくないって思ったらあなたの勝ち……でどう?」


 震える身体を抑えつけ、私は提案した。

 もし感動させれなかったら、嫌だ。笑われたくない。私を、否定されたくない。そんな気持ちがぐるぐると巡り廻っていく感情、考えに少し気持ち悪くもなる。


「……うん、わかった。それでいいよ。しらゆきのできること、教えてほしいな」

 

あと、来週少し予定のせいで投稿が滞る可能性があります。なるべくないよう努めますが、寛容に見ていただけるととても助かります。

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